ファッション

「シャネル」にメンズと子ども服がない理由 エディターズレター(2021年1月19日配信分)

※この記事は2021年01月19日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

「シャネル」にメンズと子ども服がない理由

 「シャネル」にはメンズや子ども服のラインはありません。(2019年に発表されたファレル・ウィリアムスとのカプセルコレクション“シャネル ファレル”はユニセックスです)。なぜでしょう?数年前、当時シャネル日本法人の社長であったリシャール・コラス氏にインタビューをしたときに、この質問をしたら明快な答えが返ってきました。

 「創業者であるガブリエル・シャネルが作っていなかったから」。

 潔い、シンプルな答えですね。「シャネル」の紳士服や子ども服があれば非常によく売れるでしょう。父の日のギフトに「シャネル」のメンズのセーター、友人の出産祝いに「シャネル」のベビー服なんて喜ばれること間違いなしですよね。ビジネスの拡大を考えれば選ばれても何らおかしくない選択肢です。実際、多くのブランドはカテゴリーを拡大することで消費者へのリーチの幅を広げて売り上げを拡大してきました。

 それに、もし自分が「シャネル」の企画担当者だったらと妄想するとメンズのインスピレーション源がいくらでも湧いてきます。例えば、ガブリエル・シャネルの恋人だったと言われる英国貴族や芸術家たち。1910年代から30年代にかけての紳士服を現代にアップデートする仕事は楽しそうです。でも、そんなことは「シャネル」は行わないのです。なぜならガブリエル・シャネルが望んではいなかったから。

 逆にガブリエルが大切にしたこと、追求したことは今も力を入れて投資をしています。例えば、今春オープンする「19M」の存在がそう。職人のアトリエが集まる「19M」は600人以上のクラフツマンが一つ屋根の下に集まるそうで、オートクチュールを原点とする「シャネル」の真髄です。

 ブランドを引き継ぐものが何を広げ、何を広げないのか。「シャネル」という世界最上級のラグジュアリーブランドの選択はブランディングを考えるときに参考になりますね。

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