ゴールドウインは巻き返しに向け、「サミット」シリーズを中心とした“頂上製品”の開発を強化する。同社は2026年4〜9月期決算で営業利益が前年同期比31.7%減の47億円と落ち込んだ。主力の「ザ・ノース・フェイス(THE NORTH FACE)」が軽衣料や定番のロゴ商品が伸び悩んだためだ。立て直しの軸に据えるのが、極地での使用を想定した高機能製品の開発だ。
渡辺貴生社長は会見で、「ザ・ノース・フェイス」の課題認識を示した。「売上高は10年間で約5倍に成長した一方で、コア(CORE)と位置づける高機能製品群への開発投資が遅れ、日常で選ばれるライフスタイル製品群のモア(MORE)への波及力も鈍った。極地で鍛えたコアの製品が日常に広がり、モアの大きな需要を生む。これまでの成長はこの循環の結果であり、コアの“山頂”が高いほど裾野は広がる。ところが開発が遅れ、商品構成はロゴ商品に偏った。売上高の伸びに開発投資が追いつかず、看板となる売れ筋も不足。実需とのずれが値引きを招き、開発に回す利益を圧迫するという悪循環に陥った」と振り返った。
巻き返しのため、開発に関わる人と費用への投資を増やし、「コアの山頂を再び高くする」。その象徴がサミットシリーズになる。現在の商品構成比は1%にとどまる。渡辺社長は「60周年のイベントで見せたような、過去のアーカイブを生かした、誰もできないような商品群を開発していく。それがデファクトになると考え、世の中にないもの、先進的な素材や設計、テクノロジーを投入する。サミットシリーズはいまは1%しかないが、1割くらいまで伸ばしていく。世の中にないものを作り続け、積極的に拡大する」と語る。
コアの開発は時間もリソースもかかる。対象はクライミング、ラン、スノーの分野。富山の研究所と連動して新素材の開発を強化し、外部との連携も積極的に進める。ザ・ノース・フェイスでは全社を挙げてものづくりの見直しに取り組み、ナナミカが手掛ける「ザ・ノース・フェイス パープルレーベル(THE NORTH FACE PURPLE LABEL)」と本社との連動も強める。渡辺社長は「ファッション性が高く、機能性も圧倒的に高い製品群の開発と、その環境づくりを進める。これこそが競合にはない、ゴールドウイン独自の強みだ」と力を込める。
狙いは、コアを磨くことで市場の大きいモアの品質と売り上げを引き上げることにある。高機能製品の存在感が、これまでブランドに触れてこなかった層への入り口にもなる。課題に挙げるのが女性客の比率の低さで、女性向けウエアの開発も強化する。
ただ、ゴールドウインへの期待は高い。本日の株価は、減益発表だったにもかかわらず前日と比べ6.39%高の2289.5円となった。「質を上げながら、ブランドの価値を上げながら、量も狙っていく」と意気込むゴールドウインの渡辺社長。巻き返しはなるか。