ゴールドウインは、主力ブランド「ザ・ノース・フェイス(以下、TNF)」の60周年を記念した特別展「NEVER STOP EXPLORING EXHIBITION」を東京・青山の本社1階で10月31日まで開催中だ。60年間の軌跡を振り返るだけでなく、現在進行形の取り組み、未来に向けた取り組みをたくさん紹介しており、ブランドの一貫した哲学を知ることができる。TNF事業本部・副本部長の大坪岳人氏は「TNFが提供する体験価値を多くの方に知ってほしい」と話す。
大坪氏はTNF事業部クリエイティブディレクターの原田貴章氏とともに同展の企画を担当した。最初に頭をよぎったのは、若手の頃に担当した40周年の特別展だった。主導したのは、TNF事業部長だった渡辺貴生氏(現ゴールドウイン社長)。フルカーボンの骨組みの白いドームテントを会場の中心に置いた。フルカーボンは他に先駆けて採用した。雪の中でも使われる登山用テントでは通常使われない白をあえて使った。「最先端の素材、画期的な設計構造、斬新なデザインに衝撃を受けた。ブランドを作るというのはこういうことなのか、と目が醒める思いだった」。
今回の60周年の特別展で一際目を引くのが、モコモコした白いスーツだ。ダウン(羽毛)の替わりに空気で保温する新技術「ヴォクセロフト」を採用した実験的ウエアである。研究開発施設ゴールドウイン テック・ラボ(富山県小矢部市)が開発した。衣服内の空気量を調整すれば、着脱の手間なく常に快適な保温性を保てる。「TNF」では11月末に第1弾商品を発売する。
大坪氏は「高所向けに関しては乗り越えるべき課題が多く、まだ試行錯誤の段階」としながらも、「ダウンを使わずに人がヒマラヤに登れたら、もっと軽くて自由に登山を楽しむことができる」と未来につなげる意向だ。常識にとらわれず、磨き抜いた技術で新しい未来を見せる。ヴォクセロフトの実験的ウエアは、20年前の白いドームテントのメッセージを継承した展示となる。