ファッション

「テクノロジーで多くの人においしいコーヒーを提供したい」 D2Cコーヒーサブスク「ポストコーヒー」の挑戦 

 2019年3月にβ版を始めたスペシャリティーコーヒーのサブスク「ポストコーヒー(POSTCOFFEE)」は、今年2月10日に東京・目黒に体験型店舗をオープンし、ウェブサイトをリニューアルした。AIによるコーヒー診断機能を追加するなど、アップデートを行った。「“コーヒー×テクノロジー”で、自宅でおいしいコーヒーを手軽に楽しめることを目指す」という下村領、祐太朗兄弟の挑戦に迫る。

WWD:「ポストコーヒー」を始めたきっかけは?

下村領(以下、下村):もともとデザインとシステム開発を行う会社を経営していたんですが、それと並行して3年ほど趣味で小さなコーヒー屋をしていました。そこで気づいた課題をデザインとITで解決できればと思い、2019年3月に「ポストコーヒー」のβ版を始めました。

WWD:具体的にはどういったことが課題だったのか?

下村:コーヒー屋をやっていたときには商圏が限られていたので、多くの人がおいしいコーヒーを簡単に買いに行けないということが課題だと考えていました。それを解決するためにECでのコーヒーサブスクを始めたんですが、「おいしいコーヒーが手軽に飲めるようになった」という声をいただきました。ユーザー登録数は全体で約5000人。継続率は96%ほどでした。一方でβ版を運営していて他の課題が見つかったんです。それは「そもそもおいしいコーヒーが何かが分からない」というものでした。そのためには「まずはおいしいコーヒー」を体験してもらうことが重要だと考え、この2月10日に東京・目黒に体験型店舗をオープンしました。この店舗ではバリスタと相談しながら、自分に合ったコーヒーを見つけることができます。今後もポップアップなどは積極的にやっていきたいと考えています。

また「豆の選び方が分からない」「選ぶのが面倒くさい」という声もあり、同じく2月10日にウェブサイトをリニューアルして、10の質問に答えると自分に合ったコーヒーが見つかるコーヒー診断サービスも開始しました。

WWD:確かによほどコーヒーにこだわりがある人でないと、大手のチェーン店で満足している。そもそも“おいしいコーヒー”とは?

下村:僕らが考えるのは“おいしいコーヒー”とはスペシャリティーコーヒー(生産国における栽培管理、収穫、生産処理、選別そして品質管理が適正に行われ、欠点豆の混入が極めて少ない生豆)のことで、現在その割合は8%ほどだと言われています。なので、まだまだ多くの人が本当においしいコーヒーを飲んだことがないと考えています。ただ僕らの競合相手は「スターバックス(STARBUCKS)」や「タリーズ(TULLY’S)」「ドトール(DOUTOR)」などではなく、「UCC」や「キーコーヒー(KEYCOFFEE)」「AGF」など家庭用だと思っていて、今後はオフィスへの供給もしていければと考えています。

WWD:価格は?

下村:スタンダードなのは、3種類(各3杯分)が1セットになったプランで月1480円です。それ以外にも、何種類かその人のライフスタイルに合わせたプランも用意しています。豆は現在15カ国、32種類を扱っていて、15万通りからその人に合った組み合わせを提供しています。おしいしいコーヒーを一度飲むとなかなか一般のコーヒーでは満足できなくなる。「ポストコーヒー」では毎月最適化されたコーヒーが届くので、コーヒージャーニーを楽しめます。全て送料無料。ポスト投函なので、不在がちを気にすることもありません。追加注文も可能で、場所にもよりますが、最短で翌日にはポスト投函することもできます。

WWD:送ってもらう豆は変更可能か?

下村:もちろん可能です。毎月のフィードバックをもとにAIによって最適化していきます。ただまだまだデータがたまっていないので、当面はフィードバックをもとに、社内のバリスタがセレクトしていくつもりです。またLINEを使って、バリスタと相談することも可能です。

WWD:兄弟で経営をしているが、役割分担は?

下村:僕がシステムやプロダクト開発を行っていて、弟の祐太朗はクリエイティブや店舗開発を担当しています。

WWD:昨年10月には5000万円の資金調達を行ったが、どう使っていく?

下村:2月10日にオープンした店舗費用と、焙煎機の購入などに使いました。初めての資金調達で、投資家などにもコネクションがなかったんですが、「資金調達したい」と周りの人に言っていたら、声を掛けられたのがきっかけです。今年中にはもう1回資金調達を考えていて、マーケティングに資金を使っていきたいと考えています。コーヒー好きの投資家の人がいたらぜひ声をかけてほしいです(笑)。

WWD:気になっているサービスは?

下村:お菓子のサブスク「スナックミー(Snaq.me)」です。実際に僕も購入しているんですが、毎回届くのが楽しみです。「ポストコーヒー」もそういった存在になれればと思っていますし、機会があればコラボとかもしてみたいですね。

WWD:今後の目標は?

下村:近い目標だと3年後には会員数2万~3万人、年商では6億~8億円を目指しています。

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