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「トリンプ」新社長が語る全方位強化戦略 ボディーメイクのセグメントでブランド力アップ

PROFILE: アンドリュー・ブバラ/トリンプ・インターナショナル・ジャパン社長

アンドリュー・ブバラ/トリンプ・インターナショナル・ジャパン社長
PROFILE: 1973年アメリカ・インディアナ州出身。大学在学中に1年半日本に留学。1995年イエール大学卒業後、日本のソニーでキャリアをスタート。2001年、ヴァージニア大学ダーデン・スクール・オブ・ビジネスでMBA取得後、日本に戻り、ソニーエレクトロニクス入社。13年グーグル合同会社を経て15年、グループセブ ジャパン社長へ就任。24年12月から現職 PHOTO:SHUHEI SHINE

トリンプ(TRIUMPH)」は3月、菜々緒をアンバサダーに起用し、新作“ハイブリッドブラ 秘めわざ(以下、ハイブリッドブラ)”を発売した。同ブランドは1886年にドイツで創業した老舗下着ブランド。日本法人であるトリンプ・インターナショナル・ジャパンは1964年に設立され、“天使のブラ”や“恋するブラ”などヒット商品を発売してきた。現在では、「トリンプ」以外にも快適下着の代表格「スロギー(SLOGGI)」などを展開している。ここ数年で、「ユニクロ(UNIQLO)」や「無印良品」により、下着市場を取り巻く環境は急変した。そんな中、下着大手「トリンプ」はどのようにそれら企業と戦うのか。昨年12月、新社長に就任したアンドリュー・ブバラ氏に、今後の戦略について話を聞いた。

WWD:家電業界から下着業界への転向の経緯・背景は?

アンドリュー・ブバラ=トリンプ・インターナショナル・ジャパン社長(以下、ブバラ):約10年間、「ティファール(T-FAL)」などを展開するグループセブで勤務した。30~60代の女性を中心に日常生活に役立つ家電などの商材を販売してきた。商品は違うが、毎日着ける下着に付加価値をつけて日常を豊かにするという点では同じことだ。また、販路は、直営店、百貨店、ECなどほとんど同じ。だから、今までの経験が生かせる自信がある。

WWD:社長に就任後、フォーカスしてきたことは?

ブバラ:1番大切なのが商品。全社員に向けて、中長期的に商品軸で市場のニーズを把握していい商品を作るというメッセージを発信した。また、展開しているブランドのそれぞれの役割やターゲットについて見直し、再構築していく。販路の見直しも行う。業界のプロがそろっている会社なので、トップダウンというよりは社員の意見に耳を傾けながら、ボトムアップで効率化を図っていくつもりだ。

WWD:どのようにグローバルで連携をとっているか?現在のオペレーションは?

ブバラ:現在ヨーロッパ、アジア、日本の3つの市場で展開をしているが、各市場で気候も違えば文化も違う。また、女性の体型や下着に求めることが違うので、商品開発は各地域で行うことが多い。“スロギー ゼロフィール”は日本から世界へ広がっていった。素材や生産に関しては、グローバルでリソースを共有している。

WWD:ここ数年の、日本のトリンプの年商の推移は?

ブバラ:下着市場は縮小傾向にある。また、コロナ禍で消費者のニーズがよりコンフォートに変化し、販路も変化した。2020年、21年と売上高は1ケタ減が続いていたが、今年なってプラスに転換した。百貨店で販売している高価格帯の「フロラーレ リュクス(FLORALE LUXE)」や手に取りやすい価格帯の「アモスタイル バイ トリンプ(AMOSTYLE BY TRIUMPH)」(以下、アモスタイル)は好調。中価格帯が厳しく、市場のニーズも快適さ+バストメイクへ変化したため“ハイブリッドブラ”を投入した。アンバサダーに起用した菜々緒の効果もあり好調だ。

WWD:日本市場で展開しているブランドのビジネスの割合は?

ブバラ:30~60代がターゲットの「トリンプ」が5割以上だ。10~20代「アモスタイル」が2割程度、10~70代と幅広い年齢層をカバーする「スロギー」が2割程度。

アンバサダーやキャラクターコラボで購買動機をアップ

WWD:日本における好調ブランドや商品は?

ブバラ:新しい柱として発売した“ハイブリッドブラ”が非常に好調。アンバサダーに田久保夏鈴を起用した「アモスタイル」では、毎月新作を導入しており、中でも“夢見るブラ”が好調。いずれも、アンバサダー効果が大きい。「スロギー」は、ハローキティやミッフィーなどキャラクターコラボにより新しいファンを獲得している。

WWD:昨年から、ブランドアンバサダー起用に積極的だが?

ブバラ:約10年前から日本人をブランドアンバサダーとして起用。一時期は世界共通のアンバサダーがいたこともあったが、再度、日本のアンバサダーに戻した。“ハイブリッドブラ”という新しいカテゴリーを立ち上げるにあたり、それを体現する存在が菜々緒だと思いアンバサダーに起用した。ターゲットにファン層が多いアンバサダーを起用することが、訴求につながっている。

WWD:“ハイブリッドブラ”を発売し、TVCMなどで露出強化を図っているが、市場の反響は?

ブバラ:ワイヤー・ノンワイヤーの先を行くカテゴリーとして作った商品だ。キャンペーンは期待通りの結果が出ている。今後も、常に新しい価値のある商品を出していくし、消費者の声を吸い上げて機能の改善も行っていく。

デジタル強化とボディーケア・メイクにフォーカス

WWD:現在の課題と、今後の戦略は?

ブバラ:ECやSNSなどデジタル強化を図る。インスタグラムは日本独自のアカウントを開設する。オムニチャネルの促進も図り、フィッティングの重要性もアピールしていきたい。また、オンラインでも店頭と同じような体験を提供できるようにし、ショッピングのシームレス化を図る。既存・新規客、全方位強化するために、あらゆる消費者に刺さる購買理由を探り発信していきたい。

WWD:日本における下着市場をどのように分析するか?「ユニクロ」「無印良品」とどのように戦う?

ブバラ:消費者のニーズはさまざま。だから、それぞれのセグメントに合うものを提供するだけ。「トリンプ」は、ボディーケア・メイクできるブランドとして付加価値を付け、商品開発をしていく。市場や顧客を見ながら、何をすべきか考え戦略を立てていく。

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