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元乃木坂46の伊藤万理華が“ホームシック”をテーマに個展を開催 漫画家の椎名うみとの出会いがきっかけ

 元乃木坂46のメンバーで、現在は女優として活動する伊藤万理華による自身2度目の個展「HOMESICK(ホームシック)」が、1月24日から2月11日まで東京・渋谷パルコの地下1階にあるギャラリーXで開催されている。今回は漫画家の椎名うみをはじめ4人のクリエイターと、ファッションブランド「ボディソング(BODYSONG.)」「パーミニット(PERMINUTE)」「タナカダイスケ(TANAKA DAISUKE)」とコラボ。会場は「写真ゾーン」「漫画ゾーン」「ショートムービーゾーン」「ファッション×ダンスゾーン」に分かれており、各ゾーンでコラボした作品を楽しむことができる。なぜテーマが“HOMESICK”だったのか。個展にかける思いとともに彼女に聞いた。

WWD:まずは個展をやることになったきっかけから教えてください。

伊藤万理華(以下、伊藤):今回の個展では漫画家の椎名うみさんとコラボしているんですが、もともと私がうみさんのファンで、いつかお会いしたいと思っていてたんです。それで1年ほど前に勇気を出して「会いたいです」と伝えて直接お会いすることになりました。いろいろと話していくうちに仲良くなって、「うみさんと何かやりたい」と思うようになったのがきっかけです。それから以前から知っていた映像ディレクターの柳沢翔さんを交えて3人でやったら新しいことができると思って、そのアイデアを表現できるのが個展だったんです。

WWD:いつごろから考えていたんですか?

伊藤:うみさんとお会いしたのは1年ほど前で、個展をやろうと決意したのは半年ほど前です。それから以前の個展のときにもお世話になったパルコの担当の方に私が直接プレゼンしに行って、渋谷パルコで開催することになりました。

WWD:個展タイトルの「HOMESICK」にはどういう意味が込められている?

伊藤:前回の個展が終わって、乃木坂46を卒業してから1年半ほどひきこもっていたんです。乃木坂46には6年間いたんですが、いた場所が大きすぎて、卒業してから自分の環境が整っていないことへの不安もあったりして、家族や友だちとのコミュニケーションを避けている時期がありました。今回の「HOMESICK」は「家族から離れて寂しい」という意味ではなく、“HOME(家)SICK(病気)”という解釈で“家が病んでいる”みたいなネガティブな意味なんです。今回の個展を開催することで、私自身がそれを乗り越えたいという気持ちでこのタイトルにしました。

WWD:椎名さんの漫画や柳沢さんの映像はかなりダークで衝撃的な内容でした。

伊藤:うみさんに漫画「おかえり」を描き下ろしてもらい、柳沢さんにはその漫画をベースに実写作品「HOMESICK」を作ってもらいました。うみさんとは本当に裸で向き合うという気持ちで、ひきこもっていたときの自分が今どういう状況でどんな気持ちなのかを正直に話しました。それで作品を作ってもらったんですが、うみさんが私の話を聞いてどういう作品にするのかすごく楽しみでした。今回の漫画は人それぞれ受け止め方が違うと思いますが、個展でしかできない表現だし、今のタイミングでしか伝えられないことがこれに詰まっています。

WWD:漫画以外のコラボはどのように決まったんですか?

伊藤:うみさんの漫画とそれを実写化することは決めていて、個展をするなら他のクリエイターともコラボしたいと思い、縁のあるフォトグラファーの前康輔さんや振付師の菅尾なぎささん、あとは自分が気になるファッションブランドにお声掛けさせていただきました。

WWD:ファッションブランドは「ボディソング」「パーミニット」「タナカダイスケ」の3ブランド。それぞれのブランドに一点ものの衣装を制作してもらっていますが、どういったきっかけでこの3ブランドになったんですか?

伊藤:もともとファッションブランドとのコラボ企画は、私が直接「装苑」編集部に持ち込んで実現した企画なんです。そこでどんなブランドとコラボしたいかとなって、この3ブランドになりました。「ボディソング」は乃木坂46時代から衣装を作ってもらっていたことがあったんですが、「パーミット」の半澤さんと「タナカダイスケ」の田中さんは前から気になっていてお会いしたかった人たちで、今回初めてご一緒しました。それぞれ「HOMESICK」をテーマに服を作ってもらったんですが、三者三様ですばらしい作品を作ってくれました。

WWD:衣装に関しては、どんなオーダーをしたんですか?

伊藤:今回の展示では実際に作っていただいた衣装を着て、振付師の菅尾さんにダンスの振り付けをしてもらい、それを映像にしたいと考えていました。だから一つだけ「踊れる衣装」というのはお願いして、あとは私のパーソナルな話をして、そこからイメージしてもらい、作っていただきました。

WWD:今回、伊藤さんがお母さんと一緒に作ったドレスも展示されていますね。

伊藤:はい。今回、母とコミュニケーションをとるために初めて一緒にドレスを作りました。それが今回のメインビジュアルで着ている服です。

WWD:伊藤さんの母親はファッションデザイナーだったんですよね?

伊藤:母がファッションデザイナーで、父がグラフフィックデザイナーでした。母はもうファッションデザイナーを辞めているんですが、今でもファッション関系の仕事をしています。家にはミシン部屋があったり服がたくさんあったりして、子どものころから自然とファッションには興味を持つようになりましたし、モノに対する探求心も芽生えていきました。

WWD:展示会のグッズも充実していますね。伊藤さんが考えたんですか?

伊藤:そうです。TシャツやロンT、パーカ、トートバックなど、普段でも使えるように意識してアイテムは考えました。グッズに使っている「HOMESICK」のロゴは私自身がデザインしたんですが気に入っています。最初は絵の具を使って手描きしていたんですが、それだと温かみのある雰囲気になってしまい、イメージと違う感じになってしまって。今回はもう少し冷たくて現代っぽい方がいいなと思って、それでPCでデザインしたら納得のいくものができました。

WWD:今回の個展はどんな人に見てもらいたいですか?

伊藤:半年前まで感情をぶつけるところがなく、ひきこもっていた私が衝動的に動いた結果、今回の個展が開催できました。私と同世代の若い人は感受性が強くて、外から見ればたいしたことないことでもすごく傷ついてしまうことがあります。それで一歩も踏み出せない人も多いと思うし、それが半年前の私でした。そんな同じような経験をしている人たちに見てもらって、何か感じてもらえればと思いますし、一歩踏み出す勇気を持ってもらえればうれしいです。

WWD:個展のあとはどんなことをやっていきたい?

伊藤:あまりジャンルを決めずに制作活動はしていくつもりです。あと女優としてもおもしろい作品に出演していきたいです。

■伊藤万理華 展覧会「HOMESICK」
日程:1月24日〜2月11日
会場:渋谷パルコ ギャラリーX(渋谷パルコ地下1階)
住所:東京都渋谷区宇田川町15-1
時間:11:00〜21:00
料金:一般 500円