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ZOZOは「リーバイス」コラボにもっと自分色を出してよい!

 ジーンズのオリジンたる「リーバイス(LEVI’S)」とファッションEC大手の「ゾゾタウン(ZOZOTOWN)」が協業――これに合わせてパスカル・センコフ(Pascal Senkoff)=リーバイ・ストラウス ジャパン社長と伊藤正裕ZOZO取締役兼最高執行責任者(COO)に単独インタビューができると聞いて、「WWDジャパン」のEC担当と一緒に原宿のリーバイ・ストラウス ジャパン本社を訪問した。

 ウエストとレングスの組み合わせからなるジーンズの販売には、とかく在庫問題がつきまとう。これをZOZOの持つ100万人以上のリアルなデータで解決しようというのが、今回の協業の目玉だ。そのあたりの詳細はEC担当の記事に譲るが、ひとしきり両首脳の話を聞いたあとで商品を見せてもらう段となり、驚いたことがある。ZOZOスタッフ(伊藤取締役と同席した2人のプレス担当者)の謙遜ぶりだ。

 今回の協業ではメンズでスリムテーパードの“512”、ウィメンズで“ダッドジーン”の2アイテムを販売するが、「ZOZOが行ったのはデータの提供だけ」(伊藤取締役)で、レザーパッチやタグに“ZOZO”の文字はない。それについて、「“ZOZO”なんて入れたら売れない」と言下におっしゃったのだ。

 少なくとも僕は、ZOZOおよび「ゾゾタウン」にネガティブなイメージはない。それどころか、古着の人気ジャンルの一つである“企業モノ”の一環として、ぜひデザイン面にもZOZOらしさを組み込んでほしいと考えていた。豊富な取引実績から紡ぎ出されたZOZOの“答え”にも興味津々だった。そもそもデザインに正解や間違いなどない。165年以上の歴史を持つ「リーバイス」だって小売店からスタートした。それが全くの黒子に徹するというのだ。「かんぬき(補強用ステッチ)に“Z”のロゴを入れては?」などと提案したが、「とんでもない!」との返答だった。

 今回の協業のキモとなるものは“マルチサイズ”であり、それによって「裾をカット(裾上げ)する必要がなくなる」(伊藤取締役)。裾上げすると本来のシルエットが変わってしまうし、昨今の加工ジーンズの場合、せっかく味を出した裾のダメージ部分を捨てることになってしまう。だが、かつて(30~40年前)のジーンズショップは棚いっぱいに「リーバイス」を積み上げ、どんな体形の人が来店しても対応できるようウエストとレングスの組み合わせを取りそろえていた。現在も、日本のジーンズブランド「リゾルト(RESOLUTE)」は87サイズを用意する

※今回の「リーバイス」×ZOZOの協業では、メンズ36サイズ・ウィメンズ28サイズの計64サイズを展開するが、「ビッグデータに基づくため的中率が違う」という

 いずれにしても、「デニムが売れない」といわれて久しい時代に、主要プレーヤーがジャンルを超越してタッグを組む姿勢にはスタンディングオベーションを送りたい。「リーバイス」は男性客に強く、「ゾゾタウン」は女性客に支持されている。またZOZOは“ゾゾジーンズ”を約21万7000本販売した実績を持ち、一方で「リーバイス」は「ECの弱さを自認している」(パスカル・センコフ社長)。つまり相互補完によりウィンウィンの関係となるはずだ。

 半年後をめどに、売れ行きについてぜひまた両首脳にインタビューしたいと思う。