ファッション

パリコレ「ヴェトモン」を見てロバート秋山さんを思い出す

 「ヴェトモン(VETEMENTS)」、面白かったです。

 ショーを行ったのは2017年春夏オートクチュールの2日目ですが、「ヴェトモン」が発表したのは17-18年秋冬のメンズとウィメンズのコレクション。ややこしいですね。ちなみにパリでは今、17-18年プレ・フォール・コレクションの展示会がたくさん開かれています。さらにややこしい。ややこしすぎて、私がバイヤーなら展示会で“シーズンも、メンズとウィメンズの区別もなんでもいいや。つまり、今買い付けするといつ納品されるの?”と聞くと思います。一周回って話はむしろシンプルです。

 「ヴェトモン」のショーの招待状はいろいろな国のIDでした。こちら、フランスとオランダとノルウエーのバージョンです。

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 移民問題がこれだけ取りざたされている今、シニカルなアイデアですよね。ちなみに、私のIDはフランス。やった〜!フランス人だ〜!などと喜んでいる私みたいな人を、デザイナーのデムナ・ヴァザリア(Demna Gvasalia)はカーテンの向こうから暖かい目で見ているのでしょうか?

 ショー会場は、パリのポンピドゥーセンターの1階。椅子を並べただけのシンプルなランウエイは、パブリックなムード満々です。

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 招待状の封筒には、「ステレオタイプス(STEREOTYPES)」と題したメモ書きも入っていました。例えば「ミラネーゼ」の説明は「ペンシルスカートに膝丈ミンクのコート、レザーの手袋にオーバーサイズのサングラス」といった具合。そして登場したのがこちらのルックです。

 こんな感じで「ブローカー」「カウチポテト」「秘書」「ナード」「ソーシャルワーカー」「パリジャン」「フーリガン」などと続くのです。「ポランティア」は、プリントTシャツにヒートテックのレギンスにベースボールキャップ。確かに、ね。

 デムナは、06年にヘレナ・ルメルスキー(Helena Lumelsky)と2人で「ステレオタイプス」と題したインスタレーションを東京で行いましたが、基本の考え方はあの時と同じだと思います。職業や社会的な立ち位置を伝えるために使われる“呼称”が生む固定観念。それは周囲が勝手にイメージするものでもあるし、時に自らその固定観念の中に入っていくこともある。「婦人警官」のように「制服を着用したことでそれらしく振る舞うことになる“効果”を生んだり、逆にカスタマイズしたレザージャケットを着る「パンク」のように制約から解かれようとした結果、ステレオタイプに陥ったり。

 着ているのは、いわゆるスタンダードなアイテムばかり。それを少しデフォルメしています。このショーは新しいアイテムを提案するというより、ファッションの楽しみ方を他の人とは違う角度から見せてくれる、そんなショーでした。

 モデルはいたって真面目に歩いているからとにかく、笑えます。“いるいるこんな人!”と、突っ込みどころ満載で、ロバート秋山さんの「クリエイターズ・ファイル」を見ている感覚でした。私もアレ、大好きです。デムナと秋山さん、きっと気が合うんじゃないかな。

 「日本からのパリコレ取材者」ってどんな感じでしょうか。「ベースは黒の服で、(日本製)のフェイクファーのコートを着て、足元は『グッチ』の花刺しゅうスニーカー」とか?あ、やだ、これ私だ。

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