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ロンドンコレ最終日の回想 BLACKPINK探しの「バーバリー」やジョナサン・アンダーソンの誕生日会など

 皆さんこんにちは。飛び飛びになってしまったロンドン・ファッション・ウイークのドタバタ日記の4日目をお届けします。私にとって取材最終日となった9月16日は、スマッシュヒットが連発しました。前日までは、ブランド単体で見ると物足りなさを感じるショーもありましたが、この日で返上。ウィークの中で一番充実した一日でした。

10:00「ロクサンダ(ROKSANDA)」

 朝からワクワクする会場でした。ロンドンの王立公園ケンジントンガーデンズ内のサーペンタイン・ギャラリーです。毎年夏季限定で、世界的な建築家によるパビリオンが建てられますが、今年は日本人建築家の石上純也さんによる岩肌を再現した屋根が特徴的な洞窟のような作品でした。

 パビリオンを望むイエローカーペットを敷いた野外のランウエイは、ファンタジーの世界に入り込んだような高揚感がありました。自然光の下で見るショーは格別です。少し曇り空というのも、コレクションの美しい色彩を引き立たせていたと思います。

11:00「アーデム(ERDEM)」

 「アーデム」の会場への移動中の車で、ロンドンの中堅ブランドの未来について他媒体の人たちと話していました。今季のロンドンコレは、設立10年前後の「メアリー カトランズ(MARY KATRANTZOU)」「アシュリー ウィリアムズ(ASHLEY WILLIAMS)」「シュリンプス(SHRIMPS)」などの中堅ブランドがごっそり抜けていて、頭打ち感が出てきたデザイナーズがショー発表を継続する難しさ、ショーを行う意義を熟考するタイミングになっています。

 そんな中、「アーデム」は世界観の詰まったロマンチックなドレスと、エレガントな日常着をバランスよく打ち出して支持を得ているブランドです。グレイ法曹院の広い庭園で行ったショーは高貴な雰囲気が漂いながらも、鮮やかな色とプリントが生えてとても心地いいショーでした。

12:00「フーシャン ザン(HUISHAN ZHANG)」

 著名デザイナーを多く輩出しているセント・マーチン美術大学には、年々多くの中国人留学生がファッションを学びに来ていることもあり、ロンドンでの中国人デザイナーの存在感が増しています(ニューヨーク、パリなど他の都市でも見られる傾向です)。その中でも堅実成長を続けているのが「フーシャン ザン」です。8年目になるブランドですが、LVMHプライズのファイナリストに選ばれた実績や、老舗百貨店のセルフリッジのドレスコーナーにもしっかりと大きな展開があります。他のショーの待ち時間に仲良くなった中国人ライターも「フーシャンの成功に憧れを持つ中国人学生が増えている」と話していました。もともと財力を感じるブランドですが、素材や技術のクオリティーは劣っていません。裾にパールを付けたフリルドレスが目を引きました。

13:00「ジェイ ダブリュー アンダーソン(JW ANDERSON)」

 会場の入口には珍しくセレブを撮影するためのバックボードが立っています。そこにサングラスをかけた女性が現れてポーズを決めていて「誰だろう?」と見ていたのですが、なんと歌姫クリスティーナ・アギレラ(Christina Aguilera)でした。

 コレクションはスマッシュヒット。ジュエリーと洋服の融合、シルエットの探求、いいショーを見ると心が踊り、見ていてゾクゾクするものを感じます。ショー後に「ジョナサンの話を聞かなくては」と思いそのままバックステージに入り、囲み取材に参加しました。他のジャーナリストたちも同じ思いを感じていたのでしょう、皆興奮していました。ジョナサンがVIP来場者のアギレラや、ファーストリテイリングの柳井正会長兼社長の照代夫人との撮影を終えると、囲み取材が始まり、質問攻めにあっていました。コレクションリポートはバックステージ取材を行ったELIE INOUEさんの記事も公開中ですが、「WWDジャパン」11月11日号のロンドン特集でも解説予定です。

14:00「ミントデザインズ(MINTDESIGNS)」

 東京発の「ミントデザインズ」がロンドンのアートギャラリーPOCKOで企画展「ブラックシンデレラ」を開催しました。東京で行った19-20年秋冬プレゼンテーションに訪れたギャラリストの誘いで出展が決まったそう。取材前まで、ブランド初の海外展示会と思い込み20年春夏の新作を見に行く感覚で伺ったのですが、今回は3シーズンの連動性を見せたインスタレーションでした。

 展示はブランドの19年春夏のガラスの靴をイメージしたクリアサンダル”シンデレラ”が出発点となり、シンデレラのビフォーアフターを描いています。19-20年秋冬の刺しゅうを入れたゴミ袋から着想したコレクションは変身する前、新作20年春夏はガラスの模様を使った透け感のあるドレスで、魔法にかけられたシンデレラを表現しています。割れ物注意の”Fragile”のシールが貼られたダンボールに包まれている演出もユニーク。また、同ギャラリーに所属するアーティストのアレッサンドラ・ジェヌアルド(Alessandra Genualdo)とのコラボレーションで、シンデレラをイメージして描き下ろされたプリント入りのドレスも発表しました。

 デザイナーの勝井北斗さんと八木奈央さんはこの企画展の他にも、ロンドンの街中でアートプロジェクトの制作に取り掛かっていたそうでその内容は今後公になるそうです。

15:00「クリストファー ケイン(CHRISTOPHER KANE)」

 こちらもスマッシュヒットが出ました。深刻化する環境問題を背景にした「自然を愛しましょう」というド直球なメッセージを、ブランドらしいセンシュアルなテイストで表現したコレクションです。公園で撮影したというガーデンの写真を使ったプリント、“ECO SEX”などのスローガンアイテムも強いですが、新鮮さとリアルのバランスがとてもよかったです。昨今、主婦の性生活などをシリーズ化したコレクションは賛否両論で、1年前のケリングから独立した際も今後を懸念する声を聞いたので、今季いいコレクションを見られて一安心。フィナーレのケインも自身に満ち溢れていて、いい笑顔でした。

17:00「バーバリー(BURBERRY)」

 私のLINEには日本のSNSチームから「BLACKPINKのJISOOとWayVのLUCAが来ているからキャッチして!」というミッションが届き、意気込んで臨みました。ショー前に客席をぐるぐる回って、いろんなセレブを撮影しましたが、なかなかJISOOだけは見つからない……。結局断念しショー開始ギリギリで着席したのですが、「バーバリー」PRチームの皆さまに挨拶もせずに会場をさまよっていたので、私が来場できていないのではないかと心配をかけてしまいました。本当にすいませんでした。

 ショーでは、フェザードレスや繊細なレースの装飾が美しかったです。メンズモデルがレース付きのパーカやTシャツを着用していて、ジェンダーニュートラルの流れを感じました。またモデルとして登場した00年代に一世を風靡したモデルのアギネス・ディーン(Agyness Deyn)や、フレーヤ・ベハ・エリクセン(Freja Beha Erichsen)を生で見ることができたのも感激ポイントでした。

20:00「リチャード クイン(RICHARD QUINN)」

 「モンクレール ジーニアス(MONCLER GENIUS)」にも抜擢され今をときめくデザイナーです。注目ブランドは会場の着用者の数で図ることができますが、着こなしの難易度が高いのか着用者は少ない傾向でした。会場外の列に並ぶこと40分。リハーサルでトラブルが発生したとのことでなかなか入場できず周囲がイライラし始めています。

 オンタイムの1時間後にようやく会場に入ると、オーケストラとコーラス隊の姿があり大掛かりなセットを確認できました。しかし、サプライズはそれだけではありません。ショーのラストにはプリントドレスを着用したキュートな子どもたちが現れ、舞台の幕が開くとウエディングコレクションを着たモデルたちが登場。盛大なオーケストラの演奏もクライマックスで、拍手喝采で幕を閉じました。

21:00 ヤウアチャ(Yauatcha)取材

 ライターのELIE INOUEさんによるロンドンの食とライフスタイル取材に同行し、SOHOにある人気の中華料理店ヤウアチャへ行きました。すでにロンドンに来て6日目でしたが、なかなか食事に有り付けず実はこれが最初の外食でした(涙)。記事について打ち合わせをしながら、モダンにアレンジされた中華料理に舌鼓。看板メニューの海老と湯葉のチョンファンが美味でした。

24:00 ジョナサン・アンダーソンの誕生日会

 「ジェイ ダブリュー アンダーソン」ショーのアフターパーティーにお誘いいただき、INOUEさんと共に郊外のパーティー会場へ。日付の変わる17日がジョナサンの誕生日ということで、盛大な誕生日会を取材すべく向かいましたが、ジョナサンは早々にパーティーを去っており、到着した頃には関係者たちのだけのダンスフロアになっていました(笑)。ちょっぴりカオスな会場に「ハッピーバースデー」を言い残して、私の濃厚なロンドンコレ取材が終了しました。