フォーカス

井浦新に聞くデニムの魅力「はき込んで“育てていく”感覚を若い人にも伝えたい」

 俳優の井浦新が広島のデニム生地メーカー、カイハラと共同で取り組む「カイハラ茶綿デニムプロジェクト(CHAMEN PROJECT以下、CMP)」は2月21日、フリークス ストアとのコラボによる茶綿を使ったデニムアイテムを発売した。茶綿とは綿の原種でもある茶色のコットンで、ビンテージデニムの多くに使われている。現在では深みのある色合いが出せる白綿を使うのが一般的だが、ムラのあるラフな風合いを出せる茶綿もまたデニム好きをうならせる。「CMP」ではその茶綿を現代的に解釈し、そのルーツを伝えていくことをさまざまな企業や団体、アーティストなどと組んで行っている。今回発売したアイテムは生地を「CMP」が、デザインをフリークス ストアが、加工を国内有数の加工工場サーブ(SAAB)が手掛けた。アイテムはブルゾン(2万2800~2万4800円)、ワイドパンツ(2万2800~2万4800円)、3Dステッチパンツ(1万7800~1万9800円)の3型で、フリークス ストア各店とオンラインストアで取り扱う。取り組みに参加する井浦にデニムの魅力について聞いた。

WWD:カイハラとの取り組みが始まった経緯、また「CMP」について教えてください。

井浦新(以下、井浦):2016年にデニム生地を帆船の帆にして瀬戸内海を1カ月間クルーズする「旅するジーンズ」というプロジェクトに初めて参加させてもらいました。デニムが潮風や日光を浴びることで自然な色落ちになり、生地自体もタフになる。その生地を使って、僕がやっているブランド「エルネスト・クリエイティブ・アクティヴィティ(ELNEST CREATIVE ACTIVITY)」と数型のアイテムを作りました。それがきっかけで「CMP」を立ち上げることになりました。「CMP」は茶綿を軸に、その素材の深さやよさを伝えていくプロジェクトです。さまざまな企業や団体、アーティストなどとコラボレーションしながら、洋服に限らず形を変えていく“未確認物体”のようなイメージで取り組んでいます。僕はただのデニム好きとして参加していますが、メンバーにはデニムに深い知見を持つスタイリストやエディターもいます。

WWD:井浦さんが知っているカイハラと他のデニム工場の違いは?

井浦:それぞれの工場でよさはあると思いますが、カイハラの一番の特徴は、綿花の生産から製造まで一気通貫で手掛けていること。何度も工場に足を運んでいますが、自然が豊かで水がきれいな場所にあり、藍染めの段階で出た工業排水も人が飲めるレベルまで浄化して自然に還元しています。とことん綿にこだわると行きつくところはそのルーツである茶綿になる――そういうこだわりがあるからこそ、「CMP」が生まれたんだと思います。

WWD:フリークス ストアとコラボしたアイテムにはどのようなリクエストを?

井浦:今回「CMP」のパートナーとして、自由に3型のデニムをデザインしてもらいました。オーバーサイズが今っぽいなと思いますが、ワイドパンツという考えが僕の中にはなくて新鮮でした。あとはワンウオッシュと加工を施したバリエーションに、僕が好きなヒッコリーストライプも加えてもらっています。「CMP」の素材のルーツを探るという探求心とデザインとしての流行の先端から生まれたコレクションです。

WWD:ちなみに井浦さんが初めて買ったデニムは?

井浦:確か中1のときで「リーバイス(LEVIS)」の“501”だったと思います。当時は全く知識がなく、“青いパンツ”ぐらいの感覚でした。お小遣いを握りしめて原宿に行ったんですが、種類が多すぎて何を買えばいいのか分からなくて……。それで色落ちの違いで2本選んだんですけど、ロールアップするという概念もなく丈詰めしてもらって、中2になった頃には丈が短くてはけなくなったり、気付いたら母親が洗濯機で洗ってどんどん色が落ちていったり……。その失敗をもとに、次に買ったのが“701XX”だったんですが、それはとにかく育てようと。洗わずにはき続けて、いざ洗わなきゃなっていうタイミングで、はいたままお風呂に入って色落ちさせるとか。乾いたデニムを見たときに色落ちに感動したのを覚えています。

WWD:デニムには“育てる”魅力もあります。

井浦:デニムってもともとそういうモノだったはずなんです。だけど今は洋服の価格がどんどん安くなって、今着ている服は次のシーズンに買い替えるのが当たり前になってしまいました。でも長く“育てれば”表情が変わって愛着もわく。「CMP」を通して、そういう感覚を若い人にも伝えていきたいと思っています。

最新号紹介