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作り手と売り手双方を理解するディレクター 源馬大輔が今やりたいこと

 作り手と売り手の双方に携わり、国内外問わず幅広く活動するのが、源馬大輔・源馬大輔事務所代表だ。この10年携わった「サカイ(SACAI)」は、インターナショナルブランドへと成長。香港の高級専門店、レーン・クロフォード(LANE CRAWFORD)には日本のブランドの紹介などを行うなど、ディレクターやアドバイザー、コンサルタントとして、さまざまなプロジェクトに携わる。インターナショナルな視点とネットワークを持ちながら、独立して活動するユニークな存在だ。英セレクトショップ、ブラウンズでのキャリアのスタートから今に至るまでを振り返りつつ、今やりたいと思うことは何かを聞いた。

WWDジャパン(以下、WWD):もともとはファッション業界を志していたわけではなかったですよね?

源馬大輔・源馬大輔事務所代表(以下、源馬):ファッションは好きでしたが、まさか仕事になるとは考えていなかったです。でも、たまたまブラウンズ(BROWNS、セレクトショップ)に入ることができて、働くようになって、そこで社長のミセス(ジョアン・)バースティン(Joan Burstein)から「ファッションはビジネスだ」と再三言われました。あとで読んだインタビューでも川久保(玲)さんも同じことを言っていて、「ファッションってビジネスなんだ!」と。そのマインドセットが今の僕を作っています。

WWD:最初からファッションをビジネスとして考えられたのは、良かったですね。

源馬:ミセス・バースティンには“BUY WELL, SELL WELL(しっかり買って、しっかり売れ)”と言われて育てられました。モノが素晴らしいことは前提ですが、それを売って利益を出すにはどうしたらいいか。入って1年足らずで、大して英語も話せないのに、バイイングにも同行させてもらえるようになって、自分で売りたいモノをどう売るかを学びました。バイイングはバーニー・トーマス(Barney Thomas)という人と一緒にミラノなどに行かされましたが、バーニーは過去のデータを持ちつつも、それを4割信じて、6割信じない人でした。彼からは自分のフィルターを通して物事を見ることの大切さを学びました。

WWD:いいキャリアのスタートでしたね。

源馬:でも、超厳しかったですよ!数字が取れないとクビだし、会社の方針からズレたら実績あってもクビでしたから。4年半働いて、帰国しました。

WWD:そこでダブルアールに入って、セレクトショップのファミリーを立ち上げたんですよね。

源馬:日本でのビジネスは初めてで、まず利幅の少なさにビックリしました。これではオリジナルを作らずにはいられないと。海外では1万円のものを買ったら、2万8000円で売るわけで、1万8000円の利幅があるから、そのブランドに対していろんなプロモーションができるんです。でも日本だと、間に企業が入ったりして、2万8000円の価格のものを1万4000円で仕入れることになったりします。そうすると、買って、プロモーションして、売る、という流れが作れないんです。このプロモーションの部分が日本やアジアの国は弱いな、と思います。

WWD:「サカイ」に加わったきっかけは?

源馬:ダブルアール(WR)退社後、すぐにイーストランドの島田(昌彦・社長)さんに「サカイ」を紹介されました。島田さんの意図は今でもよくわからないですが、「サカイ」はとにかくモノが素晴らしかったです。

WWD:今、「サカイ」ではどんなことをしていますか?

源馬:なんでもやっています。世の中意外とシンプルにできていて、重要なのは、消費者に向けてどう考えるか、ということだけなんです。そして、関わる人全てが同じベクトル、同じ強さで同じ方向に向いて進む組織は強い。僕の仕事は、消費者に対してどう考えるかを、全てのレイヤーでシンプルに方向付けていくことだと思っています。

WWD:香港のレーン・クロフォードとはどんな仕事をしているんですか?

源馬:日本のブランドを紹介したり、編集のアイデアを出したり、企画のアドバイスをしたりしています。随時レポートを提出していますし、週2回はメールでやり取りしているので、結構密にやっています。「サカイ」もレーン・クロフォードも10年目です。

WWD:他には?

源馬:ショッピングモールのリーシングや、オープンにできない案件もあります。