ファッション

「レインメーカー」が東京展示会を辞めた理由

 京都発のメンズブランド「レインメーカー(RAINMAKER)」は2017-18年秋冬コレクションから、展示会を京都のみに絞って発表することを決めた。これまでは東京で1週間行った後、京都市内にある直営店で単日開催するスケジュールだったが、今年は東京開催をキャンセル。京都市内のギャラリーを借りて、2月21日から約2週間開いている。渡部宏一デザイナーは「いつか実現させたかったこと。直営店が徐々に軌道に乗り、自分たちで数字(売り上げ)を作れるようになった今、やれる覚悟ができた。距離が遠くなることでバイヤーやプレス関係者に来ていただけないリスクはかなり不安だったが、世界観を伝えられる自分の拠点でしっかりブランドのことを伝えたかった」と話す。

 京都の直営店に加え、現在の国内卸先は約20アカウント。バイヤーのアポイント状況は「東京からも想定以上の方々に来ていただいており、関西や九州、北陸の店舗からはむしろアクセスしやすくなったと言われた。以前はスケジュールが過密でゆっくり話せなかったバイヤーと、ここではお茶を飲みながらじっくり話せる。地方店の新規顧客も広がった」と明かしたが「今回は来てくれたけれど、今後継続した時にどんな声をいただくか」と慎重な構えだ。「『それでも来たい』と思ってもらえる強いブランドになりたい。東京に固執せず、京都を拠点にしているブランドとしてアイデンティティを強めていきたい」と渡部デザイナー。

 17-18年秋冬は、得意とするテーラードに和装の要素をプラス。会場に選定した京町家の雰囲気が、さらにコレクションを引き立てる。キーアイテムは、フォトグラファー・水谷太郎が撮影したメインビジュアルのステンカラーコートだ。西陣織の老舗・細尾によるテキスタイルブランド「タンゴタンゴ(TANGOTANGO)」の素材を用い、「ラフ・シモンズ(RAF SIMONS)」などを手掛けてきたグラフィック・デザイナーのアンナ・カリン(Anna Karin)によるグラフィックをのせた。茶筒の開化堂と製作したバッグや、金網細工の金網つじと作ったバングルなど、京都の老舗工芸とのコラボレーションアイテムも考案中だ。展示会は3月5日まで、室町のギャラリーSUGATAで開催中だ。

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