ファッション

LVMHがラグジュアリー旅行会社を買収

 LVMHモエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY- LOUIS VUITTON以下、LVMH)は、イギリスの高級旅行会社ベルモンド(BELMOND、旧オリエント・エクスプレス・ホテルズ)を26億ドル(約2912億円)で買収した。グループの全世界におけるホスピタリティー事業の拡大とファッションやレザーグッズ、高級ワインにとどまらないラグジュアリー業界をけん引する企業としてのポジション強化が目的だという。買収は2019年上半期に完了する予定だ。

 1976年にロンドンで創業したベルモンドは世界24カ国で33のラグジュアリーホテルと6つの豪華列車、2つのリバークルーズなどを経営し、チリの世界遺産マチュピチュに唯一のホテルを構えていることでも知られている。9月に発表した連結決算では売上高5億7200万ドル(約640億円)、調整後EBITDA(減価償却前営業利益)は1億4000万ドル(約156億円)だった。売上高の87%をラグジュアリーホテル事業が占める。

 ベイン&カンパニー(BAIN & COMPANY)のリポートによると、ラグジュアリー領域におけるホスピタリティー事業の市場規模は、18年に世界全体で1900億ユーロ(約24兆円)に達すると予想されており、1兆2000億ユーロ(約153兆円)のラグジュアリー市場において16%もの割合を占めることになる。

 またユーロモニター(EUROMONITOR INTERNATIONAL)は、13年に393億ドル(約4兆4016億円)だったラグジュアリーホテル事業の市場規模が18年には535億ドル(約5兆9920億円)まで増加し、17〜22年の年間成長率は4%で加速すると予測している。「消費者の贅沢な旅への関心が衰える兆しは見えないが、旅行の目的は裕福さのアピールよりも、自身にとって意味のあるものであることが重要になってきている」と同社ラグジュアリー部門の調査責任者フラー・ロバーツ(Fflur Roberts)は語る。

 ジャン・ジャック・ギヨニー(Jean-Jacques Guiony)LVMH最高財務責任者は「不動産を無駄にするような財政面での再編はない。われわれはいわゆる体験型ラグジュアリーが将来的に重要と考えている。ホテル併設のブティックの活用や双方のクライアントを招いたイベントの開催などで両社の事業に多くの相乗効果があるのは明白で、(今回の買収に)非常に自信を持っている」とコメントし、ベルモンドの顧客リストにアジアの顧客の割合を増やすなど、すでに水面下で動いていることにも言及した。

 LVMHはすでにいくつかの大型プロジェクトを進めており、20年にはリノベーションが大幅に遅れていたパリの百貨店ラ・サマリテーヌ(LA SAMARITAINE)を高級ホテル「シュヴァル ブラン(CHEVAL-BLANC)」としてオープンする。また「ブルガリホテル(BVLGARI HOTEL)」を同年にパリとモスクワで、22年には東京で開業する予定だ。

大根田杏(Anzu Oneda):1992年東京生まれ。横浜国立大学在学中にスウェーデンへ1年交換留学、その後「WWD ジャパン」でインターンを経験し、ファッション系PR会社に入社。編集&PRコミュニケーションとして日本企業の海外PR戦略立案や編集・制作、海外ブランドの日本進出サポート、メディア事業の立ち上げ・取材・執筆などを担当。現在はフリーランスでファッション・ビューティ・ライフスタイル関連の記事執筆や翻訳を行う。

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