カナダ・ケベック上級裁判所は、経営破綻した高級ファッションEC「エッセンス(SSENSE)」を、同社の共同創業者であるラミ・アタラ(Rami Atallah)最高経営責任者(CEO)、バッセル・アタラ(Bassel Atallah)最高執行責任者、フィラス・アタラ(Firas Atallah)最高財務責任者らが買収することを承認した。今後は現経営陣の指揮の下、事業再建を目指すという。
米国の少額免税ルール撤廃が痛手に
「エッセンス」は、アタラ三兄弟が2003年に設立。主に若者をターゲットにした高級ファッションECとして人気を博し、モントリオールに1店の実店舗も構えている。しかし、ラグジュアリーセクターが減速し始めた24年頃から業績が低迷し、米国が25年8月に個人輸入のデミニミス(少額免税)ルールを撤廃したことで事態がさらに悪化。同月下旬には経営破綻状態に陥った。アタラCEOによれば、債権団は同社を清算して資金を回収するべく、同氏ら経営陣の同意なしにカナダの民事再生法にあたるCCAA(企業債権者調整法)の適用を裁判所に申請したという。同氏らはこれを不服とし、独自の再建案を提出。9月には現経営陣の続投を承認する判決が出され、同社はつなぎ融資を確保。12月、同氏らは債務を含めおよそ7800万カナダドル(約88億円)での買収案を提示した。債権団はこの買収案を可能にする取引の差し止めを申し立てていたが、裁判所はこれを26年2月4日に棄却。同月13日に取引が成立した。同社を売却して清算した場合の見積もりが4900万~5400万カナダドル(約55億〜61億円)だったことも、今回の裁判所の決定を後押ししたと見られている。
なお、21年に米投資会社セコイア・キャピタル(SEQUOIA CAPITAL)が「エッセンス」の少数株主となった際の企業価値は50億カナダドル(約5650億円)だった。
「運営の継続と雇用の維持を第一に考えた」
同社は、「数カ月にわたって不安定な状態が続いたものの、取引が成立したことは重要なマイルストーンであり、『エッセンス』を長期的に構築および運営していく当社の能力を認めるものだ。今回の手続きでは、従業員、顧客、サプライヤー、パートナーに安定をもたらすべく、運営の継続と雇用の維持を第一に考えた。今後もパーパスにコミットし、カルチャーを大切にしつつ、それを育む土台であるプラットフォームを提供していく。この難しい時期においても当社をサポートしてくれたコミュニティーに心から感謝している」と声明を発表した。