ファッション

「ベルルッティ」がパリ五輪フランス代表の開会式の服を公開 選手と職人が対話し製作

LVMH モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON以下、LVMH)が擁する「ベルルッティ(BERLUTI)」は、2024年パリオリンピックとパラリンピックの開催まで100日を迎えた4月17日、フランス代表選手団の開会式での公式服装を公開した。

キーワードは、“エレガンス”と“コンフォート”。メード・イン・イタリーのクラフツマンシップを重んじるフランス発の「ベルルッティ」による短期間かつ注目度の高いデザイン開発の挑戦により、1500着を作り上げた。ジャケットからシャツ、パンツ、ベルト、シューズまで選手の全身を着飾る公式服装の特徴は、随所に取り入れたフランスらしいトリコロールカラーと「ベルルッティ」が得意とする染色技術のデザインだ。そして、「ベルルッティ」のコレクションと同じ生産背景で職人たちにより作られた。

ジャケットは、今回の開会式が夏季大会史上初めてスタジアムの外に会場を置き、セーヌ川沿いの夕暮れ時に開催されることから、タキシードをデザインの出発点とした。考案者は、元「ヴォーグ パリ(VOGUE PARIS)」編集長でファッションエディターやスタイリストとしてもさまざまなブランドとタッグを組むカリーヌ・ロワトフェルド(Carine Roitfeld)「CR ファッションブック(CR FASHION BOOK)」編集長。男子選手には、クラシックなミッドナイトブルーのウールのタキシードを用意。女子選手にはノースリーブジャケットや、ボトムスにパンツまたはシルクの巻きスカートを選ぶことができる。

カリーヌは、「1500人ものアスリートの歴史的瞬間にふさわしいウエアを考案することは、私にとっても前例のないこと。タキシードの案はすぐに思い付いた。『ベルルッティ』のシグニチャーであるパティーナという染色技術を用い、フランスのナショナルカラーをショールカラーにデザインした。選手やコーチに視線が集まる大事な日なので、スタイリッシュな気分で臨んでほしい」と語った。

シューズは、「ベルルッティ」の定番品が生産されるイタリアのフェラーラにある工場で生産。ローファーとスニーカーの2種類をそろえ、選手は選ぶことができる。ローファーはメンズの伝統的な“ロレンツォ(Lorenzo)”をベースに、女子選手には改良。ネイビーのしなやかなレザーに、柔軟性の高いソールを備えた軽量な“ロレンツォ”は、ブラックのパティーナ加工を施し、サイドには、大会アスリート限定のデザインとして赤いステッチがあしらっている。

スニーカーは、2021年まで「ベルルッティ」のアーティスティック・ディレクターを務めていたクリス・ヴァン・アッシュ(Kris Van Assche)が、当時の最高経営責任者(CEO)、アントワン・アルノー(Antoine Arnault)非業務執行会長の依頼で発表したデザインを特別仕様にしたもの。全体をオールネイビーにし、シューレースなどに黒いディテールをプラス。またネイビーに合わせて、赤と白のグラデーションデザインを加え、フランスを象徴するトリコロールを特徴とした。アッパーのサイドにはブランドのロゴ、足首には“Paris 2024”の文字が刺しゅうされている。

ベルトは、「ベルルッティ」のアイコニックなバックル付きのレザーベルトにナショナルカラーをハンドペイント。先行して発表されたフランス代表チームの競技ウエアのデザインにもリンクしているようだ。すべてのアイテムには、LVMHがパリ五輪のプレミアムパートナーであることを示すフレーズ「Artisan of All Victories(勝利の職人)」と記され、ジャケットなどの裏地には製作における職人の役割などを示したラベルが縫い付けられている。

これらのアイテムはすべてオーダーメードであることから、デザインチームは選手と対話を重ね、デザインやスタイルを微調整してきた。例えば、パラリンピック選手のフィードバックから、フルスカートやプリーツスカートのアイデアが、車椅子に乗る選手にとっていかに非現実的だったかを理解したり、“ロレンツォ”のローファーをミュールバージョンで提供する計画も義肢を持つ選手たちにはグリップ力のあるオリジナルのローファーの方が快適であると判断したり、改良を重ねた。ヴァネッサ・ル・ゴフ(Vanessa Le Goff)=プレタポルテ・コレクション&マーチャンダイジング・ディレクターは、「ウエアはコスチューム的なものは避け、選手団に快適さを感じてもらうことを優先して考えた」と語った。

アルノー非業務執行会長は、「世界で最も注目を集めるイベントの一つであり、数十億人もの観衆が集まる。フランスメゾンの一つである『ベルルッティ』がアスリートたちの全身着飾ることはまたとない機会だ。『ベルルッティ』の情熱と職人技のすべてを感じてくれることを願っている。

なお、フランス代表チームの競技ウエアは、「ピガール(PIGALLE)」の創設者兼デザイナーで、今年パリで開催する夏季オリンピック・パラリンピックのフランスチームのアーティスティック・ディレター兼シニア・デザイナーを務めるステファン・アシュプール(Stephane Ashpool)がデザイン。同大会の公式サプライヤー「ルコックスポルティフ(LE COQ SPORTIF)」と共同開発した。このほかにも、アメリカ代表は「ナイキ(NIKE)」、カナダ代表は「ルルレモン(LULULEMON)」といったスポーツブランドがユニホームを手掛けることを発表している。お披露目は、7月26日のオリンピック開会式と8月28日のパラリンピック開会式。

最新号紹介

WWDJAPAN Weekly

独立系クリエイティブ集団が台頭、クリエイターの新潮流を見る

5月13日号は、クリエイターを取り巻く新潮流を特集します。昨年7月17日に発行した「U30 クリエイター」特集に続き、その最前線を追いました。

冒頭では独立系クリエイティブチームにフォーカス。「クリエイティブアソシエーション」「クリエイティブエージェンシー」など、独自のスタンスを掲げてクリエイティブの可能性に挑む集団です。彼らの狙いは、クライアントとクリエイターが対等な立場でものづくりに向き合え…

詳細/購入はこちら

CONNECT WITH US モーニングダイジェスト
最新の業界ニュースを毎朝解説

前日のダイジェスト、読むべき業界ニュースを記者が選定し、解説を添えて毎朝お届けします(月曜〜金曜の平日配信、祝日・年末年始を除く)。 記事のアクセスランキングや週刊誌「WWDJAPAN Weekly」最新号も確認できます。

@icloud.com/@me.com/@mac.com 以外のアドレスでご登録ください。 ご登録いただくと弊社のプライバシーポリシーに同意したことになります。

メルマガ会員の登録が完了しました。