欧米ブランドの仕入れが難しくなる中、日本のバイヤーや関係者にとって存在感の高まっているのが「上海ファッション・ウイーク」だ。同FWで台頭するデザイナーズブランドは価格・品質・デザイン力が高く、日本市場への親和性は高い。他の都市のファッション・ウイークとは異なり一般消費者向けイベントも充実し、異色のショールーム兼セレクトショップが支援するなど、実態も興味深い。こうした裏側を長年日中ブランドの橋渡しを担ってきた幸田康利オープンクローズ代表が前編と後編の2回に渡ってリポートする。(この記事は「WWDJAPAN」2025年10月27日号から抜粋・加筆しています。無料会員登録で最後まで読めます。会員でない方は下の「0円」のボタンを押してください)
(前編はこちら)
パリや日本のファッションウィークと異なり、一般消費者向けに開かれたイベントが充実しているのが上海ファッションウィークの特長だ。長年その代表例であり続けたのが「レーベルフッド(LABELHOOD/蕾虎)」であり、また今季のファッションウィークのもう一つの大輪の花が「ドンリャン(DONGLIANG/棟梁)」であった。
レーベルフッド(LABELHOOD/蕾虎)
今季、ファッションウィーク全体が縮小傾向にあることは否めないのだが、「レーベルフッド」では6日間にわたり13ブランドがランウェイショーを行った。上海ファッションウィークのメイン会場と比べ、観客の比較的少ない新進のデザイナーを対象としているが、そのクリエイションは選別されている。トリは 日本でもショー経験のある SHUSHU/TONG。一方で商業的な傾向のあるブランドは3kmほど離れたメイン会場で発表を行う。
今季はベルギー発のファッションマガジン『A Magazine Curated By』が34人のキュレーターを再結集させ、それぞれの個人的なファッションアーカイブの展示も行った。こちらは洋の東西を問わない展示だった一方で、別フロアでは同様のアプローチで、20年の中国のクリエイティブシーンを辿っていた。また、25ブランドが参加するショールームも開催しており、バイヤーからの受注を集めていた。
「レーベルフッド」の会場周辺では、毎度のように業界人だけでなくKOL・インフルエンサーが集まり、彼ら含めておしゃれな人をストリートスナップすべく一眼レフを構えて待機するカメラマンは10名を下らない。上海ファッションウィーク中の主立ったイベントは、毎回 およそ5つほどのエリアで分散されて開催されるのだが、「レーベルフッド」は、今季も間違いなくその中心であり象徴であり続けていると言える。
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