編集部員が気になるブランドや売り場の今春の売れ筋を徹底取材。売れ筋TOP3と売れ筋傾向を聞いた。売れるものにはやはり理由があり、それを知ることが、次の売れ筋のヒントになる。エシカルコンビニは特別にTOP10を公開!(この記事は「WWDJAPAN」6月20日号からの抜粋です)
ALLBIRDS
“わざわざ”履いてみたいシューズが
人気集める実力派
【ブランド紹介】
2016年、サンフランシスコで誕生したシューズブランド。快適さの追求に加え、シューレースに再生ポリエステル、インソールにはヒマシ油、靴底はサトウキビから生まれた「スイートフォーム」を採用するなど、カーボンフットプリント排出量を抑えたモノ作りに取り組む。
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1位
ツリーランナー 1万3500円
ユーカリ繊維で作られた通気性と快適さを備えたメッシュ構造が、春先から気温の高まりに合わせて売り上げをけん引。ベーシックなデザインで多様な場面に使えることから、ミニマル、かつ慎重に買い物をしたい人に寄り添う結果に。自宅で丸ごと洗濯もできるので、汚れやすいと敬遠されがちなホワイトなどのカラーも気軽に試すことが可能。
2位
ツリーブリーザー 1万3000円
女性に人気なソフトなフラットシューズ。外反母趾に悩む人でも靴擦れしづらく、会社用の“おき靴”としてもヒット。かかとが脱げにくいホールド力と軽さでオフィスから旅行まで、手軽に持ち運べる。親子で勧め合うなどして、共に愛用する人も多いという。
3位
ツリーダッシャー2 1万7500円
ランニングに最適なのはもちろん、厚めのソールがスタイルアップにもつながりどこで履いても“キマる”一足。革靴を強制しないオフィススタイルのカジュアル化などの流れを受けて、オケージョンを問わないスタイルが需要にハマった。
【春夏の売れ筋傾向】
ブランド全体の売り上げをけん引するのは、シンプルなデザインでまとめた“ツリー”シリーズのホワイトやグレー、ブラックなど。タイムレスなデザインが、エントリーモデルとして人気を独占している。一方春にかけてお出かけムードが高まったのを受けてか、“ツリーブリーザー”モデルでは、オレンジなどの明るいカラーにも動きが見られた。ポップな原色デザインに挑戦したスニーカーは、原宿店ならではのおしゃれ感度の高い客層を魅了する。サステナビリティに関心を寄せる層はもちろん、軽量で履き心地を追求したシューズを試しに“わざわざ”店頭に足を運ぶ人も多く、出張や海外からの顧客もこの春は特に見られた。
■調査員のつぶやき
取材した駅近の「オールバーズ」原宿店は、ブランドの取り組みを知ることができる交流の場所としても開かれている。骨太なブランド理念をエフォートレスなアイテムの数々が支えていて、人に勧めたくなる魅力を実感。アパレルラインにも今後期待。(ソーンマヤ/編集部記者)
THE NORTH FACE
機能と着心地の新アパレルが絶好調
【ブランド紹介】
ゴールドウインが手掛けるアウトドアブランド。登山を軸としたアウトドアウエア・ギアと、そのノウハウを生かしたライフスタイルウエアがそろう。MDはランニングやトレーニングを軸とする“アスレチック”とギア・パック類の“エキップメント”カテゴリーに大別される。
【“アスレチック”カテゴリー】
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1位
ショートスリーブ ライトコンフォートクルー 1万2650円
この春デビューした新ライン“コンフォーティブ”の半袖Tシャツ。「部屋でも使えるアスレチックウエア」をテーマに、吸湿性に優れた紙を原料とし、ホールガーメントで編み立てて動きやすさにもこだわった。在宅需要に合致したほか、メディア露出も多く、2月の入荷からカラー・サイズの売り切れが目立った。
2位
フリーランショーツ 1万2100円
ウエストに肌当たりのいいトリコット素材を使い、6つのメッシュポケットも備える。ランニングから日常までさまざまなシーンで使える汎用性とリサイクルナイロンの素材使いで、環境意識の高いユーザーも取り込んだ。
3位
インフィニティ トレイルフーディ 2万4200円
トレラン向けのジャケット。はっ水加工を施したストレッチ素材で、リュックを背負っても動きをさまたげない。背中と脇の通気口や、フードを後ろ身頃に固定するためのマグネットといった利便性も評価され、特にトレラン専門店でよく動いた。
【“エキップメント”カテゴリー】
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1位
エバベース6 6万6000円
オートキャンプでキッチンやリビングスペースとして活用する大型シェルター。天井高は約2メートルで、大人6人が同時に就寝可能なほどゆったりした空間が作れる。テントの外側でフレームがクロスするアウトフレーム構造で、外気の影響を受けにくいダブルウォール仕様だ。店頭では完売状態が続き、予約会でもすぐに準備数が埋まってしまうほどの人気アイテム。
2位
フィルデンスクーラーポーチ 9350円
350ミリリットルの缶が3本入るソフトクーラーポリウレタンでコーティングしたポリエステル生地を縫い目が出ないウェルディング製法で仕上げており、軽量性と耐久性、耐水性を備える。小物が収納できるジッパーポケットもある。シンプルなデザインも人気で、野外フェスなどのイベント需要が目立った。
3位
ランドアームスフォーク 1320円
アウトドアから日常生活でも使えるカトラリーシリーズ“ランドアームス”。ステンレス鋼を使ってギアらしいデザインは残しつつ、口当たりを良くするために丸みを帯びた形状を採用している。絵の部分にブランドロゴをあしらった。スプーンやナイフなどもある。
【春夏の売れ筋傾向】
まだまだ自粛意識が高かった昨年に比べて、余暇を楽しむムードが高まっている。トレッキングやラン、キャンプ、学校行事に向けた子ども服が好調で、特にトレッキングは前年同期比2桁の成長率だったほか、バッグ類も同30%以上伸びた。製品を長く使うマインドも顕著になっており、シーンを問わない汎用性の高さ、もしくは用途が限られても長く使えるかどうかも購買基準になりつつある。キャンプでリビングのような空間を作る大型シェルターや家でも使えるカトラリーも売れた。
■調査員のつぶやき
機能性の高さに加えて、日常使いを意識した色・ディテールも増えている。ゴールドウインは“30年までに製品の90%以上を環境負荷低減素材にする”と明言しており、時流に合った商品開発もユーザーの関心を引きつける。(美濃島匡/編集部記者)
DIESEL MEN JEWERLY
メンズでもフープピアスが売れている!!
【ブランド紹介】
「ディーゼル」は、イタリア生まれ。現在はグレン・マーティンスがクリエイティブ・ディレクターを務めている。ジュエリーは、時計と共にフォッシルがライセンスで手掛ける。新しい「D」のロゴなど、グレンのクリエイションをジュエリーでも表現。
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1位
ジュエリーネックレス 1万3750円
アンティークのローラーベアリングにインスパイアされたスタッズをあしらった、ダブルリングのネックレス。素材はスチール製。「ディーゼル」の大胆でエッジーなスタイルが反映されたジュエリーでユニーク。
2位
ジュエリーリング 1万2100円
1位のネックレス同様、アンティークのローラーベアリングにインスパイアされたスタッズをあしらった、ダブルリング。カラーはブラック/シルバーで、サイズは5〜11.5まで。女性のために5〜7までは0.5刻み。それ以上は1刻みだが、10の上に11.5のサイズを用意している。
3位
ジュエリーピアス 6050円
「ディーゼル」の新しいロゴをあしらったステンレススチール製のフープピアス。トップ縦2.2cm、トップ横0.7cmで片耳のみ。ディーゼルのジュエリーカテゴリー拡大に対する注力が、商品やマーケティング・コミュニケーション、店頭接客、EC訴求など各方面で結実した。
【春夏の売れ筋傾向】
フォッシルジャパンが手掛けるブランド(このほか、「フォッシル」「スカーゲン」「エンポリオ アルマーニ」「マイケル・コース」など)において、ジュエリーカテゴリーが大きく伸長。中でも「ディーゼル」が好調で、ジュエリーカテゴリーをリードしている。現在の「ディーゼル」の商品は、市場で急成長している男性や若い世代に向けたものが中心。ここ数年は需要の高いイヤリング(ピアス)の品ぞろえを充実させ、リングもサイズを拡充。2022年の1〜5月は前年同期比で約2倍。コロナ前の19年と比べても数量ベースで2倍、売上ベースで1.8倍。
■調査員のつぶやき
「ミキモト」と「コム デ ギャルソン」のコラボを皮切りに“パール男子”という言葉を聞くようになったのは、記憶に新しいところ。最近はチェーンタイプのピアスなどに挑戦する男子も増え、フォッシルが手掛けるボリュームゾーンでもメンズジュエリーが定着してきたことがうかがえる。(村上要/編集長)
ETHICAL CONVENI
SDGsとポップさ共存
店で学び、応援&お土産感覚の購入も
【ブランド紹介】
ダイアモンドヘッドが展開する「エシカルコンビニ」は、“日常の手に届く範囲のものを通じて、倫理と向き合い、暮らしを変えていきたい”というメッセージを込め、自然への配慮など6つのエシカルキーワードを軸に国内外のおよそ100のブランドを扱うセレクトショップ。「ITOCHU SDGs STUDIO」内と阪神梅田本店に出店している。
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1位
「オッフェン」使用済みペットボトル リサイクルシューズ 1万7600円
アッパー部分に使用済みペットボトルの再生糸を使ったニットパンプス。シンプルな黒から写真のビッグフリル使いまでデザインバリエーションは豊富で丸洗い可。人気の理由は見た目のかわいらしさに加え、機能的なインソールゆえの履き心地の良さにあり、2足まとめ買いも多いという。「シューズをより長くはいてもらいたい」という理由からオリジナルシューキーパーを付けており、その素材はトウモロコシなどのデンプン質から生まれた植物由来の生分解性プラスチックとこだわり。靴箱を使用せず、代わりにリユースを目的としたペーパーバッグに入れて手渡すなど販売の仕方も配慮している。
2位
「オスクレン」天然染料使用のコットンセットアップ
トップス(1万3200円)ショートパンツ 1万5400円
ブラジル発ライフスタイルブランド「オスクレン」は取り扱い年数が長いこともあり固定客がついている。1989年の創業以来ファッションと自然の共生をうたっており、写真は天然染料を使ったコットンのセットアップ。ブラジルらしい色使いが好評。ワンピースもある。
3位
「ストージョ」折りたたみ式エコカップ 16oz 2310円
NY発のブランドでインスタなどで人気に火がついた。カップ本体とスリーブの色を交換してカップルで持つなどスタイリングを楽しめる点もポイント。
4位
「アトリエ エム/エイ」ワンピース 4万4000円
リサイクルペットボトル生地のワンピース。
5位
「スタッシャー」シリコーンバッグ サンドイッチ 1650円(Mサイズ)
幅広い温度帯に対応する万能容器。原料は食品用品質として認められているもの。
6位
「マコー」ショルダーバッグ&ウエストポーチ 7150円
リサイクルレザーを使用。軽量で2ウエイ使用がポイント。
7位
「アヤメ」分離型吸水サニタリーショーツ 2750円
ショーツについたスマートポケットにエコナップパッドを内蔵するタイプ。個別に洗濯ができる。アロエカラー。
8位
「ザ ニュー ソサエティ」子供服(Tシャツ5000~8000円)
スペイン発の子供服。水の消費量の削減、植物性染料の使用、プラスチックパッケージの排除などを取り入れている。写真はバンダナ柄シリーズ。
9位
「ボタニカノン」ホーリーバジル化粧品 2420円
農薬不使用で契約栽培されたホーリーバジルの蒸留水を加水せずに丸ごと使用。完売。
10位
「エアパック」トートバッグ 2万790円
廃棄エアバッグやシートベルトをリサイクルしたトートバッグ。軽量かつ丈夫。再利用のためひとつひとつがオリジナル。
【春夏の売れ筋傾向】
エシカルなアイテムを集めたセレクトショップの先駆的存在。サステナビリティに注目が集まる中、メディアで取り上げられるケースも増加。認知度が高まり、オンライン販売を含め集客が増えているという。早坂奈緒エシカルコンビニ・ディレクター兼メッセンジャーは、独自の基準(資源・動物・自然・海への配慮、クリエイティビティー、気付きの連鎖)に基づきセレクト。売れ筋はストーリーが明快で共感を得る商品だ。売り場には「学び」に来る人も多く、ポップの説明をじっくり読み、スタッフに質問しながら丁寧に買い物をする傾向がある。学校の課外授業として学生が訪れることも。「ITOCHU SDGs STUDIO」店では、同スタジオのイベントに来た人が美術館のスーベニアショップの感覚で立ち寄るなど、認知から売り上げまでの流れがユニークだ。また、子供服が売り上げ上昇中。
■調査員のつぶやき
店頭で取材中も来店客が商品説明を真剣に読む姿が常に見られた。環境問題について思い悩む顧客も多いそうで、それらを受け止め寄り添う早坂ディレクターの姿勢が印象的。従来の「接客」とは異なる、これからの買い方、売り方のヒントを見た。(向千鶴/編集統括サステナビリティ・ディレクター)
agete
重ねづけ需要でダブレットストーンや
シャンパンゴールドが人気
【ブランド紹介】
1990年6月、東京・青山の骨董通りに第1号店がオープン。サザビーリーグ傘下。通常は使用されないさまざまな石を生かしたジュエリーを提案。オリジナリティーのある素材使いとデザイン、手に取りやすい価格帯で自家需要のジュエリーとして根強い人気がある。
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1位
ターコイズリング(K10、クオーツ、ターコイズ) 3万5200円
ターコイズにクオーツを張り合わせた“ダブレットストーン”を使用したリング。クオーツを組み合わせることで、ターコイズに透明感が加わり、清涼感のある印象になっている。「アガット」らしく、石を留める爪は葉っぱのモチーフでアンティーク感を演出している。ターコイズというと、メンズやインディアンジュエリーの印象が強いが、ダブレットストーンにすることで透明感をプラスして、合わせやすいボリューム感にアレンジしたことで人気商品になった。
2位
シャンパンホワイトゴールドリング(K10) 2万9700円
シャンパンホワイトゴールドは、ゴールドにもシルバーにも合わせられる色合い。この色味と植物の模様がどこかアンティーク風。シンプルなリングは、何にでも合わせやすい。肌馴染みの良い色なので、コーディネートの幅が広がるという点もポイント。
3位
エメラルドリバーシブルチャーム(K10、エメラルド、ダイヤモンド) 2万7500円
昼間は明るい色石、夜はろうそくの光に映えるダイヤモンドと、リバーシブルで使用できる。チャームをいくつか付けて楽しむこともできるのが魅力だ。春夏のテーマであるイギリス・ジョージアン時代のジュエリーのつけ替えをしていたという習慣からヒントを得たデザイン。
【春夏の売れ筋傾向】
もともと色石を使ったジュエリーが人気の「アガット」だが、この春夏はダブレットストーンが売れ筋になった。2つの石を組み合わせることで、透明感などの新たな魅力が支持された。また、シルバーとゴールドのミックスコーディネートがトレンドで、「アガット」オリジナルのシャンパンオリジナルゴールドが、どちらにも合わせやすいということで人気商材に。チャームも、一つずつ購入して集める楽しさがあるので“プチぜいたく”的な満足感を得られる商材だ。
■調査員のつぶやき
「アガット」は過去数年「ビジネスリポート」の国内ジュエラーカテゴリーでは常に上位にランクイン。色石を用いファッションとして楽しめるジュエリーが多くの女性の支持を得ている。色石人気のトレンドの後押しもあり、ダブレットストーンなどオリジナル商材の開発が消費者を飽きさせない。(益成恭子/編集部記者)
nojess
普遍的なフラワーモチーフを使用した
繊細なデザイン
【ブランド紹介】
パリジェンヌのエスプリを反映した自由な発想でビンテージのように色あせない魅力があるジュエリーを手頃な価格で提案している。サザビーリーグ傘下のブランドで、ベーシックでありながらも遊び心に満ちた“小さな幸せをまとう”喜びを与えるブランド。
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1位
ダイヤモンドリング(K10、ダイヤモンド) 2万5300円
ずずらんの花をモチーフに、かれんな花をダイヤモンドと地金の粒で表現している。V字のリングは指をきれいに見せる効果があり、逆さまにつけるとクラウンのようにも見える。ファッションテイストに関係なく、繊細なデザインが人気。すずらんには、“幸福の再来”という花言葉があり、デザインだけでない魅力も相まって1位に。
2位
フラワーモチーフリング(K10、ダイヤモンド) 2万5300円
6つのダイヤモンドで取り巻いたフラワーモチーフが印象的。モチーフを小ぶりにアレンジすることで新鮮な魅力に溢れるデザインに。地金の繊細な作り込みも人気の理由。大人のモチーフとして抵抗なく着けやすいのが人気の理由。
3位
リング(K10) 1万9800円
フロント、バック、サイドと着ける方向で違う表情を持つリング。 “洋服の重ね着を楽しむようにリングのレイヤードを楽しんでほしい”という思いからデザインされた。かぎ針編みのようなデザインがモードな印象。
【春夏の売れ筋傾向】
ジュエリーでは定番的なフラワーモチーフを「ノジェス」ならではにアレンジしたリングが人気。ベーシックなダイヤモンドを使用しつつも繊細なデザインで重ねづけしやすく、高い支持を得ている。リピーターにはリングだけでなく、チャームを集める楽しさも広がっている。
■調査員のつぶやき
ショップにふらっと入れる気軽さがあり、手に取りやすい価格帯のジュエリーが豊富。フランスがブランドの象徴ということもあり、オーセンティックなモチーフもどこか、フランスのエスプリが漂う。アクセサリー感覚で購入できる価格帯と凝ったデザインが人気の秘密だ。(益成恭子/編集部記者)