ファッション

FaW TOKYO 2026 秋に見る業界潮流 ユニフォーム、産地デニム、リユース、IP、ファッションテックなどに集客

RX Japanは10月7〜9日の3日間、東京ビッグサイトでファッション展示会「FaW TOKYO(ファッション ワールド東京)2026 秋」を開催した。サステナブルファッション、テキスタイル・素材、OEM/ODM、リユースビジネスなど10の専門展で構成し、国内外から約800社が出展した。同展のゾーニングや賑わいは、ファッション産業の動向を反映しており、歩いて回ることで潮流が見えてくる。今回は、アニメやキャラクターなどのIPを使った商品を集めた「IP×ファッションEXPO」と、人手不足や採用競争を背景に企業の関心が高まる「選ばれる企業のユニフォーム・ワークウェアゾーン」の2エリアを新たに設けた。また、岡山県西部から広島県東部にまたがるデニム産地の魅力を発信する「備中備後ジャパンデニムプロジェクト」が「産地の生地展」を開き、紡績から縫製までを担う産地の企業4社が技術や生地を紹介した。会場では、これらをはじめ、リユース、ファッションテックなどのエリアがにぎわっていた。

ビームスクリエイティブ 人材難を背景に、ユニフォーム刷新の依頼が増加

新設の「選ばれる企業のユニフォーム・ワークウェアゾーン」で目を引いたのが、ビームスクリエイティブの「ユニフォーム サーカス ビームス」だ。1988年にスポーツウエアのチームオーダーから始まり、2010年にレーベル化した。久保田雅也ビームスクリエイティブプロダクト部部長・チーフプロデューサーは「人材難を背景に、採用や社員のエンゲージメントを高めるためにユニフォームを刷新したいという依頼がここ数年で急増している」と話す。20〜30年デザインが変わらない企業も多く、女性や若手社員のニーズに応えたいという声を聞くという。

ビームスの強みは、企業の文化をくみ取る力にある。久保田部長は「会社の特徴や理念をしっかり聞いた上で、『こういう理念があるから、このデザインはどうですか』というストーリーを作りたい。勝手に『かっこいいでしょう』と提案しても、社員の皆さんが満足するものにはならない」と話す。

今回展示したのは既製品ベースのシリーズ。半年から1年かかるフルオリジナルと違い、短期間で導入できるメリットがある。静電気を通さないジップなど機能は細部まで押さえ、安全面は専門のユニフォーム会社と詰める。デザインには、ビームスが国内外のブランドを扱ってきた知見や、別注やコラボの経験が生かされている。たとえば、今回打ち出したポケットを身頃と一体化したジャケットについては「90年代のハンティングウエアを参考にした」と関根陽介プロダクト2課ディレクター。同時に精密機器を扱う会社が求めるフラットなデザインにもつながっており、機能とデザインの融合の面白さが目を引く。また、着替えずに通勤できる服を求める企業も増えており、同ディレクターは「そう話す方には40〜50代でビームスを通ってきた方が多く、自由度が広がっている」と語る。

備中備後ジャパンデニムプロジェクト ジーンズ1本を産地の中でつくる

インパクトあるブースを出した「備中備後ジャパンデニムプロジェクト」は、製品だけでなく、産地の背景や歴史を紹介するコーナーも設け、多くの人が足を止めていた。宮浦晋哉糸編社長がプロデュースをした。ブースに立った福山市の松川恭輔・経済環境局経済部産業振興課主事は出展の狙いは「産地を知ってもらうこと」と話す。脚光が当たっている「ジャパン・デニム」ではあるが、児島と比べてその知名度は「まだまだ」とみている。松川主事は「面として産地を盛り上げ、点と点をつないで関係人口を増やすのが行政の役割。事業者の皆さんの熱量がすごいので、置いていかれないように頑張っている」と話す。産地はどこも人材不足や後継者難、人件費の上昇に直面している。工場を見てもらい、最終的に就業へとつなげたい考えだ。

カイハラの山田信太郎営業部部長も「産地としての認知度アップ」を出展目的にあげる。改めて語るのは、強みである染色の魅力だ。「色落ちは染め方でコントロールできる。海外のものは一見同じ色でも洗うとばらつくが、日本の品質なら一定のものができ、何年たっても同じものが出せる」。デザイナーの「この洗いでここまでの色にしたい」という要望にも、染め方を変えて応える。また、微生物の発酵でつくるバイオインディゴなどサステナビリティの取り組みも紹介した。

シャトル織機によるヴィンテージ調の生産は人気の高まりから2年から2年半待ちで、リピート客の注文だけで埋まってしまっているのが現状。「その中で、うちでしか織れないものを開発しないといけない」と話すのは、篠原テキスタイルの篠原由起社長だ。備後絣から始まり、学生服や軍服、アフリカ向けのターバンを織ってきた。「織るものは変わっていく。綿100%じゃなくてもいい」と、今回はシルクやカシミヤを横糸に使った「ベーシックではないデニム」を持ち込んだ。次なる「ジャパン・デニム」へと育る方針だ。

山陽染工は、2年前に始めた自社ブランド「キフ(kiivu)」の2027年春夏コレクションを展示した。縦糸は綿、横糸には柿渋で糸染めしたシルクやリネンを使い、同じ縦糸でも生地の表情が大きく変わる。今季から「日本らしさ」をテーマに掲げ、近隣の福山市で一から作った桐箱入りのセットも用意した。価格はパンツが約3万8000円、ジャケットが約4万6000円。新規事業部の湯浅遼太氏は「デニムは大量生産で成り立つ産業だが、別注や中量生産が出てきたからこそ生まれるテキスタイルが、ジャパンデニムらしさだと思う」と話す。

日本デリバリーサービスは、生地を縫製し、加工して製品にするまでを担うOEMメーカーだ。強みは加工にある。ブースには、古着のインディゴデニムを参考に、洗い加工で色あせた風合いを再現した製品を並べた。東京製品部の門井佳旺氏は「再現性はかなり高い」と話す。インディゴの上から泥染めを施し、黒みを帯びた表情に仕上げた製品もあった。紡績から染色、織布、縫製、加工まで、ジーンズ1本を一つの産地の中で作れる。4社の展示はその層の厚さを示した。

ファッションクロスフルシマ 染め替えを最初から商品企画に組み込む

リユースビジネスEXPOに2回目の出展となったファッションクロスフルシマは、創業120年目、アパレル製品の検品を40年以上手がける。検品で不良品となった服を補修や染め替えで再び売れる状態にする「e junkan」を紹介した。同社が窓口となり、京都紋付の「黒染め」へつなげるなど、いわば不良品を蘇らせる「商社」的役割を果たしている。きっかけは、不良品を捨てるためのごみ収集車が自社の工場に来ていたことだ。服好き故、「胸が痛んだ」中山一路プロジェクトリーダーは、解決策のひとつとして同プロジェクトを立ち上げた。ただ、在庫を後から染め替えるだけでは売れにくいという声も受けた。そこで今回は、企画段階から染め替えを組み込む提案に踏み込んだ。染めてもステッチの色は残るため、デザインが変わる。中山リーダーは「染め替えればこうなる、と案内して売る。デザインが変われば、愛着がわいてもう一度着られる」と話す。

MNインターファッション サステナビリティは「企業の姿勢」

輸出EXPOに継続して出展しているMNインターファッションは、紙糸の「WA.CLOTH」やバナナの茎の繊維を使った「BANANA CLOTH」など、7つの素材ブランドを紹介した。新顔の「MINERALTEX」は、鉱石をポリエステルに練り込んだ接触冷感素材だ。米﨑尊路企画開発部部長は「この暑さで、ものすごく売れている」と話す。接触冷感の指標であるQmax値0.1以上、遮熱率35%、UVカット率90%という自社基準を設け、海外のバイヤーからも引き合いがある。

一方で、スポーツやアウトドアのブランドを中心に、天然素材への回帰が進んでいるという。同部長は「CO2削減やLCAの話をしだすと、結局そこに帰ってくる」と分析している。英国発の高密度綿織物「VENTILE」を扱うのも、その流れを受けたものだ。サステナビリティの位置づけについて、米﨑部長は「企業の姿勢であり、声高にうたうより、日常の素材に少しずつ取り入れる段階に入っていると話す。

メタクロシス 撮影なしでEC画像を量産し、在庫を減らす


ファッションテックのエリアでは、初出展のメタクロシスがAIで着用イメージを生成するサービス「フィギュア(FIGUR)」を紹介した。服の画像1枚から、1000以上のAIモデルや背景、ポーズを選んで着用画像を作れる。AIモデルに使用料はかからない。一度仕上げた画像をテンプレートとして保存すれば、服や色を入れ替えて誰でも同じ品質で一括生成できる。新井康平代表取締役は「商品画像は多いほど売れると分かっていても、商品数が多すぎて撮る暇がない」と、EC現場の課題を指摘する。主力以外の商品やカラーバリエーションまで画像で見せることで、「不良在庫を限りなく減らす施策につながる」と話す。キービジュアルはアパレルのVMDの経験を持つメンバーが選び抜いたもので、「クリエイティビティはうちの強みの一つ」と言う。

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