ビューティ

美容室業界のオリンピック「JHA」を制した内田聡一郎「レコ」代表 「一人のクリエイターとして自信が持てた」

 ヘアサロン業界最高峰のアワード“ジャパン ヘアドレッシング アワーズ(以下、JHA)”の授賞式が11月に開催され、31回目となった今年は、「レコ(LECO)」の内田聡一郎代表が“ジャパン ヘアドレッサー オブ ザ イヤー”大賞部門のグランプリを受賞した。「JHA」は1990年に発足し、年に1度優れた作品を作った美容師、ヘアメイクアップアーティストを表彰するアワードで、そのレベルの高さから“美容室業界のオリンピック”とも称される。ここでは、そのグランプリを制した“時の人”、内田代表に受賞の感想を聞いた。

WWD:グランプリ受賞が決まったときの感想は?

内田聡一郎(以下、内田):正直びっくりしました。準グランプリまで決まった段階で、「グランプリは絶対自分じゃない」と思ったんです。それは準グランプリを受賞した「カーニバル(CARNIVAL)」のkazuさんの作品が、“カットとカラーで魅せる”という点で自分と似たテイストだったから。これまでは毎年、ヘアメイクで魅せる作品やカットデザインで魅せる作品など、テイストの異なる作品がバランスよく受賞していたので、今回もグランプリは準グランプリとは違う系統の作品が受賞すると思っていました。

WWD:今回の受賞作品には“いかにもJHA”といったテイストの作品がある一方で、これまでの受賞作とは違ったタイプの作品もあった。

内田:そうですね。幅広いタイプの作品があって新しい風を感じました。

WWD:受賞したときの周囲の反応は?

内田:SNSでのお祝いメッセージがヤバかったです(笑)。私自身も今回が3回目のノミネートでのグランプリ受賞で、悲願だったのでうれしかったですね。

WWD:内田さんはファッションのフィールドでも活躍していて、JHAはある意味“業界ど真ん中”のアワード。だから“悲願”と考えていたというのは意外です。

内田:僕の理想は“ハイブリッド”で、ファッションもやるけど美容業界的な仕事にも注力する、という姿勢を見せたかったんです。ただ作品作りには“サロンワークとリンクした作品を作る”というこだわりがあって、そこでファッションと美容をつなげている感覚はありますね。こういうコンテストには、サロンワークとはかけ離れた、作り込んだクリエイティブ作品も多くて、それはそれでとても素晴らしいけれど、自分には作れない。自分たちのサロン「レコ」には、ファッションに合わせたエッジィなヘアデザインを求めるお客さまが多くて、そこで提案するスタイルの延長線上にある作品を作るようにしています。

WWD:今回のグランプリ受賞作品も、少し手直しすればサロンワークでも提案できそう。

内田:そうですね、サロンスタイルをブラッシュアップさせた作品です。カットのフォルムとカラーのコントラストで魅せたヘアデザインは、ストリートのパンクスタイルの女性からインスパイアしたもので、ジオメトリックなファッションも、ストリートで着ていてもイタくないと思います。

WWD:受賞したことで、自分の中で何か変わった?

内田:変わりましたね。僕はよくメディアに出させてもらっていることもあり、よく「オーナーとしてもうまくいっているし順風満帆だよね」とか言われるんです。“カリスマ美容師”や“有名美容師”でひとくくりにされて「あなたは特別だよね」みたいな……。自分でも挫折や苦労があったのに、そういう対応がコンプレックスだったのですが、匿名で選ばれるJHAで評価してもらったことで、一人のクリエイターとして自信が持てました。ただ受賞したからには、今後は評価され続けていく義務があると思っているので、そのプレッシャーはありますね。

WWD:今年はコロナ禍で大変な一年でしたが、その締めくくりにいいニュースになりました。

内田:そうですね。この状況下で「美容師にクリエイションて必要なの?」「何のためにクリエイションに取り組んでいるの?」といった議論もありましたが、不安に感じているスタッフに対しても、この受賞が一つのアンサーになればと思っています。

最新号紹介

WWDJAPAN Weekly

ファッション&ビューティメディア大特集 一緒に働く人も目指す人も必読!

11月29日発売の「WWDJAPAN」は、毎年恒例のメディア特集です。今週号には10社、14媒体、そして総勢32人の個性豊かな編集者が登場します。特集は、コロナ禍で編集長に就任&復帰した「25ans」と「MEN’S EX」そして「ハニカム(HONEYEE.COM)」編集長の座談会からスタート。「おめでとう」より「大変だね」と言われることが多かった編集長は、コロナが背中を押したかもしれない新事業への…

詳細/購入はこちら