PROFILE: (左)山本順二/日本化粧品工業会 専務執行理事 (中央)鈴木学/経済産業省 商務・サービスグループ 生物化学産業課 化粧品産業企画官 (右)長谷川隆/国際商業出版 取締役、「国際商業」編集長

日本の美容産業が培ってきた研究開発やモノ作り、プロの技術を、世界で持続的な成長につなげるには何が必要なのか。企業や異業種が連携し、行政が環境を整えながら、協調できる領域を広げていく。Jビューティを一過性の流行に終わらせず、化粧品から美容機器、サービス、食、文化、体験へと広げる条件を、行政、業界、メディアの3者が考える。(この記事は「WWDJAPAN」2026年9月28日号付録「WWDBEAUTY」からの抜粋に加筆しています)
日本の化粧品はなぜ、
世界で存在感が弱まったのか
WWD:日本の美容産業は研究開発力や技術力、品質の高さで評価される一方、世界市場で十分に存在感を発揮できていないともいわれます。最大の課題をどう見ていますか。
山本順二・日本化粧品工業会 専務執行理事(以下、山本):技術があるだけでは商品は売れません。ただ、高い技術や品質、安全性、商品への信頼がなければ、どれだけマーケティングを工夫しても難しい。日本が積み上げてきた強みを磨きながら、海外でどう売るかという力をさらに高める必要があります。
長谷川隆・国際商業出版 取締役、「国際商業」編集長(以下、長谷川):「日本の化粧品は世界で存在感がなかった」という前提から整理した方がいいと思っています。2010年代、世界中の企業が狙っていた大きな市場の1つが中国でした。その中国で、日本ブランドは非常に強かった。インバウンドの“爆買い”だけではなく、中国本土では越境ECでも一般貿易でも売れていた。存在感がなかったのではなく、「成長の勢いを継続できなかった」と考える方が正確ではないでしょうか。日本の化粧品輸出は21年にピークを迎え、その後も大きく減少した。なぜ輸出拡大を継続的なかったのか。そこにKビューティとの差も見えてくると思います。
日本の技術や品質は先人が長い時間をかけて積み上げてきたものです。IFSCC ❶ など国際的な場でも存在感を示してきた。一方、コロナ後、生活者が「モノ」だけでなく体験を求める中、高い技術を体験価値に変え、市場の変化に素早く合わせられたかというと、そこには課題があったと思います。Kビューティは、ブランドやODMなど複数のプレーヤーが専門性を生かす 水平統合型のモデル ❷ で、世界のトレンドの変化に素早く対応してきた。さらにK-POPやファッション、カルチャーとも結びつけて横断的にマーケティングした。生活者が「楽しい」「今のトレンドだ」と感じるものに、きちんと反応してきたわけです。そこから日本が学べることは多いと思います。
韓国最大のヘルス&ビューティストア「オリーブヤング(OLIVE YOUNG)」は5月、米国1号店をカリフォルニア州パサデナに開業。約400ブランドをそろえ、オープン3日間で約6000人が来店した ⒸGILBERT FLORES/WWD FAIRCHILD PUBLISHING, LLC
鈴木学・経済産業省 商務・サービスグループ 生物化学産業課 化粧品産業企画官(以下、鈴木):21年の「化粧品産業ビジョン ❸」と今回の「化粧品産業競争力強化検討会」(こちらの記事参照)の中間報告書を比べても、基本的な課題はかなり共通しています。違いを生むのは、どれだけ実践できるかです。品質を掘り下げる方法も、コンテンツやカルチャーと組む方法もある。いろいろな挑戦が連鎖していくことが重要だと思います。
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