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「ヴィクトリアズ・シークレット」がついにプラスサイズモデルを起用 多様性の流れにあらがえず

 米ランジェリーブランド「ヴィクトリアズ・シークレット(VICTORIA'S SECRET)」は、英国発のランジェリーブランド「ブルーベラ(BLUEBELLA)」と提携することを10月4日に発表したが、その「ブルーベラ フォー ヴィクトリアズ・シークレット」の広告キャンペーンに同ブランドとしては初めてプラスサイズモデルを起用したことが話題となっている。

 「ヴィクトリアズ・シークレット」は、“エンジェル”と呼ばれる痩身でセクシーなモデルばかりが登場する広告やショーが有名だ。しかし、世界中で「#MeToo」運動が盛り上がり、多様性やインクルージョン(包括性)が推進されている現代においてそうした姿勢を時代遅れだと感じる消費者が増加したことが、今回プラスサイズモデルのアリ・テート・カトラー(Ali Tate Cutler)を起用した背景にある。2018年11月には、同ブランドを擁するLブランズ(L BRANDS)のエド・ラゼック(Ed Razek)元チーフ・マーケティング・オフィサーが、「プラスサイズやトランスジェンダーのモデルには全く興味がない」と発言したことが物議を醸し、インスタグラムで謝罪文を発表する結果となった。このことに端を発して、同ブランドは19年8月にトランスジェンダーモデルのヴァレンティーナ・サンパイオ(Valentina Sampaio)を起用している。

 カトラーは自身のインスタグラムに、「私は『ヴィクトリアズ・シークレット』に登場する、初の14号サイズ(L~XL)モデルだと思う。ティーンの頃から憧れていたブランドと仕事ができるなんて興奮しているわ。体形の多様性について、正しい方向への大きな一歩ね」と投稿した。「ヴィクトリアズ・シークレット」の広報担当者は、「『ブルーベラ フォー ヴィクトリアズ・シークレット』のキャンペーンでアリと仕事をすることができて、とてもうれしく思う」とコメントした。

 「ヴィクトリアズ・シークレット」は米国内外のランジェリー市場でトップシェアを維持しているものの、アメリカンイーグル アウトフィッターズ(AMERICAN EAGLE OUTFITTERS)の「エアリー(AERIE)」や、「サードラブ(THIRDLOVE)」「ワコール(WACOAL)」「アドア・ミー(ADORE ME)」、そしてリアーナ(Rihanna)が手掛ける「サヴェージ×フェンティ(SAVAGE X FENTY)」など、さまざまなサイズを展開して体形の多様性に応えるアンダーウエアブランドに市場シェアを奪われている。

 こうした消費者の変化に加えて、児童買春の容疑があり8月10日にニューヨークの独房で自殺した米国の富豪ジェフリー・エプスタイン(Jeffrey Epstein)と、Lブランズのレスリー・ウェクスナー(Leslie Wexner)会長兼最高経営責任者(CEO)の間に親交があったと報じられたことや、「ヴィクトリアズ・シークレット」と関係のあるカメラマンが女性モデルに対して性的に不適切な行いをしたとして名前を挙げられていることもマイナス要因となっている。

 19年9月にLブランズが開催した投資家向けのイベントで、ジョン・ミハス(John Mehas)=ヴィクトリアズ・シークレットCEOは、「『#MeToo』運動などソーシャルメディアでの動きは認識しており、対応したいと考えている。当社は女性主導の、女性のためのブランドとして進化する必要があり、文化や価値観などを含めて包括的に前進するためにも、いったん立ち止まって自身を振り返ってみるべきだろう。これからの数カ月間でそうした変化を見ていただけると思う」と述べたが、具体的な内容は明らかにしなかった。また、名物である豪華なファッションショーを今後は開催しないかもしれないという可能性をウェクスナー=Lブランズ会長兼CEOが19年5月に示唆していたが、それに関しても「現在検討中だ」とコメントするにとどめた。