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「カオス」「カレンソロジー」のエレメントルール 「目安は1ブランド10店未満で30億円」

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PROFILE: 小松﨑睦/エレメントルール社長

小松﨑睦/エレメントルール社長
PROFILE: (こまつざき・むつみ)1958年生まれ。90年にベイクルーズに入社。MD職として社内SPA体制の構築に努め、「ドゥーズィエムクラス」「ジャーナルスタンダード」など、人気ブランドを立ち上げから担当してきた。96 年にはベイクルーズ取締役に就任。2014 年に退社後は、アパレル企業に向けたコンサルティングを手掛けてきた。17年3月から現職 PHOTO:YUTA KATO

都心の有力ファッションビルに好調ブランドを聞くと、ここ数年で「カオス(CHAOS)」「カレンソロジー(CURENSOLOGY)」の名前が上がるケースが増えた。規模の大きいセレクトショップ企業がコロナの痛手からなかなか回復できない中、少数精鋭で出店する実店舗とECで高感度なファンをしっかりとつかんできた印象だ。手掛けているのは、アダストリア傘下のエレメントルール(小松﨑睦社長)。同社はアダストリアにとって手薄なハイエンドマーケットの開拓を目指し、2017年3月に設立された。今秋冬も「カオス」「カレンソロジー」の主力店にカフェを導入、新ブランド「ブリル(BRILL)」で初出店と動きが目立つ。小松﨑社長に立ち上げ7年目の手応えや課題を聞いた。

WWDJAPAN(以下、WWD):2024年2月期上期(23年3〜8月期)業績を振り返って。

小松﨑睦エレメントルール社長(以下、小松﨑):増収減益での着地だった。外出機会が増えてファッションのニーズが高まったこと、天候が良かったことで実店舗の売り上げが伸びたことで増収となったが、ECはその反動で予想以上に伸び悩み、減益につながった。ただし、ブランドによる差はある。「カレンソロジー」は実店舗もECも絶好調で、大きな伸びとなった。「カオス」は会社全体の傾向と同じで、実店舗は伸びているがECはそれにやや追いついていいない。「カオス」「カレンソロジー」は共に5年前にスタートしたが、「カオス」の方が人気に火がつくのが早かった分、ECではやや踊り場となっている。定番的な商品が多くなって、新鮮さがやや薄れているのではないかと分析している。もちろん、定番商品が増えれば季末のセールにかかる商品も減る。それは戦略として悪いものではないが、23年春夏物は少しMDのさじ加減が狂っていた。

WWD:全社売り上げの約35%を占める、最大ブランド「バンヤードストーム(BARNYARD STORM)」の状況は。

小松﨑:この1年をかけてリブランディングを進めているが、正直なところ、まだ結果は伴っていない。従来は特にECで、割引クーポンなどのマーケティングで売り上げを作っていた部分が大きい。今期(24年2月期)からは割引をかなり抑えて、顧客を裏切らない商売、信頼されるブランドを目指している。

(具体的に何を変えているかというと)企画チームに強力な人材が入り、素材は今までよりグレードを上げている。素材を変えた結果、20〜30%ほど価格は上げている。また、従来はECで売っていくために売りやすい色を増やすことなどもあったが、ブランディングとしてそういうこともなるべく抑えている。デベロッパーには「売れればいい(内容がどうであろうとかまわない)ブランド」とこれまで思われていたかもしれないが、マーケットの中でも「すてきなブランド」と思ってもらえるよう、立ち位置を一角上に高めていく。同時に、繰り返しになるが、割引は抑えてお客さまに信頼されるブランドにしていく。

WWD:「バンヤードストーム」に先行して2年前にリブランディングを開始した「バビロン(BABYLONE)」はどうか。

小松﨑:「バビロン」は成果が出つつある。顧客の入れ替えも進み、23年3〜8月期は高く設定していた予算には届かなかったものの、増収増益となった。「カオス」「カレンソロジー」が立ち上げからの5年で順調に育ってきて、その反面、「バンヤードストーム」と「バビロン」は停滞していた時期が長い。「バンヤードストーム」もすぐにリブランディングの結果が出るとは思っていない。復調するまでの間、「カオス」「カレンソロジー」、復調傾向の「バビロン」が伸びて、会社として成長していければと思っている。

「カオス」は7店、「カレンソロジー」は6店

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