フォーカス

「バオ バオ」の立役者が新ブランド設立 「形を自在に創造する“システム”を作った」

 「バオ バオ イッセイ ミヤケ(BAO BAO ISSEY MIYAKE)」を手掛けたことで知られる松村光は、2019年1月からライフプロダクトブランド「ゴジュウニ バイ ヒカルマツムラ(52 BY HIKARUMATSUMURA)」を立ち上げた。ファーストコレクションは、四角いモジュールを糸や針を使わずに独自のジョイントシステムで組み合わせたバッグ“ミス ロボット(MISS ROBOT)”と物を引っかけて留めておくことができるツール“カプセルピンチ(CAPSULE PINCH)”の2種類を発表。4月にはセカンドシーズンとして“ミス ロボット”をアップデートしたコレクションを披露した。アイテムではなく「“システム”を作っていきたい」と語る松村が成し遂げたいこととは。

WWD:ブランドのコンセプトは?

松村光「ゴジュウニ バイ ヒカルマツムラ」創業者(以下、松村):これまでもファッションとプロダクトの間の領域で長年デザインをしてきて、“ファッションではない新しいマーケットを作り出す”ということをやってきました。これからもプロダクトデザインとしてのファッションアイテムを手掛けていきたいと考えています。このブランドでは、“システム”を作っていきたい。ファーストシーズンから展開しているバッグは、針と糸を使わずにモジュールを組み合わせて作る点が特徴です。これによって、形を自在に創造・構築していける“システム”を作ったわけです。つまり、電化製品のようにアッセンブルして作っていくという考え方をバッグに取り入れることで新しい生産システムを作り、そのシステムを店舗でのサービスにも取り入れる試みをしています。

WWD:“システムを店舗でのサービスに取り入れる”というと?また、ブランド立ち上げとともに東京・表参道に路面店をオープンしているが、出資者などがいる?

松村:ブランド立ち上げや出店にあたっては商社から出資を受けています。店頭だけの特別なサービスとして、店内に設置したタブレットを使って色合わせを変えることができます。ブランドも店舗もテーマは“実験”。こういう時代なので、世界中を探してもどこにもないモノ作りを確立できれば、こんな辺ぴな場所にある店舗にも世界中から来てもらえるんじゃないかと考え、あえて国内はブランドを立ち上げたその日から路面店1店舗だけでスタートしました。国内の卸はしていません。

WWD:海外では卸を行っている?

松村:ファーストシーズンは韓国に卸しています。今回(セカンドシーズン)は、ファーストシーズンの話をキャッチした海外のバイヤーが来てくれて、シンガポールと香港での展開も決まりました。

WWD:彼らの反応は?また、国内の卸をやらない理由は?

松村:海外のバイヤーからは、「他にはないモノ作りをしている」と好感触でした。私がこれまで手掛けたデザインを知っている人たちからは、「あなたらしいデザインだね」と。国内の卸は、かたくなに「やらない」と言うつもりはないですが、この世界観を理解してくれる人に届けたいので、まずはポップアップから始めることを検討しています。

WWD:海外からの反応がいい理由は何だと思う?

松村:海外、特にアジアの反応はいいですね。私は日本のデザイナーズブランド・ブームの中で育った世代だからすごくよく似ていると感じるんですが、経済が成長して豊かになると、まず興味を持つのはおしゃれ、ファッションなんです。だからファッションに対してすごくポジティブで好奇心旺盛なんですよね。

WWD:海外も視野に入れるとなるとECサイトは必須だと思うが、予定は?

松村:現在準備中で、2019年7月上旬に完成予定です。

WWD:“ライフプロダクトブランド”ということだが、ファーストコレクションにバッグというプロダクトを選んだ理由は?

松村:バッグにこだわるわけではないですが、服はどうしてもトレンドを主体に動くマーケットなので、プロダクトの考え方になじまない。一方で僕らは、一度作ったものを長く売り続けることを前提に作るので、プロダクト寄りのアイテムになりがちです。そういう意味ではファッションとプロダクトの間に位置するバッグは自分がやりたいことに合っているなと思いました。今はプロダクトっぽい素材で作っていますが、将来的にはいろんな素材で展開していきたいし、今後はインテリアなどにも幅を広げていきたいなと考えています。

WWD:ファーストシーズンはどうだった?

松村:店を作ることで精一杯で、ビジネス的な動きはしていなかったんです。でも、メディアに取り上げられたことで反応は大きかったから、ここから本格的にスタートさせていきます。1年目のバッグの目標売上個数は、店舗と海外の卸を合わせて600個です。

WWD:今後の展開は?

松村:将来的には欧米でビジネスをしたいという思いがあります。でも、日本で生産して欧州に送るとコストがかさんで欧州のマーケットで勝負できない。なので、現地に組み立て工場を作りたいと考えています。