「アンリアレイジ(ANREALAGE)」が、現地時間4月28日に米・ロサンゼルスで開幕したビヨンセ(Beyoncé)の新たなワールドツアー「Cowboy Carter & The Rodeo Chitlin’ Circuit Tour」の衣装デザインを担当した。2023年の「Renaissance World Tour」に続くタッグで、今回が2度目のコラボレーションとなる。
衣装の制作は、3月に発表された「アンリアレイジ」2025-26年秋冬コレクション「SCREEN」のルックがきっかけとなり、ビヨンセ側からの直接オファーで実現した。森永邦彦率いる「アンリアレイジ」チームは日本とロサンゼルスを往復しながら、オリジナルの衣装を開発。ステージで披露されたドレスは、“液晶のように表情を変える”布地「LED TEXTILE」を採用したクリノリン入りの一着だ。
このドレスは、楽曲「DAUGHTER」に合わせてプログラムされており、赤のタータンチェック柄から半身が青のチェックへ、さらに真紅のスパンコール、黒一色のロンプルイユ風レース模様へと、次々に変化していく。その後、ゴールドの輝きを放つスパンコールドレスから、アメリカ国旗を想起させる赤・白・青のノイズパターン、そして白黒へのステンドグラス模様のグラフィックが現れ、フィナーレでは、ステンドグラスの光が星々の爆発のように広がり、やがて宇宙の闇へと溶け込む。その闇から再び光が降り注ぎ、ドレスがまばゆい輝きをまとって完成するという、壮大な演出が展開される
テクノロジー面では、「アンリアレイジ」とクリエイティブカンパニー「MPLUSPLUS(エムプラスプラス)」による共同開発素材「LED TEXTILE」を使用。1着のドレスに約3万5000個のフルカラーLEDを搭載し、無線制御システムや映像設計もMPLUSPLUSが担った。さらに、黒のドレス表現には、京セラドキュメントソリューションズの次世代プリント技術「FOREARTH(フォレアス)」を採用。顔料インクジェット方式により、染料を用いず、水の使用量を99.98%削減したサステナブルな生産工程を実現。基布には、繊維メーカー・シキボウが開発した高機能素材「AZEK®」を採用。古代建築「校倉(あぜくら)構造」に着想を得た同素材は、光の透過性を活かして、布地そのものを映像スクリーン化することを可能にしている。
なお、ツアー初日を迎えるにあたり、森永を含む「アンリアレイジ」およびMPLUSPLUSのチームはロサンゼルスのSoFiスタジアムで最終の現地調整を実施。ツアー中は、両チームがスタッフの一員として全32公演に帯同し、ビヨンセのステージ演出を支える。