ファッション

オンラインでは絶対できないこと。それは匂いを嗅ぐ行為 エディターズレター(2021年1月26日配信分)

※この記事は2021年01月26日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

オンラインでは絶対できないこと。それは匂いを嗅ぐ行為

 今、ドラえもんに新しい道具をお願いできるとしたら「香りも伝えるインターネット〜(ドラえもんがポケットから出すイメージで読んで下さいね)」でしょうか。

 コロナ下で私たちは目を酷使しています。情報を得る手段はネット上の動画や画像や文字がメーンで、目から得る情報が本当に多い。パンデミック以前もそうでしたが、ここまでじゃなかったですよね。リモートワークでは、隣の席の人に“ちょっと話かける”行為が、ラインやスラック上のテキストコミュニケーションにとって変わっていますから。目から入る情報が過多になってきた今は、耳もかなり使っておりイヤホンが入りっぱなしです。一方、マスク生活ですっかり減ったのが「鼻でかぐ」行為だと思います。自宅前に着いてマスクを外した瞬間、空気の匂いの濃さに驚く毎日です。

 香りはビューティはもちろん、ファッションにおいてもそのカルチャーを形成する大事な要素です。私が初めて訪れたニューヨークで印象に残っているのは、5番街の「ポロ ラルフ ローレン」(残念ながら2017年に閉店)に入った瞬間に漂ってきたカサブランカの香りです。上品で力強いその香りはブランドの世界観と合っていて、鼻の奥の脳のどこかにしっかりとインプットされました。以来、世界中のどこでカサブランカの香りに触れてもフッと「ポロ ラルフ ローレン」の店内を思い出します。多分、“初めてのニューヨーク”や“緊張しながら足を踏み入れる”といった体験・行動と香りが結びついているからだと思います。

 オンラインストアで音楽は工夫次第で届けることはできますが(それも結構難しいけれど)、香りだけは物理的に無理。動画や写真から香りは届かない。その断絶の深さは、ちょっと切ないくらいです。今回のレターを書いたきっかけは下のリンクの記事を読み、「菩提樹の花の香りってどんなんだっけ?」と思ったことです。ミューズである冨永愛さんのいつもと違う少女のような表情にもドキッとしてこの香りを確認したいと思いました。

 画期的な技術は夢から生まれるものだから、このニーズも遠くない未来に実現するのでしょう。PCに内蔵されたアロマデュフューザー的な装置から何千通りの組み合わせで状況に合わせた香りが漂ってくるとかでしょうか?それが実現するまでは、リアル店舗の強みの一つは香りと音楽ですね。あの香りに触れたくてあの店に行く、そんな時間の演出も立派なサービスの一部だと思います。私も「ザ・ギンザ パルファム」の菩提樹の香りを銀座の直営店に行って確認してみようと思います。

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