紳士服専門店の2強の売上高が2026年3月期決算で初めて逆転した。長らく業界首位を走っていた青山商事は前期比3.4%減の1890億円。2位だったAOKIホールディングス(HD)は前期比1.0%増の1945億円となり、青山商事を抜いた。ただ紳士服市場はダウントレンドのため、アパレル以外の事業の成長性に左右される構図になっている。
青山商事もAOKIHDも事業の多角化を進めており、売上高において青山商事は約34%、AOKIHDは約47%をアパレル以外の事業が占める。アパレルに絞ると青山商事の売上高の方が依然として大きい。青山商事のビジネスウエア事業(「洋服の青山」「スーツスクエア」「麻布テーラー」など)は前期比6.6%減の1242億円、AOKIHDのファッション事業(「AOKI」「オリヒカ」など)は同0.3%増の1028億円だった。
AOKIHDが首位に立った要因としては、アパレルの売上規模を維持しつつ、時間をかけて他事業を育成してきたこが大きい。複合カフェ「快活クラブ」、フィットネスジム「FIT24」などのエンターテインメント事業の売上高は767億円(同1.0%増)に達する。営業利益はファッション事業の85億円に対し、エンターテインメント事業は72億円であり、安定した収益源になった。
両社の本業である紳士服はオフィスのカジュアル化によってスーツ離れに歯止めがかからない。青山商事は長年、メンズスーツ(セットアップは含まない)の販売着数を公表している。それによると、16年3月期は222万着だったのが、26年3月期には95万着へと10年間で半減した。オーダースーツ人気によって平均販売単価は2万7484円から3万4917円へと上昇しているが、販売着数の減少をカバーするには至らない。
青山商事もAOKIHDも祖業であるメンズスーツだけでなく、働く女性のため服やオフィスのカジュアル化に対応した服の拡充、そしてアパレル以外の事業多角化が生き残りのカギになっている。