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インスタとコロナ禍が追い風のブリーチヘア、実は大人こそ挑戦すべき理由

 ここ数年、若年層を中心にブリーチヘアが流行している。原宿・表参道など流行の発信地だけでなく、銀座など大人の街や、新宿などのターミナル駅でも、明るい髪色の人とすれ違う機会が増えた(髪全体だけでなく、一部にハイライトを入れたり、部分的にブリーチしている人含め)。一体その背景には、どのような事情が隠されているのだろう?

ブレイクのきっかけは
「インスタ」と「コロナ禍」

 ミルボンが実施した、20代女性を対象にしたウェブ調査(フリージー調べ)によると、直近3年以内にブリーチを体験したことのある女性は約4割。またヘンケル ビューティケアの調査によると、2020年における国内美容室専売ブリーチ市場は前年同期比28.9%増、同じく国内リテール市場は同28.3%増。特にリテールのブリーチオンカラー市場は2年連続で約30%という伸張率を記録し、ブリーチが成長分野であることは間違いなさそうだ。

 「まず大前提として、日本人は心のどこかで“黒髪ではない違う髪色になりたい”欧米人風の髪色に憧れる気持ちが存在するように思います。そのうえで、ここ数年のブリーチの流行は“インスタグラム”の存在抜きには語れません」とは、ミルボン開発研究本部・シニアリサーチャーの長谷部未来研究員。

 インスタにアップするために自撮りをする際、髪は写る面積が大きい。そしてヘアカラーは、スタイルやアレンジに比べると、パッと見た時に“自己表現”しやすい。「インスタグラム上では海外のカラーデザインもリアルタイムで入ってきますし、一般の方がアップした写真は、より身近な存在として仕上がりをイメージしやすい面もあります」と、長谷部研究員。ハッシュタグ検索をしてみると、2021年3月20日現在「#外国人風カラー」は実に374万投稿、「#ハイトーンカラー」は146万投稿にのぼる。ひと昔前は、芸能人の写真や雑誌の切り抜きを手にサロンに来店する人が目立ったけれど、現在はインスタグラムを参考に「こんな髪になりたい」とリクエストする人が多いという。

 もうひとつ、ブリーチの流行に関与するのが、コロナ禍による「おこもり生活とマスク着用」だ。直接人と会う機会が減少し、メイクの機会が減ったこと。マスク着用中は「目元と髪」という限られたエリアでしかおしゃれを楽しめない。そこで「顔周りの印象を明るくするために、ポイントでハイライトを入れたり、耳の下だけブリーチする“イヤリングカラー”を取り入れる人が増えました。一方、年齢層が高い世代はサロンに通う頻度が減り“白髪染め”の手段としてブリーチを取り入れる方も一定数増加しています」(長谷部研究員)。この大人の女性とブリーチについては、詳しく後述したい。

ダメージはヘアカラー5回分!? ブリーチ毛に生じる独特の悩み

 ブリーチが流行して以来、世代に関係なく髪悩みにある種の変化が生じているという。長谷部研究員は、「消費者調査において、年目立つようになったのが“ゴワゴワする”“髪が硬くなる”というワードです。これまでもヘアカラー後に“パサつく”“毛先が傷む”という声はありましたが、“ゴワゴワ”はブリーチ毛特有のお悩みといえます」と話す。

 ヘアカラーもブリーチも、実は髪色を変える仕組み自体は大きく変わらない。酸性とアルカリ性の薬剤でキューティクルに隙間を作り、髪内部のメラニンを破壊して、黒から明るいトーンへと変えていく。では、何が違うのか?ヘアカラーの場合はメラニンを一部残して別の色に染めるが、ブリーチの目的はメラニンを強力に破壊する(欧米人のような明るいトーンになるまで)ことにある。その分髪へのダメージも大きくなるのは当然のこと。長谷部研究員は、「使用する薬剤やサロンの染め方によって一概にはいえませんが、大枠で考えるとブリーチ1回分のダメージは、ヘアカラー4~5回に相当します。ヘアカラーは主に、髪のタンパク質の間に張り巡らされたCMC(細胞膜複合体)にダメージを与えますが、ブリーチの場合は髪の約8割を占める“タンパク質そのもの”にダメージを与えます。髪内部からタンパク質が流出したり、髪に残ったタンパク質自体が変性した結果“ゴワゴワする”“硬くなる”という、特有の髪悩みが生じるのです」。

極度のダメージには、ブリーチ専用のケアが必要

 仮に部分的なハイライトを入れたとしても、ブリーチをした部分の髪が極度のダメージを受ける事実は変わらない。そこで注目したいのが、近年続々登場するブリーチ毛専用のホームケアや、髪のダメージを防ぎながら自宅でブリーチ可能な染毛剤だ。いずれもブリーチ毛特有の状態をミクロレベルで研究し、ダメージを防ぐべく、最新のテクノロジーを搭載している。

世界初、髪の「結合水」に注目したブリーチ用のホームケア

 ブリーチ毛は、なぜ硬くなるのかを分子レベルで研究した結果、誕生したのが「ミルボン(MILBON)」の“オージュア リペアリティ”シリーズだ。物質の「硬さ・柔らかさ」を決定づけるのは、分子の「動きやすさ」。髪のタンパク質は本来、水と結合しているおかげで動きやすいが、ブリーチ毛はタンパク質周囲の水が失われ、動きにくい状態であることを突き止めた。シリーズ全品にニーム葉エキスを配合し、髪のタンパク質に水を引き寄せ、やわらかくしなやかな状態へと導く。ブリーチ毛から失われたタンパク質を補い、髪内部を補修しながら、髪に残ったタンパク質をケアする「世界初の結合水に注目した画期的なヘアケア」である。ブリーチ特有のゴワゴワ感から解放し、しなやかな髪へと導いてくれる。

自宅で染めても傷まない!ボンディングテクノロジー搭載のブリーチ剤

 「ヘンケルビューティケア(HENKEL BEAUTYCARE)」のゴットゥービーから登場したのは、ヘアサロンで注目される「ボンディングテクノロジー」を応用した、ホームケア用ブリーチ剤だ。髪のタンパク質が分断されるのを防ぐべく、ブリーチ剤にはコハク酸を、トリートメント剤には塩化マグネシウムを配合。タンパク質同士の結合を守り、強化することで、ダメージを防ぎながら美しいハイトーンの髪へと導く。同シリーズには、ブリーチした髪に鮮やかな色を重ねる“カラークリーム”もラインナップ。乾いた髪に塗って10~20分程度置いたのち、洗い流してから通常のシャンプー・トリートメントを。1回でも美しい髪色に染まり、メイク感覚で鮮やかなカラーが楽しめる。

一時的な流行か、定着するかは「大人の女性への浸透」がカギ

 このように、ホームケア用のブリーチ剤や、専用のアフターケアが充実する今。若年層がメイク感覚で、明るい髪色に挑戦する気持ちは共感できる。その一方で、大人の女性の間では、まだまだブリーチに対して、一種のハードルがあるのも事実ではないだろうか。長谷部研究員は「大人の方にこそ、ぜひ挑戦して頂けたら」と語る。大人特有の「白髪」のお悩みに対して、ブリーチだからこそ叶う利点があるからだ。「髪を全部黒もしくはダークなブラウンに染めると、伸びてきた時にどうしても根元が目立ちます。これは白髪染めの永遠のテーマでもありました。髪全体のトーンを上げ、白髪の目立つエリアにブリーチでひと筋ハイライトを入れると、伸びた時にも周囲の髪となじんで、目立ちにくい効果があるんです」。

 ミルボンの調査によると、40代~60代女性がブリーチを始めるきっかけの1位は「白髪対策」。「サロンで薦められて」という回答も、同じく白髪染めの1つの方法として提案されたのではないかと推測できる。ブリーチで満足している点は「白髪が目立ちにくい」が50代で1位、60代で4位。40代以降では「若々しく見える」という声も目立った。

 長谷部研究員は、「コロナ渦では年齢層が高い方ほど、外出を控えサロンの利用頻度も減る傾向にありました。サロン側でも“髪が伸びても白髪が目立ちにくいスタイル”として、ブリーチを提案する機会が増えたようです。これは仕上がりが自然だったり、ダメージを少なく抑えられるようになったブリーチ用ヘアケア剤の進化も関係しています」と話す。

 実は身近な美容関係者(大人の女性)でも、ブリーチを取り入れている方が本当に増えた。皆さん口を揃えていたのは「やってみると、メンテナンスが本当に楽」ということだ。実際に髪の質感を見ると「いかにもブリーチ」という感じではなく、自然に地毛となじんで「これなら私にもできそう?」と思ってしまう。

 大人の女性は「最初の一歩」にハードルがあるけれど、「実際やってみると本当に楽」とい聞くと(忙しい女性ほど)かなり魅力的なはず。若年層が楽しむ鮮やかなカラーは一時的な流行かもしれないが、今後大人の女性たちに定着するとしたら、ブリーチ市場はさらに拡大していく可能性を秘めているのではないか。一連の取材を通して個人的にも興味津々であり、次回ヘアサロンに行く時にはぜひブリーチに挑戦してみようと思う。

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