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パタゴニアが日本酒とワインを発売 環境再生型農法と伝統的な醸造方法で

 パタゴニアの食品事業であるパタゴニア プロビジョンズは12月9日、自然酒「五人娘 - 寺田本家」とオーストリア産の自然派ワイン「エスタライヒ - マインクラング」を発売する。同社が日本酒を販売するのはこれが初めてで、米国でも販売される。日本酒は直営店と自社ECサイト、ワインは自社ECサイトで販売する。

 「五人娘」は、千葉県神崎町で1673年に創業した寺田本家が、全ての工程で蔵付き菌を使って醸造したもの。用いた米は、地元産の酒米「美山錦」に加え、兵庫県豊岡市「坪口農事未来研究所」がコウノトリを育む農法で育てたコシヒカリを掛米に使った。無ろ過でアルコール度数は15%で価格は1650円(720ml)。

 寺田本家は、地元の米と湧き水を使って銘酒を醸造しており、20世紀半ばから日本酒業界を席巻した近代的な工業型発酵技術を採用したものの、30年以上前に伝統的な醸造方法に立ち返ったという。また用いる米は農薬や化学肥料を使用せずに育てられた地元の米で神崎神社の近くで湧き出る水のみを使って米を洗い、浸水させるという。江戸時代から続く発酵工程を採用し、炭で発酵の場を整えた蔵内に住む蔵付き麹菌を採取して、自家培養した麹菌を使用している。また、今回用いたコシヒカリを生産する「坪口農事未来研究所」は、パタゴニアがソーラーシェアリングに投資する農家で、環境再生型農法に取り組む。

 「エスタライヒ」を生産するオーストリア・パムハーゲンのマインクラング社(Meinklang)は世界第2位の広大なバイオ・ダイナミック農場で栽培され手摘みしたブドウを、添加酵母を一切用いずに天然酵母のみで発酵熟成している。デメター認証(バイオ・ダイナミック農法を用いて生産された製品であることを証明)取得。

 「エスタライヒ – タイム ブラン」はピノ・ブランとタイムを用いており、柑橘系の華やかな味に、タイムのようなハーブの風味が加わった爽やかな味わい。手軽な野菜料理やスクランブルエッグ、穀物を使ったサラダに最適だという。「エスタライヒ – ロゼ」はツヴァイゲルトを用いており、ダークフルーツやフローラルな紅茶の風味を持つ、爽やかでスパイシーな味わい。塩漬け肉や缶詰の魚、またはゆったりとしたランチに最適だという。いずれも価格は2970円(750ml)でアルコール度数は12%。瓶詰は清澄作業やろ過作業を一切行わずに瓶詰前のみ、酸化防止剤の亜硫酸塩をデメター認証の基準内でごく少量を添加している。

 マインクラング社の創業者であるアナリーサとワーナー・ミヒリッツは3人の息子とともにこの地方の生物多様性の回復に取り組む。19~20世紀にかけて、土壌を肥沃にしていた浅い湖や沼地は工業化のために荒廃したというが、ミヒリッツ家の再生型農法により、やっと生産性を取り戻しつつあるという。

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