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「ゴールドウイン」がNYに旗艦店 グローバル攻略の拠点は日本の自然美に着想した空間

ゴールドウインの米国旗艦店「ゴールドウイン ニューヨーク(GOLDWIN NEW YORK)」が、ニューヨーク市に4月24日にオープンした。立地はソーホーとノリータにまたがるエリアで、アウトドア、ラグジュアリー、ストリートといった異なるカルチャーが交差する商業集積地だ。グローバル市場におけるブランドポジショニングを左右する重要な拠点となる。

「ゴールドウイン」は2021年に開業した北京を皮切りに中国出店を加速し、現在は中国大陸で9店舗を展開する。今回のニューヨーク店に先立ち、1月にロンドン、2月には最大規模のソウルをオープンするなど、海外展開を急速に進めている。一連の出店を経て、欧米での新規出店はニューヨークを一区切りとし、当面は既存店舗の運営強化に軸足を置く。一方で中国市場では出店を継続し、5月には上海での2号店を予定する。日本国内では青山エリアでの旗艦店出店も検討している。

「ゴールドウイン」の米国事業は2019年にサンフランシスコに出店したが、パンデミックによる市場環境の変化を受け閉店。その際、撤退後もサンフランシスコを起点としたECでは、ニューヨーク州からの注文がカリフォルニア州に匹敵する水準で伸長していた。こうした需要を背景に、東海岸市場のポテンシャルを見込み、今回のニューヨーク出店に至った。

“グローバルニッチ戦略”で感度層を起点に認知拡大を狙う

ニューヨーク・マンハッタンの中心への旗艦店出店は、「ゴールドウイン」ブランドの今後の成長戦略にどのような意味を持つのか。ゴールドウインの渡辺貴生社長は「ニューヨークはアメリカ国内のみならず、世界中から人々が集まる都市。当社が大切にする細部へのこだわりや職人による丁寧なものづくりといった日本独自の価値観を理解できる層が集まっている。影響力の高いこの場所から発信することで、認知を広げていきたい」と語る。

派手なデザインによる訴求ではなく、素材選びや見えない部分の細部にまでこだわった商品は、マス市場ではなく感度層に訴求する“グローバルニッチ戦略”の中核を担う。ニューヨークという発信力の高い都市を起点に、プレミアムスポーツブランドとしての存在感を高めていく狙いだ。「当社の強みは、スポーツとファッションを高次元で融合させたプレミアムスポーツブランドである点にある。先端技術を取り入れた素材と、ファッションとしての表現力を兼ね備えた商品開発が可能だ」と同社長。

同社は現在も創業地の富山県にある研究開発拠点「ゴールドウイン テック・ラボ」で独自の開発とデザインを行う。「テクニカルアウターを得意とするブランドであり、極寒のニューヨークの気候とも親和性が高い。そうした価値を理解する富裕層も存在しており、ブランドの世界観を的確に伝えられる市場だ」と続ける。なお、米国内での追加出店については現時点では未定だという。

新素材研究所による自然素材とテクノロジーの融合空間

一面ガラス張りのファサードが印象的なニューヨーク店の内装は、新素材研究所の榊田倫之氏によるもの。同氏は21年の北京店以降、店舗の空間設計を担当している。

ミニマルな空間の店内中央には24枚の秋田杉を円環状に配し、社(やしろ)を想起させる構成とした。通りに面した外周にはLEDスクリーンを設置し、目まぐるしく移り変わるトレンドや四季の移ろいを映し出す。自然素材とテクノロジーを融合させたデザインは、絶えず変化するニューヨークの都市性に着想を得たものだ。環状に配した秋田杉は、新たな流れを生み出す「渦の目」を想起させる。

こうした空間づくりについて、渡辺社長は「日本の伝統的な建築様式を現代的に再解釈し、日本の素材を用いて表現した。ミニマルでありながら普遍性と機能性を兼ね備えた空間で、インテリアとアパレルに通底する価値観を体現している。店舗での体験も含めてブランドの世界観を感じてもらえれば」と語る。

“真実は細部に宿る”緻密な商品設計

店内に並ぶ商品は、「ゴールドウイン」の通常ラインに加え、実験的プラットフォーム「ゴールドウイン ゼロ」、同ラインのランニングコレクション「ゴールドウイン ゼロ パフォーマンス カプセル」の第2弾もニューヨーク店のオープンに合わせて発売された。基本的に商品構成はグローバルで統一されているが、「New York」のロゴをあしらった限定アイテムも展開する。

創業者が掲げた「真実は細部に宿る」という設計思想を受け継ぎ、各プロダクトには細部にまで配慮された設計が反映されている。機能素材特有の質感や立体的なフォルム、細かなディテールに至るまで、機能性とファッション性の両立を意識した仕上がりだ。

「近くで見た際に立体的なフォルムや素材使いが評価されている。機能素材を用いながらファッションとして成立している点に手応えがある」と木南拓也事業部長。同社が重視する細部へのこだわりや日本的な美意識が、プロダクトに反映されている。

「ゴールドウイン」ブランドの売上高は2025年3月期で44億円。グローバルでの出店拡大を背景に、2027年3月期に100億円、2029年3月期に200億円を目指す。2033年3月期には500億円規模への成長を掲げる。海外売上比率は8割まで引き上げる方針で、欧米とアジアの両市場を軸にグローバルブランドとしての確立を狙う。

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