ビューティ

ファミリーマートがオーガニックコスメに本気の理由 マッシュ開発の「ミティア オーガニック」発売

 マッシュビューティーラボ(以下、マッシュ)は4日、オーガニック化粧品のプライベートブランド(PB)「ミティア オーガニック(MITEA ORGANIC)」を全国のファミリーマート店舗で発売した。同社のPB商品がコンビニで販売されるのは初めて。全国で1万6600店舗を展開するファミリーマートでの商品販売は同社にとって大きな商機であると同時に、オーガニックコスメ市場そのものを拡大するチャンスになる。一方、年間の総売上高2兆8000億円を超える(22年2月期)ファミリーマートにおいて、化粧品カテゴリーはおよそ100億円の規模。売り上げのボリュームとしては決して大きくないが、ファミリーマートはここにどのような可能性を見出すのか。

 「ミティア オーガニック」は北海道から沖縄まで店舗網があるファミリーマートで展開する。マッシュの従来品とは製造ロットもケタ違いであり、大きなスケールメリットを発揮できる。スキンケア4種、リップ1種をラインアップするが、同社の独自基準に準拠したナチュラルオーガニック処方でありながら、価格は全て税込2000円以下を実現した。

 ファミリーマートの1日の来店客数は約1500万人。公式アプリ「ファミペイ」アプリのダウンロード数は1300万を超える。それらから抽出される膨大な顧客データを活用できるのもメリットだ。 マッシュの主力業態「コスメキッチン(COSME KITCHEN)」「ビープル(BIOPLE)」などの店舗でも取り扱うため、オーガニックコスメに親しんだ客からの濃度の高いリアクションも集まる。「質と量」のフィードバックを基に、発売後も品質や成分の改良を繰り返す。「コンビニで売る物も、これからの時代は『高い品質』『環境への配慮』が消費者に選ばれる条件の1つになる」とファミリーマートの細見研介社長。 「ミティア オーガニック」でも、輸送の梱包材には再生紙を使用し、店頭でそのまま陳列什器として使用できるデザインの工夫を施す。

コンビニ店舗をメディア化
商品には「品質」「ストーリー」が必要

 ファミリーマートは「店舗をメディア化する」という方針の下、レジ付近にデジタルサイネージの設置を進めている。22年6月時点で3000店舗に設置しており、23年度中に設置可能な全店舗への設置を予定している。細見社長は「ECの台頭で、消費者はあらゆるものを家にいながら手に入れられるようになった。リアル店舗は見たり、触ったりといった体験や、足をわざわざ運ぶだけの付加価値が必要な時代になる。コンビニもその例外ではない。店舗は情報や商品価値の発信拠点に変えていく」と語る。サイネージでは、取り扱い商品の販促プロモーションや、ここでしか見られないアーティストやアニメなどのエンタメコンテンツも流す。全国20万人のストアスタッフの役割意識も変える。「効率・スピード重視の対応から、商品情報をかみ砕き伝えるアンバサダー(伝道師)になっていただきたい。陳列する商品一つ一つにストーリーを持たせ、お客さまにはっきりした目的意識を持って来店してもらえる品ぞろえにする」。

 あらゆる消費者の生活圏内にあるコンビニで、手ごろな値段かつ高品質な日用品が手に入るようになれば、客の新しい来店動機をつくることができる。同社がマッシュと組み、高品質なオーガニックコスメの開発に取り組んだ本気度の理由もここにある。

 すでに衣料品では先鞭を付けている。「ファセッタズム(FACETASM)」を手掛けるファッションデザイナーの落合宏理と共同開発した、Tシャツや靴下など軽衣料や肌着を中心とした衣料品シリーズ「コンビニエンスウエア(CONVENIENCE WEAR)」を昨年春から販売し、一定の成功を収めている。体形や性別に縛られないデザインやサイズ展開、タフで長く使える素材など、これまでのコンビニ衣料品にはない付加価値を加えた。映画「ストレンジャー・シングス(STRANGER THINGS)」とのコラボでも話題生んだカラフルなソックスは、すでに累計販売700万足を突破した。

 化粧品でも、ノイン(東京都、渡部賢社長)が開発し、20年11月からファミリーマート限定で取り扱うメイクアップブランドの「ソポ(SOPO)」がSNSなどを中心に、若い女性の間で話題となっている。

 「ミティア オーガニック」はこれらに続く成功事例となれるか。マッシュホールディングスの近藤広幸社長は、「(コンビニでの商品展開は)7年ほど前から思い描いていた」と明かす。「自分自身、肌があれやすく、なかなか合う化粧品が見つからなかった。しかしオーガニックコスメと出合い、人生が変わった。オーガニックコスメを大衆に伝え広めることは、私の夢になった」と語り、「(『ミティア オーガニック』は)これまでにないスケールのチャレンジでプレッシャーを感じているが、夢を実現させるチャンスでもある。焦らず、じっくりとブランドへの共感を育てていきたい」と前を見据える。

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