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「“下請けいじめ”ない」 23億円分のレリアン下請法違反勧告に納入業者10社が異例の声明

 婦人服のレリアン(LELIAN)へ納入を行うジャパンスコープほか9社は2月17日、同社が約23億円の下請法違反で公正取引委員会(以下、公取委)から勧告を受けた事案をマスコミ各社が「下請けいじめ」と報道したことが実態に即していないことを説明する声明文を発表し、記者会見を開いた。

 声明文では、「レリアンとわれわれ業者の間に締結していた従来の契約関係の形からすれば、確かに公正取引委員会指摘のような違反が形式的に存在」したと下請法違反があったことを認めた上で、「単純な発注者とその注文に応じて商品を生産もしくは調達して納入している下請業者という関係」ではなく、「納入業者が企画立案してレリアンの店頭情報を参考に製造」していると説明。また、公取委の調査時には現状の取引形態を継続したいと訴える上申書も提出したことが記されている。

 マスコミ各社が本件を「下請けいじめ」と報道することで「レリアンのブランドイメージが大きく棄損され売り上げが大きく打撃を受ける恐れが生じ」たため、実態を説明する記者会見を開くことを決めたという。

 声明に名を連ねたのは、ジャパンスコープ、コイン、三恵、エムシープロジェクト、一珠、東京ドレス、ファスサンファール、アーモンドアイ、セイプ、カタセの10社。会見に出席したジャパンスコープ、カタセ、エムシープロジェクトの代表者らは、それぞれレリアンと築いた良好な関係性をアピールした。

 レリアンと45年以上の付き合いになるというカタセの片瀬衛社長は、「長年良好な関係を築いてきた。厳しい繊維業界でレリアンとわれわれは役割分担をして、利益も相応に分担していた。『下請けいじめ』とする一部の報道に対して異議を申し立てたい」と語った。

 レリアンへの納入が全事業の約90%を占めるというエムシープロジェクトの関根敏之・代表取締役は、「40年前からこの関係を続けてきたため下請法違反という認識はなかったし、良好な関係を築いてきた」と話す。

 ジャパンスコープは1988年にレリアンのOEM方式による婦人服の製造販売を請け負う会社として創業。現在も売上高の約90%をレリアンのODM方式による婦人服の製造販売が占めている。同じく会見に出席した堀卓也ジャパンスコープ社長は、「税務上の問題があるため慎重に検討するが、公取委が命じた未払代金の返金などは受け取らない方針」だと説明する。

 また、ジャパンスコープの黒川洋・最高経営責任者兼会長は、「返品・値引きを見越した値段で取引していた」と実体を説明。「われわれの下にさらに下請け業者があり、約800人が商品づくりにかかわっている。その多くがレリアン専属の下請け工場だ。ブランドイメージが棄損されると、その下請業者までもが影響を受けてしまう」と訴えた。

 公正取引委員会の発表資料によると、レリアンは下請事業者に製造を委託している商品の一部について、売れ残った約6億5500万円分の商品の返品や、同社がセール時に店頭小売価格を引き下げるための原資を下請事業者に負担させるいわゆる「マークダウン等による値引き」などによって約14億9100万円を不当に減額したという。

 また、原則として下請事業者の納品物を受領した日から60日以内に代金を支払わなければならないところ、同社は顧客に販売した日を下請け業者から受領した日とみなして支払期日を定める消化仕入取引を行っていたため支払期日が定められておらず、2018年11月以降に下請事業者から受領した商品の一部について代金を支払っていないという。未払額は下請事業者10人に対して総額約1億7000万円。

 公正取引委員会はレリアンに対して、未払いの下請代金および遅延利息の支払いや減額した金額の支払い、返品した商品を再び引き取ることや今後同様の事象が起きないよう取締役会の決議で確認することなどを勧告した。

YU HIRAKAWA:幼少期を米国で過ごし、大学卒業後に日本の大手法律事務所に7年半勤務。2017年から「WWDジャパン」の編集記者としてパリ・ファッション・ウイークや国内外のCEO・デザイナーへの取材を担当。同紙におけるファッションローの分野を開拓し、法分野の執筆も行う。19年6月からはフリーランスとしてファッション関連記事の執筆と法律事務所のPRマネージャーを兼務する。「WWDジャパン」で連載「ファッションロー相談所」を担当中