ファッション

めくるめく「グッチ」の世界を13の部屋に凝縮 創設100周年記念の没入型エキシビジョンお披露目

 ブランド創設100周年を迎えた「グッチ(GUCCI)」は9月22日、イタリア・フィレンツェ、中国・上海に次いで東京・天王洲アイルで開催する、アレッサンドロ・ミケーレ(Alessandro Michele)=クリエイティブ・ディレクターの6年間をたどるエキシビジョン「グッチ ガーデン アーキタイプ(Gucci Garden Archetypes)展 アレッサンドロ・ミケーレのビジョンを探検する没入型エキシビジョン」を報道陣にお披露目した。イベントは23日から10月31日まで。事前予約制ながら入場無料だ。

 「グッチ ガーデン」とは、イタリア・フィレンツェに構える「グッチ」のアーカイブをお披露目した美術館のような空間。そして「アーキタイプ」とは「原型」の意味。その名の通り、普段は「グッチ ガーデン」にある貴重なアーカイブ・コレクションを通じて、現代の「グッチ」が体感できる空間に仕上がった。会場は、全部で13の小部屋で構成されており、それぞれの部屋ではミケーレがクリエイションのトップに就任した2015-16年秋冬シーズン以降のアーカイブを1シーズンずつ収めている。

 最初の部屋は、通称「コントロール ルーム」。ここはシーズンにとらわれず、15-16年秋冬以降の「グッチ」のコレクションを紹介するムービーを同時上映している、いわば“序章の間”だ。

 これに続くのは、今回のエキシビジョンの中で最も圧倒的な物量のコレクションが並ぶ「グッチ コレクターズ」の部屋。圧倒的な情熱と、時々エキセントリックかつ偏執的、だからこそ個性的なコレクターの気質を表現した部屋では、大量のぬいぐるみと蝶々、そして影掛け時計が並ぶ鏡ばりの空間に総計160個のバッグ“グッチ マーモント”が並んでいる。

 異様に長い馬の尻尾が揺れる部屋では、ムチやサイハイブーツ、レースと切り替えたスリップドレスなど、ミケーレがそれまで否定してきたエロスを解放した20年春夏コレクションを展示。15-16年秋冬や16年春夏を紹介する部屋では、3Dプリンタで作成したリアルなマネキンがコレクションに身を包み、来場者を出迎える。マネキンが並ぶのは、ロサンゼルスの地下鉄やベルリンのナイトクラブのトイレなど、ミケーレらしいユニークな空間。これまでハイファッションが決して存在しなかった空間や世界と「グッチ」を結びつけることで、ラグジュアリーを世界に解き放ちつつ、人間のリアルに迫り続けるミケーレらしさがうかがえる。

 注目の1つは、16-17年秋冬コレクションを納めた「Tokyo Lights」だ。このシーズン、「グッチ」は日本で広告キャンペーンを撮影。装飾に彩られた大型トラック、いわゆる“デコトラ”やパチンコ店が登場したビジュアルは、センセーショナルなデビュー・コレクション以降カオスなファンタジー路線を突き進みファッション界に激震を与えていたミケーレの評判と重なり、日本でも大いに盛り上がった。エキシビジョンでは、当時を彷彿とさせる本物の“デコトラ”の一部を起き、BGMとしてパチンコ屋の音声を流しながら、ギラギラのネオンの下で日本にも着想を得たコレクションなどを紹介している。

 エキシビジョンのオープン日から都内4店舗と大阪、名古屋の1店舗で販売するビューティ・プロダクトを記念した部屋「Gucci Beauty Network」では、真っ赤なリップの多様なモデルによる臆面もない笑顔の様子を切り取って放映。旧態依然とした「美しさ」に疑問を感じ一石を投じ続けてきたミケーレの精神性がビューティ・アイテムにも脈々と流れていることが分かる。

 学生運動が盛んだった1968年のパリ、冒険映画の1場面、リアリズムを標榜する絵画、そして1000人規模のパーティでてんてこ舞いだった真夜中のキッチンなど、次々に入れ替わる空間は、ミケーレの絶えることのないイマジネーションを垣間見せる。

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