連載 エディターズレター:SUSTAINABILITY 第51回

「もう元には戻れない」。循環型ファッションは“前提”になるその一歩手前にある

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「もう元には戻れない」。循環型ファッションは“前提”になるその一歩手前にある

循環型ファッションは、本当に実現できるのでしょうか。品質、コスト、制度、意識など現場にはさまざまな制約があるなかで、それでも「できることから」と行動を始める人たちが、少しずつ増えてきました。日本のファッション産業もいま、かつてない構造転換のただ中にあります。理想論に見えた「循環型」は、現実の戦略課題として動き出している。「もう戻れない」という感覚を覚えている人も多いでしょう。

合意が制度になり、現場へ降りてくる

2023年、日本が議長国を務めたG7では、循環経済が脱炭素・生物多様性と並ぶテーマとして明記されました。その波はEUの規制強化と連動し、製品の設計・報告・回収までを網羅する義務が、輸出を前提とする企業にも及び始めています。トランプ政権によるパリ協定の再離脱は、EUのサーキュラーシフトにも一定の影響を与えていると分析できます。ただし、その影響は単なるブレーキではなく、EUにとって意識を再確認し、他国との連携を深める契機にもなっています。個人的な話になりますが、私は現在、フランスのビジネススクールにオンラインで通っています。米国を含む世界15カ国の同級生たち(その多くが企業のサステナビリティ責任者、最近レイオフを経験した人も複数)は冷静で「もう戻らない」と決めたからなのか腹が座っています。逆風が強くした連携感は今後大きな原動力となりそうです。

日本でも、経済産業省や環境省が循環型繊維産業への構造転換を明言。自治体単位では福岡市や神戸市が回収インフラの整備を進め、制度と現場がゆるやかに接続しはじめています。「理想」は、外からと内から、同時に制度に変わりつつあるのです。

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