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アシックスが20年ぶりの最終赤字 事業構造改革で特損計上

 アシックスの2018年12月期連結決算は、純損益が203億円の赤字(前期は129億円の黒字)になった。同社の最終赤字は20年ぶり。昨年11月から事業の構造改革に着手し、国内外資産の整理、再評価をした結果、243億円の特別損失を計上したことが大きく響いた。直営店ごとの損益をこまかく評価し、不採算店舗の閉鎖に62億円を減損処理したほか、過去に買収した子会社ののれん代の減損に計131億円、人員整理に割増退職加算金14億円を計上した。最終赤字を受け、取締役と執行役員の賞与は全額返上する。

 売上高は前期比3.4%減の3866億円、本業のもうけを示す営業利益は同46.3%減の105億円だった。

 特に米州(北米・南米)での大幅減収と主力のランニングシューズの販売不振、日米欧における直営店コストの増加などが業績悪化を招いた。米州ではDTCチャネルが2ケタ増収だったものの、ホールセールが同21%の減収。なかでも米国内販売がランニングシューズの低迷などで同14.2%減と大きく落ち込んだ。「米国では競争が激化するなか、販売店を通じてアシックスの強みを伝えることが十分ではなかった。販売チャネル政策にも問題があった」と、同社の廣田康人・社長兼COOは振り返る。

 日本では「オニツカタイガー(ONITSUKA TIGER)」の売上高が同31.6%増と好調だったが、スポーツスクールウエアの縮小やランニングシューズの苦戦などで同1%の減収。直営店の人件費と賃料が増え、利益を圧迫した。

 一方、中国は現地通貨ベースの売上高が同17.3%増の533億円と引き続き好調。「オニツカタイガー」は同35%増と大幅に伸びた。広告宣伝に約4億円を投入したものの、増収効果で販管費増を吸収し、6億円の増益となった。

 カテゴリー別売上高では、「アシックス(ASICS)」のランニングシューズが7%減収となるなか、カジュアルシューズの「オニツカタイガー」は同32.6%増の423億円となり、全社売上をけん引した。

 19年12月期は、前期に実施した構造改革と減損処理、直営店費用の減少などの効果により、売上高は同0.9%増の3900億円、営業利益は同14.1%増の120億円、純損益は50億円の黒字を見込む。

 重点施策としては、パフォーマンスランニングシューズで復活を目指す。最大の課題である米国で、専門店へのアプローチを再び強化し、パフォーマンスランニングシューズの売上高で前期比1%増の1730億円を計画する。18年10月に社内カンパニー化した「オニツカタイガー」は売上高で同12%増の480億円を見込む。直営事業を中国でも強化するほか、米国、欧州にも広げる。2月16日には日本製の高価格ライン「ジ オニツカ(THE ONITSUKA)」を投入し、高級ブランドとしてのポジションを固めていく。

 意思決定の迅速化を図るため、昨年10月上海に設置した中国本部では、企画開発部門を抱え、現地ニーズを反映した商品も投入する。また、市民マラソンの支援などマーケティング投資を拡大し、中国での成長を加速させる。「昨年のダブル11では、高機能シューズだけでなく中価格帯のものも売れ、前年比20%増の30億円を記録した」(同社)。

 自社ECについては、新しいメンバーシッププログラム「ワンアシックス(OneASICS)」を日本と欧州に導入。デジタルマーケティングに力を入れ、19年の売上高は同77.5%増の261億円を計画する。さらに、メディアへの露出を確実に増やすため、広告宣伝費を50億円積み増すなど、20年を見据えた戦略的マーケティングを展開する。

 同社では、今年1月からカテゴリー基軸の経営管理体制へと移行。カテゴリーの中身も「パフォーマンスランニング」「スポーツスタイル」「コアパフォーマンススポーツ」「オニツカタイガー」「アパレル・エクィップメント」に変更し、各トップが定めた目標の達成に向け、全社一丸となって事業を推進していく。

 廣田社長は「19年は攻勢に転じ、20年の大爆発につなげるよう体制と方向を固める年」といい、再び成長軌道に乗せるとの意欲を見せた。