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「ユニクロ」がブラでもシェア急拡大、原動力の“ワイヤレスブラ”進化の裏側

 2018年8月期で売上高2兆円を超えたファーストリテイリングの主力業態「ユニクロ(UNIQLO)」の快進撃が、下着でも続いている。03年の“ヒートテック”、08年の“ブラトップ”、16年の“ワイヤレスブラ”の発売を経て、下着でも揺るぎないポジションを築いているが、中でも“ワイヤレスブラ”はその後のノンワイヤーブラの市場拡大をけん引する商品になった。「ユニクロ」は商品カテゴリーごと、アイテムごとの売上高を公表していないものの、同社広報によると「17年は16年の倍以上、18年も前年を超えている」という。

 その“ワイヤレスブラ”の19年春夏製品は、これまでと“顔”も同じ、1990円の価格も同じ、もちろん商品名も同じ。継続商品とついスルーしてしまいそうだが、実は同じに見えるその製品の内側が、驚くべき進化を遂げていた。注目すべきは、この内蔵されている立体構造カップだ。

 バストトップを中心に、円を描くように横長の切り込みが入っているのが特徴。バストの形・大きさに合わせてこの切り込みが開閉し、それぞれのバストにフィットする仕組みだ。さらにカップ上辺が波状にカットされているため、食い込まずにバストに沿う作り(この立体構造カップは特許出願中)になっている。

 そして、このカップ採用によって変化したのが、サイズ表示だ。

 “ワイヤレスブラ”は、16年の発売時はXS〜XL展開、2018年春夏から端サイズをフォローするためにM+・L+を追加したものの、やはり「サイズに対する悩みが一番多かった」(「ユニクロ」広報)という。この独自の立体構造カップにより1サイズで3カップをカバーすることが可能になったため、サイズ選びをわかりやすくするためにも、アンダー&カップ表示へ。展開サイズ数は減るものの、フィット感も選びやすさも向上するというわけだ。

 さらにこの立体構造カップはバージスライン(乳房の輪郭)部分が厚くなっているため、ホールド力もアップ。横流れを軽減するように全体的なパターンも見直されたとのこと。2018年秋冬製品と2019年春夏製品を並べてみると、たしかにカップ形状のキープ力が上がっているのがわかる。

 商品名も顔も価格も同じであるため、デビュー時のような話題にはならないかもしれないが、これは車に例えるなら間違いなく“フルモデルチェンジ”と言えるだろう。

 2019年春夏製品発売に合わせ、アプリ会員を対象とした2000人規模(予定)の商品モニターキャンペーンを実施する計画もあり、販売スタッフにブラアドバイザー制度を導入し、店頭でのブラジャーの接客技術向上も図っている。

 これまで「服のついでに買える」「お手頃」「とりあえず楽」そんな「……だからこれでいいや」的な感覚で買われてシェアを伸ばしてきたとも予想される“ワイヤレスブラ”。それが「フィット感がいいから」「この着用感が好きだから」と意思を持って選ばれるブラへと格上げされそうな予感がする。
 
 「ユニクロ」は、エアリズムの“ブラトップ”新製品も2月に発売予定。このブラトップは胸元がVカットでカップが左右一体化し、脇は接着で裾は切りっぱなし。パワーネットを使用していないため快適性が向上し、見た目もかなりスタイリッシュな印象だ。さらに、接着技術で作られるハーフトップ“ワイヤレスブラ(リラックス)”も近々バージョンアップされる予定だ。

 ノンワイヤーブラやカップ付きインナーは下着の中でも人気が高く、もちろん他メーカーからも研究・開発力を注いだ新製品が発売される。バストを包むごくわずかな布の中で起きる各メーカーのプライドをかけた熾烈な戦いに、2019年も目が離せない。

川原好恵(かわはらよしえ):ビブレで販売促進、広報、店舗開発などを経て現在フリーランスのエディター・ライター。ランジェリー分野では、海外のランジェリー市場について15年以上定期的に取材を行っており、最新情報をファッション誌や専門誌などに寄稿。ビューティ&ヘルスの分野ではアロマテラピーなどの自然療法やネイルファッションに関する実用書をライターとして数多く担当。日本メディカルハーブ協会認定メディカルハーブコーディネーター、日本アロマ環境協会認定アロマテラピーアドバイザー。文化服装学院ファッションマーチャンダイジング科出身