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日本の美容ブランドを台湾から世界へ イニシャルが「JAPAN BEAUTY SHIP」発足、27年夏に初の合同展示会

ベクトル傘下のPR会社イニシャルは14日、日本の美容ブランドの海外進出を支援する新プロジェクト「JAPAN BEAUTY SHIP(ジャパン ビューティ シップ、以下JBS)」を発足した。中小規模のブランドが単独では対応しにくい通関・物流や現地PR、販売などを一貫して支援し、2027年夏には台湾・台北で初の合同展示会を開催する。10〜20ブランドの参加を目指す。同日に開いた発表会には、日本の美容産業の国際競争力強化に向けて政策を議論するJビューティ産業研究会の金子容三事務局長・衆議院議員や、美容ブランドの経営者らが登壇し、海外展開の課題や業界連携の必要性について意見を交わした。

通関・物流から現地PR、
越境ECまで一貫支援

JBSは、日本の美容ブランドが海外市場へ進出するための足掛かりをつくることを目的とする。特に、大手企業と比較して海外展開に必要な人材や資金、現地ネットワークが限られる中小規模のブランドを主な支援対象に据える。JBSの事業責任者を務めるイニシャルの岸本幸奈氏は、海外展開には通関・物流や現地での認知獲得、販路開拓など、商品開発とは異なる専門的な対応が必要になると説明。個々のブランドが抱える負担を軽減し、複数のブランドが連携して海外市場に挑戦できる仕組みを構築する考えを示した。初のイベント「JAPAN BEAUTY SHIP 2027 in Taiwan」は、27年夏に台北市内で開催する予定だ。初日をビジネスデーとして現地メディアやインフルエンサー、バイヤーらを招き、2〜3日目は一般来場者に開放する。参加企業は台湾未上陸のブランドを中心に10〜20ブランドを想定する。

JBSでは、出展費用に通関・物流の実務対応を含め、参加ブランドの負担を軽減する。現地メディアやインフルエンサーを活用したPR、来場者へのアンケートなどによるテストマーケティングも実施する。さらに、越境EC事業者と提携し、イベントで商品に関心を持った消費者がオンラインで購入できる仕組みを整える。通関・物流から現地PR、販売までを一貫してサポートし、最終的には現地流通企業との商談機会の創出も目指す。運営には、ベクトルのPRやマーケティングの知見を活用する。イニシャルが展開する美容業界特化型のSNSマーケティングレーベル「SHIP」などとも連携し、現地での認知拡大から販路開拓までを後押しする。

台湾を最初の開催地に選んだ背景には、日本製品に対する信頼や親近感の高さがある。日本との距離が近く、現地消費者の肌質や肌色にも共通点があることから、日本の美容ブランドにとって海外展開の第一歩を踏み出しやすい市場と判断した。JBSは、単発のイベントにとどまらず、参加企業による継続的なコミュニティーの形成も目指す。企業間の情報交換や勉強会、課題共有を通じて、海外展開に必要な知見を蓄積していく。将来的にはアジアを中心とした他国への展開も視野に入れる。

海外から引き合いも、
立ちはだかる規制とコスト

発表会では、日本の化粧品ブランドが海外展開する際の具体的な課題も議論された。「レカルカ(LEKARKA)」を展開するレカルカの梅田延稔代CEOは、クリニックでの販売を通じて海外からもブランドに関心が寄せられていると説明した。一方、日本国内で販売している製品をそのまま海外へ持ち込めるとは限らず、進出先の規制に合わせて処方を変更する必要が生じる場合がある。こうした対応には専門人材や費用が必要で、海外市場への参入には商品力だけでは解決できない課題があると語った。また、韓国の美容産業が国や業界として一体感を持って海外市場で存在感を高めてきたことにも触れ、日本のブランドも個別に海外展開を進めるだけでなく、連携して日本の美容の価値を発信することが重要だとした。ブランドごとの個性や強みを生かしながら、Jビューティとして認知を広げることが、海外市場での競争力につながるとの考えを示した。

「MIMC(エムアイエムシー)」を手掛けるMIMCの北島寿会長兼開発者は、海外進出の大きな障壁として、製品の安全性に関する情報をまとめたPIF(プロダクト・インフォメーション・ファイル)への対応を挙げた。国や地域によって求められる制度は異なり、製品の微生物検査や安全性評価、成分情報の収集など、専門的な対応が必要になる。北島氏は、こうした規制への対応は中小企業だけでなく、専門部署や人材を抱える大手企業にとっても容易ではないと説明した。さらに、安全性を証明するために製品情報の開示が求められるが、独自の処方や研究開発のノウハウをどう保護するかという課題もあるとした。現地での販売責任者の確保や製品表示、パッケージの変更など、輸出に伴う実務も多岐にわたる。北島氏は、海外の制度変更にも継続的に対応する必要があるとし、各国の規制情報を共有する仕組みや専門人材の確保、経済的な支援の重要性を訴えた。一方、日本に輸入される化粧品には、海外のPIFと同様の制度が一律に義務付けられているわけではない。北島氏は、こうした国内外の制度の違いにも目を向け、日本企業が公平な条件で海外市場に挑戦できる環境整備の必要性を示した。

また、北島氏は、日本の化粧品産業を支える研究開発人材の育成にも課題があるとした。日本では、大学などで化粧品の処方開発や安全性評価、関連法規などを体系的に学べる機会が限られ、化粧品について専門的に学びたい学生の受け皿が十分に整っていないという。特に、化粧品開発に関心を持つ理系の女性などが専門性を身に付けられる教育環境の充実を求め、次世代の研究開発人材を育てることが、日本の化粧品産業の国際競争力を維持・強化する上で重要だと訴えた。

業界・省庁の分断を越え、海外展開を後押し

金子議員は、日本の美容産業の海外展開を後押しする上で、国内外の企業が公平な条件で競争できる「イコールフッティング」の重要性を強調した。また、化粧品や理美容、美容機器などの業界が分かれ、行政側でも関連政策の所管が複数の省庁にまたがるなど、産業全体を横断する連携が十分ではなかったと説明した。金子議員が事務局長を務めるJビューティ産業研究会は、国会議員や関係省庁、業界関係者が参加し、こうした課題の解決に向けた政策を議論してきた。今後は同研究会を10月中に議員連盟へ改組し、省庁間の連携や海外展開に向けた制度・政策面での環境整備を進める方針だ。

民間では12月を目途に、化粧品大手メーカーなどを中心としたコンソーシアムの設立準備が進んでいる。金子議員は、大手企業だけでは産業全体の成長は実現できないとし、異なる業種をつなぐ「横の連携」と、大手から中小企業までをつなぐ「縦の連携」の必要性を強調。業界の分断を越えて関係者をまとめる役割を、新たなコンソーシアムに期待していると語った。

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