繊維専門商社ヤギの2025年3月期連結業績は、売上高833億円(前期比0.6%増)、経常利益37億円(同17.5%増)、純利益26億円(同26.5%増)で3期連続の増益となった。アパレル事業とブランド・リテール事業が好業績をけん引し、経常利益と当期純利益は過去最高を更新した。
売上高の約半分を占めるアパレル事業は、引き続き安定した消費意欲に支えられた。主力のOEM事業では、量販店から通販、セレクトショップまで主要取引先への提案など営業強化を図り、中高価格帯の商品に注力した結果、売上高は前期より3.9%増の435億円だった。長引く円安の影響はあったものの、生産背景の見直しと物流コストの圧縮などにより収益性を確保。セグメント利益は29億円(同8.3%増)と堅調に推移した。
ブランド・リテール事業では、グループ会社のWEAVAが展開する「タトラス(TATRAS)」が24年11月、東京・銀座に旗艦店を出店。新規出店店舗が好調に推移したことに加え、販売価格の適正化と在庫水準の見直しなどにより、売上高は106億円(同14.0%増)と2ケタ成長を維持。セグメント利益は10億円と販管費増を吸収して前期並みの利益水準を確保した。韓国のWINWIN SPORTSと共同で設立した「WINWIN YJV」が積極的な先行投資によって24年12月に「NIKE SHIBUYA」をオープン。旗艦店の集客力が発揮される今期の業績が期待される。
マテリアル事業では天然繊維の国内需要減退が響き、売上高は229億円(同7.1%減)となったものの、在庫圧縮や適切な価格転嫁、海外販売の増加により利益は4億9600万円(同19.1%増)に改善した。環境配慮型素材ブランド「ユナ・イト(UNITO)」の再構築も進め、3月には初の展示会を開催した。
ライフスタイル事業はダストコントロール商材の調整が続き、売上高73億円(同9.5%減)だった。一方、タオルや化粧雑貨などの生活資材は堅調に推移。コストの見直しと価格改定を行い、高付加価値商品の販促を進めた結果、セグメント利益は6億6700万円(同9.9%増)と健闘した。
2026年3月期は中期経営計画「Heritage to the future」の最終年度にあたり、売上高900億円(同7.9%増)を目指す。利益面は戦略投資の増加を見込み、経常利益38億円(同0.9%増)、当期純利益26億5000万円(同0.9%増)と微増予想にとどめた。
配当については、前期の90円から21円増配し、今期は1株当たり111円を予定。配当性向35%以上を維持する方針だ。