ファッション

2022年度「LVMHプライズ」の栄冠は、またもロンドンデザイナーに 日本の「リュウノスケオカザキ」は受賞ならず

 LVMH モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON以下、LVMH)は6月2日、2022年度「LVMHヤング ファッション デザイナー プライズ(LVMH YOUNG FASHION DESIGNER PRIZE以下、LVMHプライズ)」の最終選考会をパリのフォンダシオン・ルイ・ヴィトンで開き、受賞者を決定した。グランプリに選ばれたのは、ロンドンのメンズブランド「エス・エス・デイリー(S.S.DALEY)」を手掛けるスティーブン・ストーキー・デイリー(Steven Stokey -Daley)。賞金30万ユーロ(約4140万円)と、LVMHグループのエキスパートによる1年にわたるコーチングを受けられる機会を獲得した。スティーブンは、1996年リバプール出まれの25歳。ロンドンのウェストミンスター大学でファッションデザインを学び、20 年の卒業後にブランドを設立した。自国の階級社会や伝統をクィアな視点で解釈したどこかノスタルジックなムード漂うクリエイションが特徴だ。昨年のネンシ・ドジャカ(Nensi Dojaka)に続き、2年連続でロンドンを拠点にするデザイナーがグランプリを手にした。

 カール・ラガーフェルド審査員特別賞は、カリフォリニア・ベニスビーチを拠点とする「ERL」のイーライ・ラッセル・リネッツ(Eli Russell Linnetz)と、ナイジェリア出身でニューヨークを拠点に「ウィニー ニューヨーク(WINNIE NEW YORK)」を手掛けるイドリス・バロガン(Idris Balogun)が受賞。2人は、それぞれ賞金15万ユーロ(約2070万円)とLVMHグループによる1年間の指導を受ける機会を手にした。「ERL」は、ビンテージアメリカンファッションを再解釈し、メンズ、ウィメンズ、キッズを展開。イーライは音楽界とのつながりも深く、ミュージシャンからも支持を集めている。5月には、ゲストデザイナーとして、キム・ジョーンズ(Kim Jones)と共に制作した「ディオール(DIOR)」2023年スプリング・メンズ・カプセルコレクションを発表したばかりだ。一方、イドリスはロンドン育ちで、サヴィルロウでキャリアをスタート。デッドストックやアップサイクルした生地を使い、テーラリングをカジュアルに仕上げたスタイルを提案する。なお、アート作品のような立体的かつ芸術的なクリエイションを強みに、日本から唯一ファイナリストに選ばれていた「リュウノスケオカザキ(RYUNOSUKEOKAZAKI)」の岡﨑龍之祐は、惜しくも受賞を逃した。

 「LVMHプライズ」の参加資格は、40歳以下で、最低でも2つのコレクションを発表・販売していること。LVMHグループのブランドを率いるトップデザイナーらが審査員を務める。今年は、「ケンゾー(KENZO)」のアーティスティック・ディレクターに就任したNigoと「フェンディ(FENDI)」でアクセサリーとメンズウエアのアーティスティック・ディレクターを務めるシルヴィア・フェンディ(Silvia Fendi)が、新たに審査員に加わった。

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