9月4日、世界的なデザイナーのジョルジオ・アルマーニ(Giorgio Armani)氏がミラノで死去した。91歳だった。アルマーニ グループ(ARMANI GROUP)は、6〜7日にミラノ市内にあるアルマーニ/テアトロ内に弔問所を設置。敬意を込めて“モード界の帝王”や“マエストロ”とも称されたアルマーニに最後のお別れをするべく、6日には一般弔問客も含めて6000人以上が訪れた。なお、葬儀は故人の遺志によって親族のみで執り行うという。ここでは、ファッション業界に多大なる貢献をした同氏を悼む企業トップやデザイナーらの声を紹介する。
【企業トップ】
ベルナール・アルノーLVMH モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON)会長兼最高経営責任者(CEO)
「ジョルジオの訃報に、深い悲しみを覚えています。彼は光と影を組み合わせたユニークなスタイルを作り上げ、起業家として事業を大きく発展させ、イタリアのエレガンスをグローバルに広めました。また、彼は本物の友人であり、フランスを敬愛してくれました。ご家族に心からお悔やみを申し上げます」
フランソワ・アンリ・ピノー(Francois-Henri Pinault)=ケリング(KERING)会長兼CEO
「深く大きな悲しみとともに、ジョルジオの訃報に哀悼の意を表します。比類のないビジョンを持った起業家として独立性を尊び、エレガンスを再定義し、時代にその名を刻みました。誰もが認めるイタリアン・クチュールのマスターである彼の影響は、ファッションの領域を遥かに超え、あらゆる世代をインスパイアし続けることでしょう。その素晴らしいキャリアに深い敬意を表し、ご家族やチームの皆さまに心からのお悔やみを申し上げます」
ピエトロ・ベッカーリ(Pietro Beccari)=ルイ・ヴィトン会長兼CEO
「真の先見性を持っていたジョルジオの逝去を、世界中が嘆き悲しんでいます。彼がエレガンスや品格に与えた影響により、ラグジュアリーはその姿を大きく変えました。同じイタリア人として、彼の勇気、尽きることのない情熱、厳格な規律性に心から敬意を抱いていました。彼を失い、ファッション界は深い悲しみを覚えています」
レオナルド・フェラガモ(Leonardo Ferragamo)=サルヴァトーレ フェラガモ(SALVATORE FERRAGAMO)会長
「一族を代表し、ジョルジオが逝去したことに深い哀悼の意を表します。彼は紛れもなくファッションのマスターであり、イタリアン・エレガンスのシンボルでした。比類のない人物であり、その名はイタリアのファッション史に深く刻まれています。彼の長期的なビジョンや価値観、起業家精神、そして素晴らしい作品の数々は長きにわたって生き続け、後世に大きなインスピレーションを与え続けることでしょう」
ジルド・ゼニア(Gildo Zegna)=エルメネジルド ゼニア グループ(ERMENEGILDO ZEGNA GROUP)会長兼CEO
「訃報に際し、深い悲しみを覚えています。マエストロ・ジョルジオ・アルマーニの尽きることのないインスピレーション、美しさに関するビジョン、そして“メード・イン・イタリー”のスピリットとカルチャーを世界に伝えてくれたことに、心からの感謝を。彼のレガシーはファッション業界を形作り、私たち全員を高めてくれました。彼への謝意が消えることはありません」
レンツォ・ロッソ(Renzo Rosso)OTB会長
「比類のない存在を失い、イタリアと世界は深い悲しみに沈んでいます。ジョルジオと話すのは、いつでも本当に楽しい経験でした。彼は好奇心旺盛で、学ぶことに貪欲で、ファッションはもちろん、さまざまな分野について比類のない知識を持っていました。私たちの会話は洞察に満ちており、彼とのアイデア交換は常に刺激的でした。何事にもポジティブかつ情熱的な姿勢で取り組み、独自の視点で世界を見ていました。真のアイコンだったジョルジオがいなくなり、心から寂しく思いますが、そのレガシーは今後も生き続けます。彼が私たちに残してくれた最大の贈り物は、そのイモータリティー(不死、永続性)かもしれません」
レモ・ルッフィーニ(Remo Ruffini)=モンクレール(MONCLER)会長兼CEO
「子どもの頃からジョルジオ・アルマーニ氏を敬愛し、ロールモデルとしてきました。ファッション業界で私がこうなりたいと憧れた、シンボル的な存在です。その一貫性、エレガンス、先見性と勇気は一時代を築き上げました。自制と先進的なビジョンを持ち、一過性のトレンドに惑わされることなく、オーセンティック(本物)でタイムレスなスタイルを確立したのです。彼のようになりたいと多くが願いますが、誰も真の意味で彼のようにはなれません。彼は永遠に憧れの存在です」
ブルーノ・パブロフスキー(Bruno Pavlovsky)=フランス・オートクチュール&モード連盟(Federation de la Haute Couture et de la Mode)会長
「ジョルジオは、イタリアとフランスのファッションの美しい結び付きを体現する存在でした。クラフツマンシップへの敬意とコミットメントを持ち、オートクチュール・ファッション・ウイークへも計り知れないほど貢献してくれました。そのタイムレスなクリエイションは、今後も大きな影響を与え続けるに違いありません」
【デザイナー】
ヴァレンティノ・ガラヴァーニ(Valentino Garavani)「ヴァレンティノ」創業デザイナーとジャンカルロ・ジャンメッティ(Giancarlo Giammetti)
「ライバルではなく、いつも友人だと思っていたジョルジオの逝去に心から哀悼の意を表します。50年以上にわたって親交があり、いろいろな思い出がありますが、その比類のない才能やファッション界にもたらした変化、そして何より自身のスタイルへの揺るぎない忠誠心に、心からの敬意を捧げます」
ドナテラ・ヴェルサーチェ(Donatella Versace)「ヴェルサーチェ(VERSACE)」チーフ・ブランド・アンバサダー
「世界は今日、偉大な存在を失いました。ジョルジオはファッションの歴史を変え、世界中のスタイルを何世代にもわたって定義し、真の天才で、エレガンスのマスターでした。彼がいなくなったことは永遠の悲しみですが、そのスタイルもまた永遠のものです」
ミウッチャ・プラダ(Miuccia Prada)「プラダ」共同クリエイティブ・ディレクター兼「ミュウミュウ」クリエイティブ・ディレクターと、パトリツィオ・ベルテッリ(Patrizio Bertelli)=プラダ グループ会長兼エグゼクティブ・ディレクター
「ジョルジオの訃報に、深い悲しみを覚えています。そのエレガンスとクリエイティビティーで知られたマエストロであり、イタリアおよびグローバルなファッションにおいて並ぶ者のいない主役でした。彼の尽きることのない貢献は、ファッションの歴史、そして彼を敬愛していた全ての人々の記憶に永遠に刻まれています」
ラフ・シモンズ(Raf Simons)「プラダ」共同クリエイティブ・ディレクター
「ジョルジオの逝去に、深い悲しみを感じています。彼は先見の明を持つクリエイティブの天才で、ファッションにおけるエレガンスと洗練とは何かを定義しました。その作品は世界中のさまざまな世代のデザイナーにインスピレーションを与え、彼のレガシーはファッション史における礎であり続けるでしょう」
マルタン・マルジェラ(Martin Margiela)
「ジョルジオの逝去を心から追悼します。学校を卒業してすぐミラノに住んでいたころ、彼のチームの一員になりたいと強く思っていたことを鮮明に覚えています。ポートフォリオも準備したのですが、悲しいことに会うことはありませんでした。これからも彼への憧れと敬意が消えることはないでしょう。ありがとう、ジョルジオ!」
シルヴィア・フェンディ(Silvia Venturini Fendi)「フェンディ」メンズ&アクセサリー アーティスティック・ディレクター
「ジョルジオの多大なる貢献により、ファッションの歴史は形作られました。真のレジェンドであり、クリエイティビティーと起業家精神に満ちていた彼は、情熱と献身、揺るぎのない緻密さを通じて、私たちにお手本を示してくれました。彼のレガシーは長きにわたって残り、後世に影響を与え続けるでしょう。幸運にもジョルジオと過ごすことができた時間は、私にとってとても大切なものです。彼のインパクトは、本当に大きなものでした」
ブルネロ・クチネリ(Brunello Cucinelli)「ブルネロ クチネリ」創業者兼クリエイティブ・ディレクター
「私の世界、つまり美と節制、そして仕事を愛する世界の中で輝いていたジョルジオ・アルマーニという類まれな星が、現世での光を失ってしまいました。現代における最高のアーティストの一人として明るく輝いていた彼は、今後は不死の魂の世界で、イタリアンファッションの絶対的なシンボルとして輝き続けるでしょう。偉大なる存在のためにある栄誉は、彼にこそふさわしいものです」
ピエールパオロ・ピッチョーリ(Pierpaolo Piccioli)「バレンシアガ(BALENCIAGA)」クリエイティブ・ディレクター
「ファッションおよび世界にとって悲しい日です。私たちは、比類のない才能を持つ本物の紳士を失ってしまいました。しかしジョルジオのレガシーは偉大なものであり、今後もパワフルに、誰もが認めるものとして生き続けます」
マリア・グラツィア・キウリ(Maria Grazia Chiuri)「ディオール」前ウィメンズ・アーティスティック・ディレクター
「ジョルジオは、“メード・イン・イタリー”のエレガンスを世界に知らしめました。そのビジョンにより、ウィメンズおよびメンズファッションにおけるモダンで自由な言語の定義を手助けしたのです。彼のイタリアンファッションへの貢献、そのビジョンと品位は、永遠に私たちを導く光として輝き続けるでしょう」
ジョン・ガリアーノ(John Galliano)
「脱構築(アンコンストラクテッド)のヒーロー。訃報を聞き、深い悲しみを感じています」
トム・フォード(Tom Ford)
「ジョルジオの訃報に深い悲しみと、驚きを覚えています。彼は不死の存在だと思える、類まれな人物でした。大いなる才能を持ち、誰もが知る傑物でした。私たちみんなにインスピレーションを与えてくれた存在で、彼がいないファッション界を想像することはとても難しい」
ジャンポール・ゴルチエ(Jean Paul Gaultier)
「ジョルジオとそのクリエイションに、昔から憧れていました。メンズのスーツに流れるような動きを、ウィメンズウエアにある種の規律と正確性を与えることで、最高に美しいスーツを作り出したのです。1970年代にファッション業界で働き始めたころ、『ジョルジオ アルマーニ』のアイテムを手に入れることを夢見ていたので、実際にレザージャケットを買ったときには夢が叶ったと喜んだものです。ブラボー、そしてありがとう、ジョルジオ!」
ドリス・ヴァン・ノッテン(Dries Van Noten)
「ジョルジオが(ブランド設立)50周年を祝う直前に私たちのもとを去ってしまい、本当に悲しく思います。彼のように、常に大きな存在としてそこにいた人もいなくなるのかと思うと不思議な感じがします。私にとって彼は“一貫性の師”であり、スタイルはファッションより重要だと教えてくれた存在です。1970年代にファッションを志す学生だった頃、『ルウオモ・ヴォーグ(L'UOMO VOGUE)』に掲載されていた『ジョルジオ アルマーニ』の広告を覚えています。カット、カラー、素材における静かな革命のようで、深い感銘を受けました。(『ジョルジオ アルマーニ』が)大好きでよく着ましたし、私のビジョンを形作ってくれました。ありがとう、ジョルジオ!」
アレッサンドロ・ミケーレ(Alessandro Michele)「ヴァレンティノ」クリエイティブ・ディレクター
「ジョルジオの訃報に、深い悲しみを覚えています。彼はイタリアのファッション史の創始者の一人でした」
ラルフ・ローレン(Ralph Lauren)=ラルフ ローレン創業者兼エグゼクティブ・チェアマン兼チーフ・クリエイティブ・オフィサー
「ジョルジオには、揺るぎのないビジョンを持った素晴らしいデザイナーとしてだけでなく、家族や友人、母国を深く愛する人物として、以前から深い敬意を抱いていました。彼はファッション界のアイコンであるにもかかわらず、人間らしさと愛情を持って生き、仕事に向き合っていました。愛したもの全てを反映して築き上げたその世界は、彼のレガシーとして永遠に残るでしょう」
ポール・スミス(Paul Smith)
「親愛なる友であり、デザイナー仲間のジョルジオの訃報に際し、深い悲しみに暮れています。彼は長年にわたり、力強くクリエイティビティーを発揮しました。その一貫性や独立系の企業としての継続性、そして地に足の着いた人柄にいつもインスピレーションを受けていました」
ジョナサン・アンダーソン(Jonathan Anderson)「ディオール(DIOR)」アーティスティック・ディレクター
「ジョルジオの訃報を聞き、深い悲しみに暮れています。彼と同じく、私も百貨店のショーウインドーを飾ることからスタートし、後に自分のブランドを立ち上げたので、彼のストーリーに非常にインスパイアされました。その背景を思うと、彼が達成したことの数々にさらに深い感銘を受けます。帝国を築き上げただけでなく、ファッション史を形作ったのですから。彼を失ったことは寂しい限りですが、ファッションにおける彼の影響が忘れられることはありません」
マチュー・ブレイジー(Matthieu Blazy)「シャネル(CHANEL)」アーティスティック・ディレクター
「私の世代にとって、ジョルジオ・アルマーニ氏は真にインスパイアされる存在でした。現代における最も偉大なイノベーターおよび先見の明を持つ人物の一人が失われてしまいましたが、そのスタイルは今後も生き続け、未来へと受け継がれていくでしょう」
マノロ・ブラニク(Manolo Blahnik)
「ジョルジオはエレガンスのマスターであり、現代における洗練を定義しました。彼のビジョンはタイムレスで、その影響は何世代にもわたって続いていくでしょう。彼がいなくなり、本当に寂しく思います」
ダイアン・フォン・ファステンバーグ(Diane von Furstenberg)
「ジョルジオは、イタリアのレディ・トゥ・ウエア(既製服)業界を発明したと言っても過言ではありません。彼のメンズおよびウィメンズ向けのテーラリングはグローバルなファッション業界に大きな影響を与え、ホームコレクションのブランドを立ち上げたのも彼が初めてです。勤勉で、自身の会社の独立性を保ち、自分のやり方を貫きました。その一貫性は、比類のないものです」
ヘルムート・ラング(Helmut Lang)
「安らかにお眠りください、ミスター・アルマーニ。あなたは先駆者で、レジェンドでした」