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「ロエベ」と「ランバン」が和解 「ランバン」新クリエイティブ・ディレクターの移籍問題に決着

 LVMHモエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON以下、LVMH)傘下の「ロエベ(LOEWE)」は、ブルーノ・シアレッリ(Bruno Sialelli)の移籍が競業避止義務違反に当たるとして、中国の投資会社フォースン インターナショナル(FOSUN INTERNATIONAL以下、フォースン)傘下の「ランバン(LANVIN)」を相手取りパリ商業裁判所に提訴していたが、このほど和解が成立した。

 「一定期間、競業他社への移籍禁止を『ロエベ』と約束していたブルーノ・シアレッリを『ランバン』が新アーティスティック・ディレクターに迎えた件について和解した」と両社はコメントを発表。そのなかで、「『ランバン』は今回の人事について性急すぎた結果、『ロエベ』への配慮を欠いていた」と明記している。

 シアレッリは、2016年3月に「ロエベ」に参加。ジョナサン・アンダーソン(Jonathan Anderson)直属のメンズウエア・デザイン・ディレクターを務めていた。「ロエベ」との契約には19年5月まで競業他社への移籍を禁止する条項が含まれていたが、同年1月には「ランバン」がシアレッリを新アーティスティック・ディレクターに迎えたことを発表した。

 LVMHは競業避止について厳しいことで有名だ。ラフ・シモンズ(Raf Simons)が「ディオール(DIOR)」から「カルバン・クライン(CALVIN KLEIN)」に移籍した際も、競業避止期間が終了した日を移籍日としていた。

 今回のトラブルの背景には、苦難続きの「ランバン」の再建を新経営陣が急いだことが原因とされている。「ランバン」はアルベール・エルバス(Alber Elbaz)が15年にブランドを去って以降、後任のブシュラ・ジャラール(Bouchra Jarrar)が在任わずか16カ月で退任し、オリヴィエ・ラピドス(Olivier Lapidus)も2シーズンでブランドを去るなどウィメンズのトップが定着しなかった。18年には会社清算の危機に直面し、フォースンが過半数株式を取得したことで傘下に収めた。メンズも18年11月には13年間クリエイティブ・ディレクターを務めたルカ・オッセンドライバー(Lucas Ossendrijver)が退任した。現在はシアレッリがメンズとウィメンズ双方を統括し、ブランドの若返りと再建に着手したばかりだ。

YU HIRAKAWA:幼少期を米国で過ごし、大学卒業後に日本の大手法律事務所に7年半勤務。2017年から「WWDジャパン」の編集記者としてパリ・ファッション・ウイークや国内外のCEO・デザイナーへの取材を担当。同紙におけるファッションローの分野を開拓し、法分野の執筆も行う。19年6月からはフリーランスとしてファッション関連記事の執筆と法律事務所のPRマネージャーを兼務する。「WWDジャパン」で連載「ファッションロー相談所」を担当中