アトモスの創業者・本明秀文さんの独自の目線と経験から、商売のヒントを探る連載。2026年を迎えた。「スニーカーブームは去った」と言われて久しい。そんな中で、ブームの中心的存在である「ナイキ(NIKE)」も昨年は勢いを欠いた印象が強かった。復活のタイミングはいつ訪れるのか。本明さんは「思った以上に早く人気が出る可能性もある」と見る。ただし、そのためにはいくつかの条件があるとも。スニーカーカルチャーを最前線で長年見続けてきた男が、26年のスニーカー市場を占う。(この記事は「WWDJAPAN」2026年1月12日号からの抜粋です)
本明秀文(以下、本明):2025年は「ナイキ」の調子が悪くて、残念だった。やっぱり「ナイキ」の調子が上がらないとスニーカーマーケットは盛り上がらない。しばらく復活することはないかもと思っていたけど、意外と早く人気が戻って来るかもしれない。
──というと?
本明:いろんなスニーカーショップをブラブラ見て回ると、「ABCマート」で「ナイキ」が売れているからマスにはかなり広がっている。過去にも、いわゆる“スニーカーブームの中心”としての「ナイキ」が売れない時期があった。さかのぼれば90年代後半の「エアマックスブーム」が去った後、“ハラチ”のようなそれまで注目されてなかったモデルが売れ始めたこともあったんだけど、今レトランブームの間で、“ボメロ”とかが少しずつ売れてきているのは、そのムードに似ている。
──僕も(たまたま)今、“ボメロ”を履いています。
本明:メーカーは相変わらず、“95”のようなアイコニックなモデルばかり注力しているけど、それはこれまでのランシューの文脈。“ボメロ”のようなモデルが売れてきたら「ナイキ」がまた来るな、と僕は思う。多くの人が持っていない。だからこそ、流行り出したら欲しくなる。株で言えば、空売りしている感覚だよね。それに、「ナイキ」のセールスパーソンは優秀。僕たち自身も、「ナイキ」から多くの売り方を学んだ。かつての優秀なセールスパーソンたちが、今では「アディダス(ADIDAS)」や「サロモン(SALOMON)」「ホカ(HOKA)」「アグ(UGG)」「クラークス(CLARKS)」「メレル(MERRELL)」「サッカニー(SAUCONY)」とか、いろんなメーカーに散らばり要職に就いている。加えて、「ナイキ」は人にちゃんと投資するから、また新しい優秀な人が入ってくる。今回の箱根駅伝でも着用率では「アディダス」が一番だったけど、1ブランドが圧倒的に独占する時代でもない。今はどのブランドも大きな差はなく、ほぼ横一線。バランスが均等になってきたからこそ、最終的には優秀な人が集まるところが勝つと思う。
──なるほど。
本明:あとは、同じモデルの復刻を減らすこと。お客さんがもう飽きちゃってる。そして“エア”という概念の呪縛からどう離れるか。“エア”は30年以上前から続く技術だよね。靴はアッパーよりソールの形状が重要。“エアマックス95”は当時、横から見える“エア”が斬新だった。同じように、「ホカ」は極端に分厚いソール、「オン」はチューブ状の構造──その違和感がないと売れない。
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