
今季のミラノでは、ブランドアイデンティティーのアップデートが進んだ。ただ分かりやすいロゴに頼るのではもはや響かない。ブランドの根底に流れる美意識やシルエット、背景にある精神に立ち返り、それを今の感覚で解釈し直すことで、飽和する市場でも戦える唯一無二の武器が見えてくる。ここで紹介するブランドは、自分たちは何者なのかを問い続け、その答えを新しく描き直すことで、“らしさ”は何度でも魅力的に輝くものなのだと証明した。(この記事は「WWDJAPAN」2026年10月12日号からの抜粋です)
「グッチ(GUCCI)」
DESIGNER/デムナ(Demna)
デムナの考える“グッチネス”を突き詰めた結果行き着いたのは、ブルジョワ的な品位と反骨精神、奇抜さや官能性の内包。店舗を再現した会場では、実際の顧客もモデルとしてランウエイを歩いた。肩掛けニットに白パンツと乗馬ブーツ、ボウタイブラウスにツイードジャケット、メンズでは素足にローファーを合わせたシャープなテーラードなど、スノッブな世界観を体現するルックがある一方、その価値観に反発するようなスタイルも同居する。ラガーシャツには、裏地にGGモチーフを配したオーバーサイズシャツをだらしなく羽織り、タータンチェックのプリーツスカートにシワシワのブルーシャツとブルゾンを重ねた“バッド・プレッピー”は癖になる魅力を放つ。10.5cmのピンヒールや巨大なホースビットのベルト、スーツに重ねる大ぶりのチェーンネックレスなど、アクセサリーも品位と反骨を行き来した。「グッチ」の美学にデムナらしさを重ねた新たな“グッチネス”の表現を開拓した。
「プラダ(PRADA)」
DESIGNER/ミウッチャ・プラダ(Miuccia Prada)&ラフ・シモンズ(Raf Simons)
“プラダ・ガール”を象徴する膝丈のスカートのみで構成した、潔いコレクション。スカートを「さまざまなアイデアを試すための枠組み」と捉え、合わせ部分をベルクロにしてシルエットに可変性を持たせたものや、ピンクのベルクロにビジューをのせたものも。シレ加工を施したマットな素材やリナイロンといった工業的な素材からは、鮮やかなプリーツスカートを仕立てた。一方、アーカイブのプリントをのせたスカートは、また別の強さを見せる。トップスはブラやシンプルなセーターに絞った。要素をそぎ落とすことで浮かび上がるのは、「プラダ」らしさの普遍性と、その中にある変化の余地だ。変わらない核があるからこそ、いくらでも新しくなれることを証明した。
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