1月28日から中国の大型連休「春節(旧正月)」が始まり、都内でふだん以上にたくさんの訪日客を見かけるようになりました。銀座の高級ブランドには訪日客の行列ができ、大きな紙袋を掲げて中央通りを闊歩しています。百貨店業界では「二八(ニッパチ)」という言葉がありました。衣料品の端境期にあたる2月と8月に売り上げがガクンと落ちるという意味です。しかし現在は2月に春節(年によって時期が違う)、8月がバケーションシーズンにあたるため、訪日客の消費は盛り上がりを見せます。
観光庁によると、2024年の訪日客数は3686万人でした。コロナ前の19年を15%も上回っています。訪日客による消費額は8兆1395億円。この数年の円安で海外の人から見て日本は買い物天国になりました。
「WWDJAPAN」の読者であれば、この「8兆円」という金額にピンとくるかもしれません。そうです、国内アパレル市場規模(小売りベース)の8兆3564億円(矢野経済研究所調べ、23年)と近しい規模なのです。1億2488万人の日本国民が1年間で衣料品に費やす消費額と、3686万人の訪日客が数日間の旅行で落とす消費額(ショッピング、食事、宿泊など)がほぼ同じ金額に達しているわけです。しかも国内アパレル市場規模には、インバウンド消費が一定の割合含まれている。訪日客の1人当たりの消費額は23.7万円で、19年に比べて6万〜7万円も増えています。
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