ビューティ

美容家電、ベストセラー人気は継続? マスク後の未来に向けた“スキンケアトレンド”

 前回に続き、コロナ禍2年目の美容意識と「マスク後の世界」に向けたトレンドを予想する第2弾。今回はスキンケアについて、アットコスメのデータ分析を手がけるアイスタイルの原田彩子リサーチプランナーに話を聞いた。社会活動の再開を視野に入れた際、注目されるスキンケアとはどのようなものだろう?

お家時間で人気が高まった「美容家電」は引き続き好調

 外出の機会が減り「お家美容」という言葉が生まれたように、コロナ禍以降、美容アイテムの中でスキンケアカテゴリーは比較的堅調に推移している印象だ。アイスタイルの調査によると、初の緊急事態宣言発出後の2020年5月「スキンケアにかける金額が増えた」と回答した人は、32.5%。同年10月には42.7%、そして21年5月には52.8%と、着実に増加している。

 「外出の機会が減り、自宅でスキンケアにかける時間が増えたこと。またこれまでメイクアップにかけていた費用を、スキンケアに投資する人が増えたことが関係していると考えられます」。

 今後、社会活動が少しずつ元に戻るとしたら、この状況はどう変化するのか?「多くの場合、自由に使えるお金は一定ですから、これまで美容にかけられていたお金と時間は、コロナ禍以前のように交際費やファッションに分散していくと思われます。現在のようなスキンケア熱が継続するかというと、難しいかもしれません」。

 その一方で、一度注力したスキンケアを、いきなり全て止めてしまうことも考え難いという。コロナ禍を通して注目されたのは、肌への効果が期待できる「高機能スキンケア」「美容家電」だが、この流れは続くのではないかと原田リサーチプランナーは予測する。

 「たとえば、21年上半期の@cosmeベストコスメアワードにも選出された「ミーゼ(MYSE)」の“スカルプリフト”は、顔にも頭皮にも使える美容家電です。5万~10万円台の美容家電も登場する中、約3万円と手が届く範囲の価格帯であり、一度購入すれば少なくとも新たな出費は発生しません。『リフトアップが期待できそう』などの口コミからも、投資に値するアイテムと考えられています」。EMSで頭筋や表情筋を刺激し、微弱な振動でこわばりをゆるめ、すっきりとした表情へと導くスカルプリフト。スキンケアは結局のところ消耗品だが、美容家電は長く使い続けられる点も含め、支持されているという。

リポソームに代表される「ベストセラーの進化版」に注目すべき理由

 時間的な側面で考えると、社会活動の再開は「情報を調べる時間が減る」ことを意味している。あれこれ検索したり、製品を比較する余裕がない時に頼りになるのは「すでに評価が確立したベストセラーの進化版」だ。

 「そういう意味でも、この秋30年ぶりに進化を遂げる『コスメデコルテ(DECORTE)』の“リポソーム アドバンスト リペアセラム”は注目されそうです」と、原田リサーチプランナー。1滴に約1兆個配合した“新・多重層バイオリポソーム”は、美容成分のデリバリー機能だけでなく、リポソーム自体がラメラ構造の形成をサポートする新成分。塗布したその日のうちに速やかな保湿感が実感でき、「今すぐに何とかしたい」というニーズにも応えてくれる。

 「プチプラでも、機能性に優れ、プレミアム感がある製品が注目されると思います。たとえばロート製薬『メラノCC(MELANO CC)』の“メラノCC 薬用しみ集中対策 プレミアム美容液”。すでに人気のメラノCC シリーズより少々高い価格設定ですが、3種類のビタミンC誘導体を配合し、シミやニキビ跡に有効とSNSで話題を呼びました。発売直後は入手困難だったと聞いています」。

多様化する働き方の中で、改めて支持される「オールインワン」

 スキンケアにおいて「今すぐに何とかしたい」というニーズは、今後ますます高まると予想される。なぜなら「社会活動が再開すると“これまで以上の忙しさ”を実感する人が増えるからです」と、原田リサーチプランナー。個人的にも、この言葉には深く頷いてしまった。

 職種によって違うため一概に語ることはできないが、コロナ禍以降、一時的に仕事のペースがダウンした人も一定数いるのではないか。そこからコロナ禍以前のスピード感に戻るとしたら、在宅ワークであっても一定のタスクをこなさなければならない。また、家族がいる環境で仕事をするなど、働き方が多様化する中で「これまで以上の忙しさ」を体感する人は、少なくないと思う。「自分にかけられる時間が減ることにより、発生するのが“お手入れの簡素化“です。オールインワンなどシンプルかつ高機能なアイテムが、より注目されると思います。また時間がないからこそ『すぐに効いて欲しい』という短期的なニーズも高まるでしょう」。

 そんなニーズに応えるように、この秋「アスタリフト(ASTALIFT)」から登場したのが“オプミー”だ。分子量が極めて小さく、浸透感に優れた高濃度ピュアコラーゲンと、肌の上にうるおいを抱え込むジェルネットワークの力で、大人の肌でも満足できるオールインワンである。20年3月の富士フイルムの調査では、オールインワンの使用率はすでに美容液に迫りつつあり、特に30~40代の使用率が高いという。もともと仕事や子育てで多忙な世代特有の事情だが、社会活動が再開したら、さらに他の世代にもこの流れが波及するかもしれない。

 新型コロナ収束後の世界がどうなるか、予想するのは難しい。少なくとも以前と全く同じとは考え難く、スキンケアの選び方や使い方にも変化が生じるはずだ。

 「すでにプチプラのアイテムと、高額なアイテムを併用することが当たり前になっていますが、今後もこの傾向は続くでしょう。近年では、ドクターや化粧品分野の研究者など専門家が動画で言及している製品が、信頼の裏付けとなっている印象です。成分や肌への働きについて詳しく知りたいスキンケア分野では、今後動画コンテンツにおける情報発信も、重要になっていくように思います」と分析する。

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