ファッション

「シャネル」が“時代のアイコン”として注目される若手俳優ティモシー・シャラメをアンバサダーに起用 「香りは自己表現の最後の砦」

ティモシー・シャラメ/俳優

1995年、ニューヨーク生まれ。フランス人の父とアメリカ人の母を持つ。ルカ・グァダニーノ監督の2017年の青春映画「君の名前で僕を呼んで」の演技で国際的な称賛を得る。アカデミー賞主演男優賞に史上3番目の若さでノミネートされるなど、数々の栄誉に輝く。多面的な才能を持ち、オフ・ブロードウェイで演劇を始めた後、ハリウッドの著名な監督たちの下で活動を続けてきた。クリストファー・ノーラン監督の「インターステラー」、グレタ・ガーウィグ監督の「レディ・バード」「ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語」など多くの作品に出演する。23年後半には、「デューン 砂の惑星PART2」で再び主演を務める予定。また、今夏に撮影が始まるジェームズ・マンゴールド監督の「A Complete Unknown」でボブ・ディランを演じる予定 ©︎CHANEL

シャネル(CHANEL)」は5月15日、フランス系アメリカ人俳優のティモシー・シャラメ(Timothee Chalamet)をメンズフレグランスライン“ブルー ドゥ シャネル”のアンバサダーに起用すると発表した。マリオ・ソレンティ(Mario Sorrenti)が撮影した広告キャンペーンは6月に、マーティン・スコセッシ(Martin Scorsese)が監督したキャンペーンフィルムは秋に公開する。“ブルー ドゥシャネル”は、1999年発売の“アリュール オム”以来、11年ぶりのメンズフレグランス新作として2010年に登場。ウッディ・アロマティックの香りが幅広い層から支持を集める。ティモーシー・シャラメは17歳の時に出演した映画「君の名前で僕を呼んで」で大ブレイク。独自のファッションや、映画のプロデュース業でも注目される27歳の若手ホープが考える「シャネル」、フレグランス、今の時代とは?

――今回のキャンペーンは、初めてのビューティ&ファッションブランドとのコラボレーションだった。

ティモシー・シャラメ(以下、シャラメ):“ブルー ドゥ シャネル”のアンバサダー就任を依頼された時、私は何もアピールする必要がありませんでした。自分のキャリアの中で、情熱を刺激するプロジェクトを選んでキュレートできる立場にいることを幸運に思っています。手袋の中の多くの指がフィットすると感じたら、何の問題もないということです。すぐに気分が高揚し、全力で取り組むことになりました。

――「シャネル」は革新的なリーダーとして、歴史を重ねてきた。どのような要素が感性に響くか?

シャラメ:「シャネル」には表立って示さないさりげない主張があり、それは最も洗練された粋な方法だと思っています。それが仕事を共にすることの喜びになっています。

――“ブルー ドゥ シャネル”は、自己と世界を深く結びつけている男性に向けた香りだ。光と影、夕暮れと夜明け、ウッディノートとフレッシュなアンダートーンなど、さまざまな二面性が表現されている。あなたにとって、“ブルー ドゥ シャネル”はどのような存在か?

シャラメ:映画やストーリーと同じように、香りとその背後にある物語を自由に解釈できるところが、特に気に入っています。繊細な主張と、それを身につける人の独自の解釈、そしてその香りを最終的にどう感じるかが重要なのです。それだけが重要で、私がどう考えるかはどうでもいいのです。

――“ブルー ドゥ シャネル”をまとった時にどう感じるか?

シャラメ:明確な経験、あるいは特定の外見、機会、日付を強調することになると思います。私はいつも香りをまとっているわけではありませんが、特定の意図を持ってフレグランスをつけています。香りを身にまとうとそれはある瞬間の象徴となり、後にはその瞬間へのノスタルジーが生まれ、それがより意味深いものになると思います。

――子供のころの香りの思い出で印象に残っているものは?

シャラメ:私の姉は、南仏のムージャンにあるロゼラ・ハイタワー・ダンススクールで踊っていました。ある時、母が私たちをグラースのフレグランス製造所に連れて行ってくれたんです。私はその経験がとても気に入り、セダーウッドの香りのルームスプレーを手に入れて、自分の寝室に持ち帰りました。うっかり服に吹きかけてしまい、その香りに圧倒されました。でもその時、自分の部屋の香りをキュレーションすることはクリエイティブな表現だと感じたのを鮮明に覚えています。それはとてもフランス的で、懐かしい感じがしました。

――「シャネル」のフレグランスに関する最も古い記憶は?

シャラメ:祖母がクリスマスに妹に“NO.5”を贈っていました。

「周囲の誰とも違う文化で育った」

――フレグランスは個人のアイデンティティーを形成し、それを伝え、強化し、また世界に存在感を示すためにどのような役割を果たすか。

シャラメ:私がまず思いつくのは、「アイデンティティー」です。今とても注目されている言葉です。クリエイティブな能力の向上や、枠にとらわれない自分のスタイルを確立することは何も新しいことではありませんが、ソーシャルメディアによって強化され続けています。香りとは視覚的なメディアでは伝わらないもの。クリエイティブな自己表現の最後の砦の一つである香りは、視覚的な空間では商品化されていない。それは、自分の服の肌触りが決して誰にも伝わらないのと同じで、本当に自分だけのものなのです。一方で、自分の体における服の見た目やフィット感は誰にでも伝わるのです。

――シャネルの専属調香師のオリヴィエ・ポルジュ(Olivier Porge)は、「見えないものを見えるようにする」というアイデアをよく口にする。

シャラメ:それは素晴らしい表現ですね。玄関を出る前にフレグランスをつけるという儀式そのものに、考え抜かれた意図があると思います。“ブルー ドゥ シャネル”をつけることとは、瞬時に意図的に自己を主張するようなことなのです。

――あなたはフランスとアメリカで育ったが、どのような要素があなたの個性を決定づけているか?

シャラメ:私は、周囲の誰とも違う文化の中で育ってきました。ル・シャンボン・シュル・リニョンというフランスの小さな村で夏を過ごしたのですが、ニューヨークでの生活とは全く正反対の環境でした。ジェイ・Z(Jay-Z)やアートハウス 映画、文学、サンテティエンヌのサッカーファン、マクドナルドやXbox 360のアメリカ的な魅力など、芸術的、文化的に惹かれるものは二重構造になっていました。でもいつも楽しくて、自由な感じでした。

――フランスとアメリカの二面性を、生来的に行き来している。

シャラメ:私にとっては、アメリカでの自己啓発や若い頃の演技との関係と、フランスでの時間や伝統、会話への敬意が感じられるやり方とが、極めて対照的だったのです。幼少期は、アメリカのステレオタイプな習慣に惹かれていたため、そのようなフランス的なことに敬意を払いませんでした。年を重ねるにつれ、私は自分の中にあるフランス的な部分とより深くつながるようになり、それが今回、“ブルー ドゥ シャネル”のアンバサダーを魅力的に感じる理由です。パンデミックの時、パリの町を歩いていたら、カフェのテーブルの上に、明らかに3時間座っていたレシートがあり、4人の人がまだ議論を深めているのを見ました。LAでは、皆ディナーは45分しかしません。アメリカは多くの点で時代の先端を行き、流行を生み出していますが、同時にフランスにはファッション、自己表現、アイデンティティーがあり、非常に伝統的なフランスの受動的な生活様式と見事にぶつかり合っています。私は、それぞれの文化や自分の中にあるこのような矛盾を理解し、受け入れるようになりました。

――自分のキャリアに関してはその恐怖に身を任せ、委ねることができるか?

シャラメ:もし恐怖を感じないのなら、それはあなたにとって十分な挑戦ではないのだと思います。

――あなたはフョードル・ドストエフスキー(Fyodoe Dostoyevsky)、ジョージ・オーウェル(George Orwell)といった偉大な思想家に惹かれる熱心な読書家だ。文学に惹かれる理由は?

シャラメ:私はいつも哲学に興味があります。哲学は今自分が置かれている状況を理解するための手段のように感じています。人生の真理を理解するための一節が、そこにはあります。その日一日がどこに向かっているかを理解するのに役立つものであれば、何でもいいのです。また大学時代にはアルトゥル・ショーペンハウアー(Arthur Schopenhauer)が好きでした。彼の作品は実存的にニヒルな感じがするからです。そしてフランスの詩人アルチュール・ランボー(Arthur Rimbaud)は、19歳か20歳までに最高の作品を作っていますが、彼も好きです。ボブ・ディラン(Bob Dylan)からも多大な影響を受けています。

――今一番気になっていることは?

シャラメ:60年代のニューヨークでの生活はどのようなものだったのかについてよく考えています。「A Complete Unknown」でボブ・ディランを演じるにあたり、当時のダウンタウンはどんな様子だったのだろうかと考え続けています。現在ではダウンタウンに住むのはとても高いですから。手頃な値段で住みやすく、同時に芸術や文化が豊かだった時代はどうだったのだろうか?今のニューヨークとは違うニューヨークで育った私でさえ、そのことを一番に考えています。

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