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この秋は、いろんなグレーのグラデーション エディターズレター(2021年8月12日配信分)

※この記事は2021年08月12日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

この秋は、いろんなグレーのグラデーション

 予測はしていたし、ソレはニューヨーク・コレクションから始まると思っていましたが、やっぱり「NYコレ参加にはワクチン接種証明が必須」になりました。

> NYコレ、参加にはワクチン接種証明が必須に 約90ブランドがリアル発表を予定

 私はワクチンを接種しますし(月末に2回目を接種予定です)、「僕は、接種したほうが安心かもね」くらいのテンションで人と接しています。でもコレは、スタンスとかポリシー、もしくは体の問題でもあり、「義務化」には「ムムムっ」と思うところもあります。ただ、「そうでもしなければ、リアルなショーは再開できない」という意見は「ごもっとも」。NYは、より大勢が安心する方を選んだ、という感じなのでしょうか?

 ただ「ごもっとも」と思うのは、「今、リアルなショーを再開するには」という文脈において、です。だったら「リアルなショー(だけ)じゃなくても良いのでは?」と考えてしまう私は、やっぱり天邪鬼なのでしょうか(笑)?NYファッション・ウイークでは、およそ90のブランドがリアルイベントでコレクションを発表するそうです。一気に“戻った”感がありますね。「SNSでバズらない」とか「存在感が低下してしまう」などの理由から、いよいよ“ガマンできなくなった”ブランドが多いのでしょうか?「隣が参加するなら、私たちもやらなくちゃ」なんて「横並び」(大嫌いな言葉ですw)の意識が働いたのでしょうか?「もうちょっと段階的でもヨカッタんじゃないのかな?」「みんながリアルを再開するから、接種証明が必須になったのかな?」、そんなことを考えます。

 「多様であるべきの業界だから、もうちょっとグラデーションでもいいのにな」。今回も、常々思い続けていることを感じてしまいました。どうもこの業界は、白黒ハッキリつけたい人が多い印象なんです。加えて日本人は正解を求める真面目気質だから、なおさら。本当なら10段階とか100段階くらいあってもいいハズのグラデーションが、3つくらいしかないイメージがあります。NYファッション・ウイークの話なら、もちろん「私たちはリアル」は否定しませんが、「僕らはまだデジタル」があってもいいし、「デジタルがメーンで、リアルは補完」や「リアルが勝負で、デジタルは一応」なブランドだって存在して良いのです。「私たちはリアル」が白で、「僕らはまだデジタル」が黒だとしたら、ライトグレーもダークグレーも、チャコールグレーもあれば良いのです。

 6月のメンズ・コレクションでは、「ロエベ」のジョナサン・アンダーソンがオンラインインタビューで、「リアルに戻れる状況は整いつつあるけれど、どうしようかな?ここ数回は、デジタルで自分のストーリーをキチンと伝えてきたという手応えを感じているから、今はリアルなショーに少しナーバス。一番のチャレンジは、どうやってハイブリッドにするか?リアルショーの前にビデオで説明するのか?それともプレスをバックステージに案内するのか?いずれにしても15分で終了のイベントには戻したくない。だって僕らは、その15分のためだけに働いているんじゃないんだから」と本音を吐露していました。彼は、どんなグレーを描くんでしょう?この秋は、いろんなグラデーションのグレーを見たいと思っています。

SOCIAL & INFLUENTIAL:社会情勢によって変化するファッション&ビューティ業界を見つめます。インクルージョン(包摂性)&ダイバーシティー(多様性)な時代のファッション&ビューティから、社会に届けたい業界人のオピニオンまで。ジャーナリズムを重んじる「WWDJAPAN Digital」ならではのレターです。

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