サステナビリティ

シャネルが循環型素材の活用を促進する新たなBtoBプラットフォーム立ち上げ

シャネル(CHANEL)はこのほど、循環型素材の開発に特化したBtoBプラットフォーム「ネヴォルド(NEVOLD)」を立ち上げた。パトゥ(PATOU)の前最高経営責任者で、今年初めに同社に加わったソフィー・ブロカール(Sophie Brocart)が同プロジェクトの指揮を執る。

「ネヴォルド」は、ラグジュアリー市場をはじめ、スポーツウエアやホスピタリティ業界のユニフォームなど、アパレル全体における循環型素材の利用を拡大することを目指す。企業間の協業を促すため、シャネル本体からは独立した形で運営する。

デッドストックや端材、売れ残り品を回収する企業アトリエ・デ・マティエール(L’ATELIER DES MATIERES)、繊維リサイクルのノウハウを持つ紡績工場フィラチュール・デュ・パーク(FILATURES DU PARC)、レザーを中心としたアップサイクル素材を手がけるオーセンティック・マテリアル(AUTHENTIC MATERIAL)など、シャネルが出資する複数の企業が参加し、循環型素材の製造を担う。また、さまざまなブランドや企業と協力することで、再資源化に十分な量の資源の確保し、リサイクルコストの低減およびスケール化につなげたい考え。生産した素材は、シャネルまたは参画企業間で活用していく。

ブルーノ・パブロフスキー(Bruno Pavlovsky)=シャネル ファッション部門プレジデント兼シャネルSASプレジデントは、寿命を終えた製品の循環方法を模索する中で、「そもそも一社から出る廃棄衣類は量が少なく、将来的に採算の取れるような大規模な取り組みにはつなげられないことが見えていた」と話し、スケール化と低コスト化の実現なしには再生素材の活用は進まないだろうと指摘する。本プロジェクトの開発にあたっては、5000万〜8000万ユーロ(約85億〜136億円)を投資。「当社は『ネヴォルド』を、ファッション部門、そして既存の製造部門に続く“第三の柱”に据え、ファッションや他業種も利用できる循環型の素材開発に力をいれる」と話す。

シャネルでは、すでに「ネヴォルド」プロジェクトから生まれた再生繊維やリサイクルレザーの活用が進んでいる。パブロフスキー=プレジデントは、「たとえラグジュアリーブランドが採用しない糸でもスポーツメーカーであれば活路が見出せるかもしれない。そうした具合に、業界全体に視野を広げれば必ず興味を持つ企業は現れるだろう」と協業の意義について話した。今後はさらなる買収も視野に入れ、再生素材の研究開発体制を強化していくという。

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