PROFILE: ガエタノ・シウト/メゾン マルジェラ最高経営責任者

OTBグループ傘下の「メゾン マルジェラ(MAISON MARGIELA)」は近年、クリエイティブ・ディレクターをグレン・マーティンス(Glenn Martens)に代え、改めてメゾンの門戸を開き、新客を迎えようとしているように見える。ロレアル(L'OREAL)とのフレグランスの強化なども一例だし、東京・恵比寿の旗艦店ではこの秋、リアルとデジタルを交えてイベントも開催する。メゾンは今、何を考えているのか?ガエタノ・シウト(Gaetano Sciuto)=メゾン マルジェラ最高経営責任者(CEO)に聞いた。(この記事は「WWDJAPAN」2026年11月2日号からの抜粋です)
WWD:現職に就任して3年が経過したが、「メゾン マルジェラ」を、どんなブランドと捉えているのか?他と比べて、どんな点が異なっているのか?
ガエタノ・シウト=メゾン マルジェラ最高経営責任者(以下、シウトCEO):さまざまなブランドで働いてきたが、アーカイブを見て、チームとともに働き、「メゾン マルジェラ」のDNAはだいぶ理解できるようになった。コアバリューは、3つだ。まず「メゾン マルジェラ」とは、①“ガーメント・ハウス”。生地を意味ある形で用い、実験を恐れず、新たな美を見いだしている。そして私たちは、②強いコミュニティーを持っている。製品やスタッフの白衣を「カッコいい」と思うのではなく、洋服に意図的に残した未完な部分や、ロゴに頼らないクリエイション、そしてデザイナーに必要以上の注目が集まらない匿名性などの特徴の意味や価値を信じるコミュニティーを有している。そして最後は、③“挑発的”なところ。他のラグジュアリー・ブランドとは異なり、「メゾン マルジェラ」は好きな人もいれば、嫌いな人もいるかもしれない。実験しながら、新たな美を提唱しようとするブランドは挑発的であるべきだ。
WWD:そんな特徴を、ビジネスの成長にどうつなげている?
シウトCEO:重要なのは、一貫性だ。ディナーに例えれば、私たちは5つ星ホテルのレストランが提供するものではないだろう。店舗も、いわゆるラグジュアリー・ブランドのブティックが立ち並ぶような目抜き通りにはあまり出店しない。メゾン初のブティックの恵比寿の店舗が好例だ。恵比寿の店舗は、一般的に考えれば、ビジネスにおけるベストな立地ではないだろう。顧客にとっても、利便性は決して高くない。でも創業者のマルタン・マルジェラ(Martin Margiela)は、「ファッションは常に対話」と言っていた。恵比寿に出ること、他とは違う空間で異なる接客すること自体が「対話」だ。「対話」こそDNAなので、私もこれまでとは異なり、「メゾン マルジェラ」では会話を重視している。常に話し合うのは、「自分たちにとって、正しい道を歩んでいるか?」。ビジネスは順調だが、私たちは多い・少ないではなく、フィットしているか・否かという視点で考えている。これまでと同様の一貫性を維持するには、時として世間一般とは異なる判断を下すリスクが必要だ。
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