ファッション

ビームスとネットフリックスがコラボ 世界初の公式アイテム発売

 ビームス(BEAMS)はネットフリックス(NETFLIX)とコラボレーションし、世界初となるネットフリックスブランド公式アイテムを5月27日に公式オンラインショップで発売する。6月8日からは北米を含む海外店舗でも順次販売する。

 今回のコラボは、“常に新しい文化を作り続け、世界中を楽しませたい”という両企業の共通した思いから実現した。アイテムはアパレルと雑貨の計13アイテム。見る側も制作チームの気分になれる“DIRECTOR”“CREW”“WATCHER”の文字をプリントしたTシャツ(税込5280円)やスエットのセットアップ(トップ、パンツともに同8250円)などのほか、飲み物やポップコーンを入れるトレイなどで、家でのネットフリックス鑑賞時間を盛り上げる。

 また27日から配信されるネットフリックスオリジナルアニメ「エデン」をモチーフにしたコレクションも同日発売する。アニメの世界観を表現したTシャツ(同5280円、キッズ同3300円〜)やエコバッグ(同4180円)など7アイテムを用意した。

 アイテムに込めた想いや製作背景について、日高正幸ビームス・ビジネスプロデュース・チーフプロデューサーと、テリー・サイ=ネットフリックス・マーケティング・パートナーシップ部門ディレクターに聞いた。

WWD:ビームス側から門を叩いたというが、最初の構想は?

日高ビームス・ビジネスプロデュース・チーフプロデューサー(以下、日高):僕はネットフリックスの大ファンで、いつかコラボしてみたいとずっと思っていたんです。会社で話が出たのは約2年前。何か一緒にできないかと漠然とした状態で声をかけました。PR戦略的な目的はありましたが、尊敬するネットフリックスと何かしたいというパッションの方が強かった。

テリー・サイ=ネットフリックス・マーケティング・パートナーシップ部門ディレクター(以下、サイ):果たしてうちのロゴを使った商品が売れるのだろうかという懸念もありました。新しいコミュニケーション方法として、ブランド化は以前から話がありましたが、準備ができていなかった。しかし、ネットフリックスは全世界の有料会員数が2億人を超え、今なら挑戦できると思いました。形のないエンターテイメントを提供してきた私たちですが、モノを通じてより愛着を持ってもらい、カルチャーを形成することが狙いです。

ネットフリックスとビームスの共通点

WWD:日高さんは具体的にネットフリックスのどんな部分に魅力を感じる?

日高:めちゃくちゃいっぱいありますよ(笑)。特にネットフリックスはサブスク系のエンタメプラットホームの中でもずば抜けて世界観を大事にしている。作品へのリスペクトがチャンネルの中から感じられるんです。誰かの表現を預かるセレクトショップの立場からしても、作品を商業的に扱わない姿勢にすごく共感できました。これまでも、自社のPRムービーを作る時に参考にするなど、間接的にさまざまな影響を受けています。

サイ:確かにクリエイターに対する気持ちは、他とは違う一番のポイントかもしれない。

WWD:世界中からコラボオファーがあったと思うが、ビームスに決めた理由は?

サイ:まず、われわれにとって日本はとても重要です。アジア圏で最初にオフィスができたのも日本ですし、われわれが扱う作品の多さやクリエイターのクオリティの高さも世界トップレベルです。その中でビームスとは「今までにない感動を世界に届けたい」という根底の哲学がとても似ていました。新しいカルチャーを作ってきた先輩であるビームスと取り組むことで、学ぶことがたくさんあると考えたのです。

WWD:アイテムの構想はどのように進んだ?

サイ:最初はアパレルに特化したアイデアでしたが、会話を積み重ねていく中で「ステイホームをいかに楽しんでもらえるか」という共通の思いにたどり着き、雑貨にまで発展しました。ビームス側からは世の中に何か面白いものを伝えたいという気持ちがすごく伝わってきて、話せば話すほど共通点が多いことに気付きました。

日高:ネットフリックスのメンバーはクリエイティブな感覚に研ぎ澄まされているので、僕らも安易に提案できない。打ち合わせ中、「滑ってるな」「まだ足りていないな」というのがわかるんです。ディテールに対してもこだわりが非常に強いので、僕たちも本気でアイデアを出しました。そういう掛け合いはとてもエキサイティングでした。

WWD:デザインでこだわったポイントは?

日高:全面的にロゴを配したのは、自己紹介の意味も込めました。タグの部分はロゴをサークル状にし、つながりを表現しました。一方でオリジナルアニメ「エデン」をテーマにしたコレクションでは、急にお互いの色を消すんです。クリエイターのタイトルを扱う時の姿勢は、いちいち話し合わなくても一致するのが面白かった。

サイ:リモコンのネットフリックスボタンをモチーフにしたTシャツもあります。これを見た時に、リモコンにボタンを埋め込む担当をしていたチームがとても喜んでいましたね。

日高:僕も家のテレビリモコンの真ん中にはネットフリックスのボタンが鎮座していて、見過ぎてロゴが消えかかっているくらいです(笑)。もう当たり前になりましたが、初めてデフォルトで埋め込まれているこのボタンを見たときはすごいマーケティングだなとびっくりしましたよね。この活動を頑張っていた人たちが喜んでくれたのは、僕たちもうれしかった。ちゃんとキャッチできていて良かったです。

WWD:6月8日からは海外店舗での販売も開始する。どんな反応を期待している?

日高:ビームスは海外での卸し先はかなり絞っています。感度の高い方との接点はありますが、ネットフリックスの規模感とは差があります。今回のコレクションテーマである“ネットフリックスを見ている人も作品を作る一員なんだ”という思いを感じてもらいたいです。

WWD:規模感の違いは気にならなかった?

サイ:私たちが考えることは、新しい文化を生み出せるか、まだ人々が感じたことのないフィーリングを作れるか。根底の伝えたいメッセージが明確であれば、最終的にジャッジするのはお客さま。今回のコラボで生まれた化学反応を世の中の人々がどう受け止めてくれるかはこれから分かることです。

日高:ネットフリックスが紹介するのであれば、知らないことでも絶対面白そうって思ってもらえる。それがシナジーです。今話を聞いていて、そういう意味で俺らもピックアップされたんだと知り、鳥肌が立ちました(笑)。僕たちもビジネスの側面と、世の中に埋もれているものを伝えていくという使命があります。実績あるものだけを店に並べていてもダメなんです。

サイ:カルチャーのフロントランナーならではの使命ですね。

WWD:今後、アパレル商品以外でのコラボレーションの可能性は?

サイ:今後も継続的なパートナシップを結んでいきます。斬新な体験とフィーリングを与えらえるかを軸に、すでにいろんなアングルでのディスカッションが始まっています。あとはお楽しみですね。

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