ファッション

アメリカは今も憧れだろうか? エディターズレター(2021年7月6日配信分)

※この記事は2021年07月06日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

アメリカは今も憧れだろうか?

 皆さん、「ビームス=○○」の○○にはどんな言葉が入りますか?自分にとっては「ビームス=アメリカ西海岸」ですが、ファッション好きの30代から「自分たち世代にそのイメージはない」と聞き驚きました。でも確かに、今の「ビームス」の切り口は宇宙からアニメ、スポーツまで本当に幅が広いから、どこから入るかで受ける印象は全然違いますよね。設楽洋社長は「ミーハー」という言葉をよく使いますが、時代の流れをキャッチするミーハー精神と、それゆえ入り口が多いことこそが「ビームス」の強みであり、結果、持っているイメージも人それぞれなんだと思います。

 1980年代以降、日本のファッション市場、特に日本特有のセレクトショップカルチャーを成長させた原動力は2つの文化への憧れだったと思います。一つはパリコレが象徴するヨーロッパのデザイナーズの世界。もう一つはデニムと古着の匂いがするアメリカ西海岸の世界です。設楽社長をはじめとするセレクトショップやアパレルの創業者の多くが西海岸のファッションや音楽、映画に憧れて事業の礎としてきましたよね。マガジンハウスの「ポパイ」をバイブルに。その世界で育った自分にとっては、「ビームス=アメリカ西海岸」のイメージは強固です。でも同時に昔のような(学生時代には1ヶ月をかけて車でアメリカを一周しました)憧れは自分の中にすらないことは気がついています。一抹の寂しさとともに。

 といったことをここ数ヶ月時々考えていたので、「フリークス ストア」の創業者であるデイトナ・インターナショナルの鹿島研社長が退任すると聞き、そしてその前にインタビューをする機会を得た時、どうしても質問したいことがありました。「鹿島社長が伝えたかったアメリカは、日本のファッション業界にとっても強烈な憧れだった。その憧れはこれからどこに向かうか?」です。答えの一部はこうです。

 「アメリカは20世紀における世界のリーディングカントリーだったが、世界の地政が変わる中で、これから違う変化を遂げるだろう。そのためにもアメリカに初めて行ったときに自分の中に宿った“見えない力”を、今度は世界を旅して感じたい」。

 納得し、元気をもらいました。退任をして今は旅に出ている鹿島さんのインスタグラムをフォローしているのですが、まさに有言実行で行動しています。アメリカは今も憧れでしょうか?という問いを鹿島さんに投げたら多分「イエス」と返ってきます。ただし、過去ではなく今のアメリカの中にその理由を探して答えをくれそうです。私もアメリカだけではなく、世界中の今のカルチャーをもっと体感して語りたいと思いました。

 インタビュー全文はぜひ、小池記者によるこちらのインタビューからどうぞ。

> デイトナ・インターナショナル創業者の鹿島研社長が電撃退任 独占インタビュー(有料会員限定記事)

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